働く人のワーク・エンゲイジメントを高めるキャリア教育とは?

働く人のワーク・エンゲイジメントを高めるキャリア教育とは?

キャリアへの関心拡大

近年、売り手市場が続いており、2021年7月には1.14だった有効求人倍率が2022年7月には1.29にまで上昇しました。
この売り手市場における人材不足に頭を悩ませるご担当者の方も多いのではないでしょうか。

・ 採用したのは良いけれど、すぐ辞めてしまい、せっかく時間と労力をかけて研修を行ってきたので、また一からやり直し
・ 転職するそぶりも見せてなかったのに急に退職者が発生し、困っている

こんな経験、少なくないと思います。

株式会社YOUTRUSTが実施した転職意識の実態調査によると「転職を検討中」「良い案件があれば転職したい」と答える転職潜在層と、「積極的に転職先を探している」と答える転職顕在層が約7割であるとわかっています。
また、2021年4月~2022年3月に「産業保健新聞」運営元、ドクタートラストのストレスチェックサービスを利用した940社32万人を対象とした調査からも2019年、2020年と比較し、一緒に働くメンバーのキャリアについて、人事方針や目標が明確化され、教育・訓練が行われるようになってきたと判明しました。
このことから、先行きが見通しにくい現代において”キャリア”についての関心の大きさが見られます。

キャリア教育が実施できているか

では、入社したメンバーの退職を防ぎ、自社で活躍してもらうにはどうすれば良いのでしょうか。
働き方改革が進み、ひと昔前にくらべると長時間残業は減り、いわゆる3K(きつい、汚い、危険)に代表するような劣悪な環境は少なくなっているでしょう。
こうした背景から、マズローの5段階説で言う社会的欲求、承認欲求、自己実現の欲求が社会全体として高まっていると感じます。
今回は、こうした状況下で有効なキャリア教育施策を2つ紹介します。

1on1ミーティングの実施

1on1ミーティングと言えば、ヤフー株式会社が有名ですが、もともとは米国のシリコンバレー発祥です。
日本でいちはやくヤフー株式会社が導入したことで話題となり、マネジメント施策として1on1ミーティングを導入する企業が増えています。
退職理由の要因として「仕事の悩みを気軽に相談できる人がいない」「SOSを言えない環境である」が挙げられますが、1on1ミーティングを実施することで精神的なつながりや悩みを解消し、社内の活性化や働くメンバーの満足度向上などが見込まれます。

キャリアカウンセリング制度の導入

1on1は同じ部署・同じチームの上司と部下で行うことが多いですが、キャリアカウンセリング制度は、担当している部署やチームとは無関係なメンバーが原則として担当します。(厳密には、キャリアカウンセリングも1on1に含まれますが、この記事での1on1は上司と部下にて実施するものとして話を進めます)
キャリアカウンセリング制度は、アクセンチュア株式会社が導入していることで有名です。
原則として自分と同じチーム、同じ部署ではないメンバーが担当するため、上司には言いづらいことの相談はもちろん、1人ひとりのキャリアに関する悩みの相談や要望をしっかりと聞き、真摯にアドバイスすることが可能となります。
終身雇用に希望を持ちづらく、老後3,000万円問題やジョブ型雇用という言葉によりキャリアに漠然と不安感を抱える人も増えています。
そんななかで、キャリアカウンセリングを通して、会社内外でのスキルアップやキャリアの方向性などについて定期的に相談できる環境は、帰属意識を高めることにもつながることでしょう。

キャリア教育制度を確立し、定着率、ワーク・エンゲイジメントを高めましょう!

これら2つの施策に共通するデメリットとして、工数が増加することと成果が数値として見えづらいことがあります。
また、個々人のキャリアについて向き合うことで「やりたいことが見つかり、退職してしまうのではないか?」という心配もあるかもしれません。
たしかに、中には結果として退職される方もいるかもしれませんが、いずれにせよ働くその人にとって「このまま会社にいて良いのか」といった疑問が残ったままでは生産性も高まらず、いつかはより良い環境を求めて退職することになります。
先にも挙げたとおり、帰属意識を高めることにより働く人達の生産性向上をはじめ、離職率の低下、定着による採用・育成コストの削減などが期待できます。

<参考資料>
・ 独立行政法人労働政策研究・研究機構「職業紹介-都道府県別有効求人倍率」
・ 株式会社ドクタートラスト「2021年度、累計122万人超のストレスチェックデータを分析~新型コロナウイルス流行から2年、従業員への影響とは?~」

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西口 新株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

前職は、いわゆるブラックと言われる環境でした。「働き方改革」と無縁の状況を体験しているからこそ、綺麗事だけでなくそういった環境で働いている人にも役立つ情報を提供できればと考えています。
【保有資格】健康経営アドバイザー

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