男女で最も時間差が大きいのは「料理」~令和3年社会生活基本調査から見えた1日の過ごし方~

2022年12月14日、総務省は、「令和3年社会生活基本調査 詳細行動分類による生活時間に関する結果」を公表しました。
「社会生活基本調査」は、生活時間の配分や余暇時間における主な活動の状況など,国民の社会生活の実態を明らかにするための基礎資料を得ることを目的として5年に1度実施されています。
また、調査票はA、Bにわかれており、それぞれ以下を集計します。

<調査票A>
・ 1日の生活行動別平均時間、時間帯別の生活行動の状況および主な生活行動の平均時刻に関する事項
・ 学習・研究活動、ボランティア活動、スポーツ活動、趣味・娯楽活動および旅行・行楽の状況に関する事項
<調査票B>
1日の生活行動別平均時間および時間帯別の生活行動の状況に関する事項

今回公表されたのは、調査票Bに関わる結果です。
以下ではこのうち、2021年の今回調査と2016年の前回調査で差異が見られる、男女差が大きいなど、特徴的な結果を紹介していきます。

家事・育児時間のうち男女差がもっとも大きいのは「食事の管理」

最初に紹介するのは、家事、育児、介護、育児、買い物、ボランティア活動などの時間の合計である「無償労働時間」の男女差です。
2021年調査では、男性の無償労働時間は1時間19分に対して、女性は3時間56分と2時間37分も相違があることがわかりました。
ちなみ2016年の同調査では男性1時間16分に対して、女性は4時間11分で、その差は2時間57分であったことから、5年間で差異は20分ほど縮まったとはいえます。
また、無償労働時間の内訳をみていくと、園芸(男女ともに7分)以外はすべて女性のほうが上回っており、特に差が大きいのは「食事の管理」(料理、食器洗いなど)の時間で、男性は14分であるのに対して、女性は1時間18分でした。

この調査は、小さな子どもがいる家庭以外も含まれていることを考えると、現代をもってしても無償労働の多くを女性が担っていることが浮かび上がってきます。
女性の社会での活躍を推進するうえでは、合わせて家庭での無償労働の男女の平準化、あるいは支援が必要といえるでしょう。

自宅時間が50分増加、特に20代後半の世代で増加

次に、1日をどこで過ごしたかを見る「行動の場所別生活時間」を見ていきます。
全世代平均でみると、自宅で過ごした時間が2016年16時間であったのに対して、2021年は16時間58分と、1時間近く増加しており、年代別で見ると、自宅時間は75歳以上を除くすべての世代で増加しています。
特に顕著なのは25~29歳で、2016年調査が14時間20分であったのに対して、2021年調査は16時間18分と2時間近く増加しています。

この違いは、多くの方が実感しているように、新型コロナウイルス感染症による外出自粛の奨励、また職場でのリモートワーク導入に起因しているのではないでしょうか。
それが如実に表れているのは行動の場所別生活時間「自宅」「学校・職場」「移動中」のうち「移動中」で、すべての世代において、2021年調査では2016年調査からの減少が見られます。

副業をしている割合は、女性のほうがわずかに大きい

また、被雇用者について「副業」に関わる行動をとった人は、全体の0.7%であり、その時間は平均3時間15分でした。
男性は0.5%で平均2.52時間、女性は0.8%で平均3.48時間と、女性のほうが副業をしている割合、時間ともに上回りました。
これは、正規雇用、非正規雇用の双方で同様の傾向がみられています。
なお、この割合はあくまで「調査を行った日」時点であり、なおかつ「持ち帰り仕事」も含みます。
そのため、必ずしも世間一般で認識されている「副業」の実態を反映しているわけではない点に注意が必要です。

今回は、「令和3年社会生活基本調査 詳細行動分類による生活時間に関する結果」でも特徴的な項目を見ていきました。
本調査ではこのほかに、同時行動や子供と一緒にいた時間、スマホ・パソコンの使用者率なども算出しています。
結果を概観すると、ご自身の体感との相違もみえると思いますので、ぜひ目を通してみてください。

<参考>
・ 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査の結果」

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蜂谷未亜株式会社ドクタートラスト 編集長

投稿者プロフィール

出版社勤務を経てドクタートラストに入社。産業保健や健康経営などに関する最新動向をいち早く、そしてわかりやすく取り上げてまいります。
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