「良い二度寝」と「悪い二度寝」がある?すっきり目覚めるポイントは20分

「良い二度寝」と「悪い二度寝」がある?すっきり目覚めるポイントは20分

「良い二度寝」と「悪い二度寝」の違い

目覚ましが鳴って目が覚めたものの、「あと少し寝たい」「眠くて起きれない」と二度寝した経験のある人は多いのではないでしょうか?
実は二度寝にも、「良い二度寝」と「悪い二度寝」があり、なおかつ「良い二度寝」の後に、すっきり目覚めるためにはコツがあります。
この記事では、二度寝の種類やしくみ、二度寝から気持ち良く起きる方法をご紹介します。

まず、「良い二度寝」と「悪い二度寝」の違いを見ていきます。

良い二度寝

二度寝からそのまま深い睡眠に入らず、体内リズムを乱さない睡眠。
体内リズムを狂わす影響が少ないとされる二度寝は20分以内にとどめたものです。

悪い二度寝

起床時間がいつもと大きく異なり、体内リズムが乱れる睡眠。
休日の2日間朝寝坊をすると、体内時計が30~45分遅れてしまうという報告があります。(※1、※2)

悪い二度寝をして、体内リズムが一度乱れてしまうと、もとに戻すのは容易ではありません。
実際に、週末の朝寝坊をした場合、週明けの前半まで眠気や疲労度が強く残ることも報告されています。(※3)

そもそも、朝すっきり起きられないのはどうして?

私たちは寝ている間に浅い眠りの「レム睡眠」と深い睡眠の「ノンレム睡眠」という、2つの異なる睡眠状態のセットを一晩で4~5回繰り返しています。
「レム睡眠」は、身体は休んでいるものの脳が活発に動いている状態です。
記憶の定着や感情の整理を行われています。
一方、「ノンレム睡眠」は脳と身体の両方を休息させている状態です。
成長ホルモンを分泌させ、疲労回復や全身の細胞の修復が行われています。
夜眠ってすぐの時間では、深い睡眠のノンレム睡眠が多く、明け方になると浅い睡眠のレム睡眠が増えていきます。
そして、レム睡眠のタイミングで目覚めることができると、私たちはすっきりと起きることができます。
一方で、寝起きで強い眠気を感じている場合は、ノンレム睡眠中に起きてしまい、脳が休息している途中で目覚めている可能性があります。

良い二度寝ですっきりとした目覚めを得るには

起床後に眠気が残っていて二度寝をしたいときは、どのようにすると体内リズムを崩さずに、2回目の目覚めですっきりと起きることができるのでしょうか?
それは、1回目に起きてから20分後に目覚ましをかけることです。
朝方は20分前後で「ノンレム睡眠」から「レム睡眠」の切り替えが行われており、目を覚ました時に眠気を感じている場合はノンレム睡眠で起きていると考えられます。
そのため、1回目の目覚ましでまだ眠気を感じている際はもう一度眠り、2回目の目覚ましでレム睡眠のタイミングで起きられるようにすると無理なく、すっきりと起きやすくなります。
ただし目覚ましをかける際の注意点として、1回目の目覚まし音は「ごく微量で短く」で設定しましょう。
レム睡眠では覚醒しやすく小さい物音でも目覚めやすいので、1回目の目覚まし音で起きられた場合は「レム睡眠で起きられた」ということになります。

それでも寝起きに眠たい時は睡眠時間の見直しを

2回目の目覚ましを20分後にセットして目覚めてもまだ強い眠気が残っている場合は、日ごろの睡眠時間が足りていない可能性があります。
睡眠不足の状態が慢性的に続くと、その負債が心身にまで支障をきたす「睡眠負債に陥る」という事態を招きかねません。
睡眠不足を解消するためには、まずは自分にとっての適切な睡眠時間を把握することが大切です。
人によって必要な睡眠時間は異なり、寝不足にならないための睡眠時間を日ごろから確保するように心掛けましょう。
適切な睡眠時間とは「日中に眠気がなく、活動に支障が出ない睡眠時間」であり、個人差は大きいです。
成人の睡眠時間の目安とされる6~7時間前後を基準に考えるとよいでしょう。
また、睡眠負債に陥らないために、併せて睡眠の質を高めることも大切です。
睡眠の質を高めるために、快適な睡眠を得られるような行動をとることが望ましいです。

具体的には以下のような行動があります。

【睡眠の質を高める行動】
・ 就寝前の部屋の照明を落とす(就寝1~2時間程前にはホテルの室内のような暗さが目安です)
・ 就寝前のスマホやパソコンなどの電子機器の使用を控える(少なくとも就寝30分前は控えましょう)
・ 就寝時間の1~2時間前に入浴する(38~40度のぬるま湯に浸かると副交感神経が優位になり、リラックスできます)
・ 寝る前は考えごとをしない。

ついつい眠く、やってしまいたくなる二度寝。
しかし、方法によっては体内リズムを徐々にずらしてしまい、さらに起きづらくなる可能性があります。
また、人によっては日ごろからの睡眠不足がサインとして出ている場合もあります。
今一度、睡眠時間を十分にとれているか振り返った上で、二度寝をする際は体内リズムを乱さずにすっきりとした目覚めにつながる「良い二度寝」を心掛けるようにしましょう。

<参考>
※1 Stephanie J Crowley、Mary A Carskadon「Modifications to weekend recovery sleep delay circadian phase in older adolescents」(「Chronobiology Chronobiology International」2010年8月)
※2 C M Yang、A J Spielman、P D’Ambrosio、S Serizawa、J Nunes, J Birnbaum「A single dose of melatonin prevents the phase delay associated with a delayed weekend sleep pattern」(「Sleep」2001年5月)
※3 Amanda Taylor、Helen R. Wright、Leon C. Lack「Sleeping-in on the weekend delays circadian phase and increases sleepiness the following week」(「Sleep and Biological Rhythms」2008年7月)
・ 西野精治『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版、2017年)

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片桐芽衣株式会社ドクタートラスト 管理栄養士

投稿者プロフィール

クリニックや薬局で管理栄養士として、生活習慣病の患者様を中心に栄養指導を行ってまいりました。病気になる前のもっと早い段階でたくさんの方々の健康をサポートしたいと思い、ドクタートラストへ入社しました。現在は主に栄養や睡眠をはじめとした生活習慣に関する面談(特定保健指導等)やセミナー、コラム執筆を行っています。
日頃から健康的な生活習慣を身に着けることが今の自分、そして将来の自分を作っていきます。生涯にわたって元気に働けるヒントとなる情報を発信できるよう努めます。
【保有資格】管理栄養士、人間ドック健診情報管理指導士、上級心理カウンセラー、上級睡眠健康指導士、第一種衛生管理者
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