予防接種の歴史からみる風しん
- 2013/4/22
- 病状・症状

風しんとは「風しんウイルス」に感染することで発症する病気です。
くしゃみや咳などでウイルスが飛び散り、感染します。
症状があらわれるまでの期間は約2~3週間で、症状は3日ほど続きます。
症状がはしかに似ているため「三日ばしか」と呼ばれることも。(はしかは症状が10日間ほど続きます)
急増する風しん患者
その風疹ですが……厚生労働省の統計によると、首都圏の報告が急増しているようです。
統計を見ると、患者の7割以上は男性で、うち20代~40代が8割を占めています。
また、平成23年度の国の調査では、20~40代の男性の15%が風しんへの抗体を持っていないことがわかりました。
一方、20~40代の女性の4%が風疹への抗体を持っておらず、11%は感染予防には不十分である低い抗体価でした。
特定の世代での風しんが大流行する理由
なぜ特定の世代で風しんが大流行するのでしょうか。
その理由は風疹の予防接種の歴史にあります。
1977年以降、風しんのワクチンの定期接種を女子中学生に対して実施してきましたが、1994年の予防接種法改定にて、対象年齢を12~90ヶ月の男女とした個別接種となりました。
この間、経過措置として12歳以上16歳未満の男女に対する個別接種も継続されてきましたが、啓蒙が不十分で「接種もれ」の成人の増加をきたしてしまったのです。
実際に、1979年から1987年(昭和54年4月2日から62年10月1日)生まれの人の約半数は、風疹の予防接種を受けていないことがわかっています。
また、ワクチン接種などで抗体を得た場合、抗体は20年近く持続しますが、ウイルスにさらされる機会がないと、免疫のブースター効果が得られず抗体価は次第に低下していきます。
※ ブースター効果:途中で風しんが流行すると、風しんの免疫力が上がること
妊娠中の女性も、その周囲の方も
抗体を持たない、または低い抗体価の妊娠中の女性が風疹にかかると、赤ちゃんに難聴や心疾患、白内障や緑内障などの障害(先天性風疹症候群)が起こる可能性があります。
妊娠中の女性は予防接種が受けられないため、妊娠中方の周りにいる方(夫、子ども、その他の同居家族等)は、風疹を発症しないように予防に努めましょう。
合わせてご一読ください!
・ 「風しん、流行しています!」(産業保健新聞)
・ 「風疹になったら出勤停止?」(産業保健新聞)