【完全版】オフィスの明るさマニュアル
- 2013/6/13
- 労働環境

企業で職場巡視(産業医や衛生管理者などが、安全・健康に働ける職場かどうかをチェックするために、オフィスを見て回ること)をしていると、
「照明が明るくて目が疲れる」
「省エネで蛍光灯を間引きしてから、手元が暗い」
など、オフィスの照明に関して問題を感じている方も多くいらっしゃいます。
オフィスに最適な照明とはどの程度?
オフィス(事務所)の照明については、以下が目安になります。
① 事務所の照度基準(JIS Z9110)
JISとは日本工業規格(Japanese Industrial Standards)のことで、鉱工業品の品質の改善、性能・安全性の向上、生産効率の増進等のため、工業標準化法に基づき制定される国家規格です。
このうち、Z9110は規格名称を照明基準総則といい、1958年に制定されました。
この総則によると、机上の照度は750ルクス以上と定められています。
② 労働安全衛生規則604条
労働安全衛生規則604条では、以下のように、作業ごとの明るさの定めが置かれています。
(照度)
第604条 事業者は、労働者を常時就業させる場所の作業面の照度を、次の表の上欄に掲げる作業の区分に応じて、同表の下欄に掲げる基準に適合させなければならない。ただし、感光材料を取り扱う作業場、坑内の作業場その他特殊な作業を行なう作業場については、この限りでない。
- 精密な作業・・・300ルクス以上
- 普通の作業・・・150ルクス以上
- 粗な作業・・・70ルクス以上
③ 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン
「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」は、2019年に厚生労働省より公表された、情報機器作業を対象とした労働衛生管理のガイドラインです。
2002年公表の「VDT 作業における労働衛生管理のためのガイドライン」の内容を見直したものとなります。
本ガイドラインでは、以下のように説明がなされています。
- 室内は、できる限り明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。
- ディスプレイを用いる場合のディスプレイ画面上における照度は 500ルクス以下、書類上およびキーボード上における照度は 300 ルクス以上を目安とし、作業しやすい照度とすること。
- ディスプレイ画面の明るさ、書類およびキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること。
- ディスプレイ画面に直接または間接的に太陽光等が入射する場合は、必要に応じて窓にブラインドなどを設け、適切な明るさとなるようにすること。
- 間接照明等のグレア防止用照明器具を用いること。
- グレアを防止するための有効な措置を講じること。
※ グレア:まぶしさ、ギラギラした光
このうち、日本で最も代表的なものは①のJIS基準です。
最近の傾向
しかし、最近は以下のような理由から、オフィスの照明自体は750ルクス以下に設定し、手元の照明で調節できるようにしているオフィスも増えているそうです。
- PC作業が増え、眼精疲労を訴える人が増えた
- オフィスでの滞在時間が長くなり、明るさだけでなく「快適性」を求めることも増えた
ちなみに、諸外国のオフィスの照度基準は、ほとんどが「500ルクス(もしくはそれ以下)」とのこと!
日本の照明基準も、これからどんどん見直されていきそうですね。
どうやって測定したらいいの?
オフィスの「照度」は、照度計という小さな機械で簡単に測定することができます。
ドクタートラストでも、保健師が企業をご訪問の際にすぐに測定ができるよう、1人1台ずつ、照度計を持参させていただくようになりました。
ぜひ皆さんの企業でも「照度計」を導入、活用してみてください。