産業医面談で話した内容は上司に筒抜けになるか

Q.産業医との面談で話した内容は、人事に全て具体的に報告されますか?

A.産業医は相談者本人の同意がない限り、面談で知りえた情報を他者に伝えてはならないのが原則です。

医師の守秘義務について

医師の資格を持つ人は、刑法134条に定められた守秘義務を負っています。

刑法134条(秘密漏示)第1項
医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産婦、・・・の職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

これは産業医にも当然適用されます。また労働安全衛生法においても

104条(健康診断等に関する秘密の保持)
第65条の2第1項及び第66条第1項から第4項までの規定による健康診断並びに第66条の8第1項の規定による面接指導の実施の事務に従事した者は、その実施に関して知り得た労働者の秘密を漏らしてはならない。

これによって、産業医が知りえた労働者の秘密を漏らすことを禁じています。

情報を伝える必要があるケース

ただ、注意して欲しいのがあくまでこれは『原則』であること。

産業医は上記守秘義務を負うと同時に、
労働者に健康上の問題があることを知った場合、事業者にこれを指摘・報告する義務も負っています。
就業する上で重大な問題が想定さる場合、また状況によっては事業者に積極的な情報提示を行って、自覚を促すべき場合もあるということです。

この点に関して厚生労働省は、可能な限り本人の同意を得ることを基本とした上で、
(1)同意を得ることが困難であり、開示することが労働者に明らかに有益である場合
(2)開示しないと公共の利益を著しく損なうことが明らかな場合
こちらの2つの場合には、労働者の同意がなくてもその健康管理情報を上司その他の関係者に報告することができるとの意見をまとめています。

他にも、例えば健康診断や面談をした結果、他の労働者の安全が確保できなくなるような感染症を患っていることが発覚した場合には、それを報告する必要があります。面談の中で本人が自傷行為等、本人の生命にかかわる事例が発覚し、早急な対応を求められた場合であっても、それは含まれます。

伝わることのない情報とは

ただし、そういった場合であっても、労働者の同意の有無にかかわらず、全ての情報が開示されるわけではありません。報告が許される情報の内容やその報告先は、事業者が健康配慮措置を講じるために必要となる最小限の範囲と規程されています。

例えばパワハラ、セクハラの相談をした場合、それを人事に報告する必要性があったとしても、具体的な当事者名や事例等を報告することは、健康配慮処置に必要ではないと考えられます。また健康診断で知りえた血液検査結果の詳細な数値や疾病の具体的診断名等も同様です。

基本的な情報は守秘義務で守られるとはいえ、相談する場合にはどんな情報が上司に報告されるのか事前に産業医に確認し、報告してほしくない相手と内容についてはその旨を明確に伝えておくこともひとつのポイントとなります。

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