向精神病薬の多剤投与問題 見直しへ

平成26年4月1日から向精神薬(メンタル疾患系の薬)に関し、以前から問題視されていた「多剤投与」が見直しされる。

向精神薬とは、脳内(中枢神経系)に直接作用する薬の総称で、抗精神病薬(統合失調症等)、抗うつ薬、気分安定薬(双極性障害:躁/うつ)、抗不安薬、睡眠薬などがある。

メンタル疾患の医療費急増

近年、精神疾患の患者数は激増し、日本全体で320万人(平成23年)を超えている。メンタル疾患に係る医療費の急増は国(国民)にとっても大きな負担である。

精神医療はメカニズムが解明できない「脳」を治療する分野である。うつ病のことを「こころの風邪」と未だに例える人がいるが、このキャッチフレーズは製薬会社が新薬を売りやすくするために広告代理店が考えたもので、この病気に罹ると長期にわたり苦しみが続く。治療の難しい厄介な病だ。

製薬メーカー各社は莫大な資金を向精神薬の開発に注ぎ込み、現在、新薬の開発ラッシュが続いている。
新薬の開発は莫大なコストがかかることから、薬価が高く、しかも同じ病気、同じ薬でも、人によって薬が効く・効かないが分かれる。更には、副作用として、自殺念慮、自殺企図も多いため、医師の技量の高さが求められる。

精神科医も、大学病院や精神科単科病院等で、勤務医として多くの症例を治療し、成功実績を積み上げ、最新情報を収集・試行しつつ、精神科医のチームとして技量を上げていく最先端の分野であり、日進月歩の分野である。たくさんの症例を整理分類し、成功率の高い治療方法を分析・研究を続ける必要があり、同僚がたくさんいる大きな精神病院に勤務し、極めて勉強熱心な医師でない限り精神科医は務まらない。

技量の高い精神科医は、症状を見極め、脳内の神経伝達物質などの過不足量や異常を推測し、改善できる可能性のある薬の種類や量を分析した上で、慎重に投薬処方を行っている。

働く世代のメンタル不調者急増の背景には、過重労働など労働環境の問題が大きいが、
職場や自宅の近くにある「心療内科」も取り敢えず併設しているという「内科」のクリニックで、安易に(苦しい病者には仕方がないのだが)人間にとって一番重要な司令塔である「脳内の設定」を薬物で変える治療を開始してしまうことが一番大きな原因だと言ったら言い過ぎだろうか。

患者が減らないので、患者数は増加するばかりだ。

病院選び・医師選びを間違っていませんか?

メンタル不調者の急激な増加に対し、適切な病気治療ができる専門の精神科医は不足している。
ここに、精神医療の経験がない素人同然の内科医・眼科医などが「心療内科医」として新規参入していることをどれくらいの人がご存じだろうか。

不思議なことに彼らは「精神科医」を名乗ることは少ない。さすがに敷居が高いのだろう。
本業の内科や眼科が盛況であれば、出来ない科目を増やす必要はない。しかし近頃は、都市部ほど内科の医院は競争が厳しく、赤字のところ増えている。

最近、本業が振るわない内科医などが、メンタル不調者を囲い込むことで、経営を維持しているという話を頻繁に聞く。内科の患者より売上単価が高く、来院頻度が高いメンタル不調者は儲かるのだろう。もちろん悪徳「心療内科医」ばかりではなく、勉強熱心で志の高い心療内科医がいない訳ではないのだが、もしいるのなら、大学病院などの精神科に入局をし直し、5年以上(3年以上)の臨床経験を積んだあとで、合格率5割程度の試験に合格しないとなれない「精神保健指定医」資格を取得し、精神科医を目指すはずである。

毎日、眠れない日が続いたら、メンタルクリニックで診察を受けましょうという製薬会社のキャンペーンにより、敷居の高い「精神科」を何故か避けて、安易に「心療内科」を選んでいる人がメンタル不調者の8割以上である。

 

 

もし、

経験豊富な精神保健指定医がいる精神病院で初診を受けていたなら、

一時的な疲労やストレスによる障害のため、2~3日も休養すれば治っていたはずの人たちが、不慣れな「心療内科」にかかったために、精神病患者として病名がつけられ、いつ治るのかわからない過酷で苦しい状態に追い込まれ、大量な向精神薬で脳内を薬漬けにされ、副作用との戦いの療養生活が始まってしまうとしたら。。。安易に病院を選んではいけない。

向精神薬の多剤投与は売上至上主義

都心部の「心療内科」クリニックは、腕がいいとネットで評判になると1日に1人の医師が200人を超える患者を診ることもある。いくら腕が良くても、これでは質が下がるし、治せるものも治らない。
診療時間が短いクリニックは、売上至上主義であり、注意が必要だ。医師とは会わずに、臨床心理士が病状を聞き、薬だけ出すというケースも心配である。

厚生労働省も、売上至上主義の「心療内科医(内科医)」の存在は知っていて、精神保健指定医の資格がある精神科医でない限り、精神疾患の病名にかかる保険点数を引き下げるという対策を講じた。

この結果、売上至上主義の「心療内科医(内科医)」は、保険点数を補うために、薬の種類や量を増やすという方針に変更し、多くの患者を薬漬けにしてしまっている。
今回、薬漬けで儲かってしまう構造を規制するため、多剤投与の制限が設けられた。

良い精神科医は、「1日20人以上は診ない」と決めている人が多い。時間をかけて症状を聞かないと、脳内の状況が推測できないからだ。また、薬物療法だけでは限界があり、病気になった原因を取り除くためのカウンセリングや認知行動療法などで、歪んだ思考のくせを修正するための方法を教えてくれたりする。
また、向精神薬は副作用が酷いため、出来る限り少量に留めて、経過を観察し、最適な薬を見つけてくれる。良い精神科医は、多剤投与しても、有益となる効果が得られないことを経験的に知っている。

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4月~10月までに薬が減らされた場合の注意点

もし、通院中のクリニックで4月以降、突然、薬の数が減らされるた方は、治すことより『売上』を考えている医師に治療されていた可能性を疑ってみることだ。

困ったことに、薬が減らされた結果、一時的に脳内のバランスが崩れてしまい、症状が悪化したり、自殺に繋がってしまう恐れがある。

このため保険点数の引き下げを6か月間猶予できることになり、この間に、徐々に薬の量や飲む頻度を引き下げ、急激な脳内の変化を抑えつつ、薬の量を減らしていく治療方針に変更される方が多くなるはずだ。

いずれにしても、「病気を治すためには、患者側が医師をきちんと厳選できるようになることが必要であり、再発を防ぐためには、認知行動療法などから病気になりやすい従来からの「考え方の悪いクセ」を自身で見直すことが大切です」

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高橋 雅彦

高橋 雅彦株式会社ドクタートラスト 代表取締役社長

投稿者プロフィール

1964年生まれ(50歳)1988年早大理工卒後、日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)に入行。病院専門の融資課長などを経験し、2004年同行退社。2004年「医療」と「企業」を結ぶことを目的に「株式会社ドクタートラスト」を設立、社長就任。現在10期目。趣味は休日のパンづくり。 会社がある渋谷区松濤町会の理事を兼任。

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