国家戦略特区での「雇用」
- 2013/10/1
- 労働安全衛生法
ご存知ですか?「国家戦略特区」
これは、現在政府が掲げている「第3の矢」の要として、
民間投資を喚起することで、日本経済を「停滞」から「再生」へと導くことを
目的とし、現時点では、医療、雇用など7つの項目について検討されています。
そのなかで「雇用」については、
次の3つが挙げられています。
①有期雇用の特例
(使用者が、無期転換を気にせずに有期雇用できる)
②契約書面による、解雇ルールの明確化
③労働時間ルールの適用除外
解説
①有期雇用の特例について
有期雇有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、
労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に
転換できるルールが、平成25年4月1日から施行されていますが、
特区については、このルールを適用除外とする考え方です。
厚生労働省としては、使用者側が無期転換権を強要する可能性があるなどとして
難色を示していますが、検討しているワーキンググループとしては、
一定の条件下においては、十分検討可能な案件としています。
②契約書面による解雇ルールの明確化について
契約の際に解雇にいたる行為等を明確にした書面を取り交わしましょうと
いった内容です。
これに関しては、悪質な条件な解雇ルールが創出される可能性も否定できず、
すべての解雇項目を設定することは困難との考え方が有力です。
ただし、一定の条件下においては、検討可能とされています。
③労働時間ルールの適用除外について
一定の要件(年収など)を満たす労働者には、残業代を払わなくてもいいようにする
という内容です。
一時期話題にのぼっていた、ホワイトカラー・エグゼンプション”と呼ばれる制度案
と同様の内容です。
以上の3点に関して、すべて、一定の条件下において検討可能との認識が
ワーキンググループからは出されています。
一定の条件下とは!?
不当労働行為や契約強要、契約不履行などに対する監視機能強化を指しています。
労働契約に関する特定の事項を緩和することで、
雇用者、被雇用者の双方において、より良いかたちでの契約が可能となることは、
構想にある「再生」には有効だとは思います。
しかし、雇用者側に有利になりすぎていまう危険性も示唆されており、
被雇用者の権利も守らなければ「悪化」を招きかねません。
監視機能強化についての具体的な施策について、どのような施策が示されるのか
今後気になるところです。
東京、大阪、愛知などを特区とし、
外国人比率の高い事業所、または開業5年以内の企業等を対象とすることが
現在検討に上がっています