幸せホルモン「セロトニン」を増やしてハッピーになろう!~ポイントは3つ~

幸せホルモン「セロトニン」を増やしてハッピーになろう!~ポイントは3つ~

セロトニンとは

私達の身体の中ではさまざまな物質が作られ、私達の活動を支えていますが、皆さんは幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」をご存知でしょうか?
今回は、私達の心身の健康にとって大変重要なセロトニンについてご紹介します。

セロトニンとは、主に腸内や脳内で合成されるホルモンです。
腸内で合成されたセロトニンは私達の消化活動に影響し、過剰にあると下痢に、不足すると便秘等の消化機能の異常をきたすと言われており、腸内には身体全体の90%のセロトニンが存在するとされています。
脳内で合成されたセロトニンは、ドパミンやノルアドレナリンといった脳内物質を制御して精神を安定させる働きがあり、脳内のセロトニンレベルは、うつ病との関連性があるとも言われています。
うつ病の治療薬のうち、セロトニンの働きを高める作用の薬(SSRI: 選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が多く使われているように、私達の精神活動にとってとても大切な物質です。
脳内のセロトニンは身体全体の2%程度と言われていますが、精神面での健康を目指す場合には、脳内のセロトニンを増やすことが重要です。
脳内セロトニンを増加させてハッピー度をアップさせるためにおススメの、「光」「身体活動「食生活」についてご説明します。

セロトニンを味方につける生活のコツ①「光」

強い光がセロトニン合成に関係していることがわかっています。
季節性うつ病といって、冬場のみうつ病を発症するケースが知られており、太陽光と心の関係が研究されてきました。

皆さんも雨の日や曇りの日、「何となくやる気が出ない」「身体がだるくて重い」といった経験はないでしょうか?
実は、セロトニン合成には太陽の光が大きく関与していると言われており、これまでの研究で、光による治療が季節性うつ病、PMDD(月経前症候群)、妊娠期のうつ病で効果があったことが報告されています。
また、冬季に亡くなった人より夏季に亡くなった人の方が脳内のセロトニンレベルが高かったことも報告されています(※1)。

人工的な光よりも太陽の光は光の強さ(照度)が大きく、この高照度がセロトニンを増やすために必要であると考えられています。
日中の元気を手に入れるために、朝のうちにしっかりと太陽の光を浴びることが大切です。
ここで、日焼けが心配という方もおられると思いますが、肌に直接日光を当てる必要はありません。
太陽光は瞼を透過して網膜から吸収されると言われているので、直射日光でなくとも、太陽光で十分に明るい場所で過ごす習慣を作ってみましょう。
ちなみに、私は朝一番にベランダで植物に水やりをしています。
目覚めの時点では身体がだるいときがありますが、このルーティンをはじめてから、頭や身体が目覚める感覚があります。

セロトニンを味方につける生活のコツ②「身体活動」

2つ目として、身体活動がセロトニンの機能を高めてくれることがわかってきています。
有酸素運動、特に一定のリズムがある活動がおすすめで、ウォーキングが取り組みやすいと思います。
いつ行うかですが、セロトニン産生の視点では朝のウォーキングが最もお勧めです。
前述の通り、太陽光を浴びることでダブルの効果により、一日を元気にスタートすることが期待できます。
朝が難しいと言う人も、お昼休みや仕事後の朝以外の時間帯でも、ダイエットをはじめ、心身の健康面(※2)に効果がありますので、目的に合わせて、またライフスタイルに合った続けやすい時間帯を選ぶと良いでしょう。

セロトニンを味方につける生活のコツ③「食生活」

最後は、食生活です。
セロトニン自体は食事で摂ることができず、また前駆物質である「トリプトファン」は体内合成できないため、トリプトファンを食事で摂取し、脳内でのセロトニン合成量を増加させることが大切です。

トリプトファンの多くはタンパク質に含まれており、過度なダイエット等なく、通常の食事をしていれば、不足することはありません。
ただし、脳内でのセロトニン量を増やすためには、タンパク質だけでなく、炭水化物とビタミンB6が必要です。
トリプトファンは、血流にのって脳に移動する際に、他のアミノ酸が多いと競合して届けられなくなってしまうのですが、炭水化物を摂ることで、すい臓からインスリンという血糖値を低下させるためのホルモンが分泌されます。
このインスリンは血中のアミノ酸が筋肉に取り込まれるのを促進する働きを持ち、インスリン分泌によって、トリプトファンと競合するアミノ酸が筋肉に取り込まれ、脳に届けられるトリプトファン量の増加が見込めます。
また、トリプトファンが代謝されるために、ビタミンB6が必要です。

では、これらトリプトファン、炭水化物、ビタミンB6が含まれる食事とはどんな食事でしょうか。
基本的には、炭水化物・タンパク質・野菜をバランスよく摂ることが大切ですが、タンパク質は動物性よりも植物性がおススメです。
また、バナナはトリプトファン、炭水化物、ビタミンB6すべてを含む良質な栄養源です。以下も参考にして下さい。

トリプトファン:タンパク質、乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)、卵、ピーナッツ、アーモンド等
炭水化物:果物、パスタ、玄米、白米等
ビタミンB6:ニンニク、ショウガ、魚、鶏胸肉やささみなどの脂身の少ない肉類等

是非、上記の「光」「身体活動」「食生活」の工夫をして、セロトニンを味方にハッピーな心身を目指しましょう!

<参考>
・(※1) Simon N. Young「How to increase serotonin in the human brain without drugs」(J Psychiatry Neurosci. 2007 Nov; 32(6): 394–399)
・(※2) 健康長寿研究所「中之条研究」
・ Harvard Health Publishing「Serotonin: The natural mood booster」

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南 未来株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

学生時代より予防医療やメンタルヘルス支援に興味を持ち、大学院で産業保健(Presenteeism)の研究をしました。大企業での産業保健師を経て、海外にて専業主婦、行政保健師、中企業の保健師も経験してきました。保健師として、会社組織や個人が自立して健康を構築していけるように、エンパワメントの視点を忘れずに支援していきたいと思います。また、女性として、親として、妻として、ワークライフバランスやダイバーシティについても発信していきたいです。
【保有資格】保健師、看護師、第一種衛生管理者、精神保健福祉士、両立支援コーディネーター
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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