9月10日~16日は自殺予防週間です~ゲートキーパーについて考える~

9月10日~16日は自殺予防週間です~ゲートキーパーについて考える~

毎年9月10日からの1週間は「自殺予防週間」です。
これは2012年8月に閣議決定された自殺総合対策大綱で定められたものです。
「自殺総合対策大綱」では、国、地方公共団体、関係団体および民間団体等が連携して「いのち支える自殺対策」という理念を前面に打ち出して啓発活動を推進しています。
あわせて、必要な支援を受けられるよう、支援策を重点的に実施することとされています。
今回は、日本の自殺をめぐる状況とゲートキーパーについてわかりやすく解説します。

日本の自殺をめぐる状況

昨年2021年の自殺者数は2万830人でした(警察庁自殺統計速報値)。
一昨年2020年は新型コロナウイルス感染症流行の影響などで増加傾向にあったが、そこから251人減少しているものの、現在も2万人台を推移しており、他の先進国とくらべても日本は自殺率が比較的高いことが課題となっています。

ゲートキーパーの重要性

自殺対策と聞くと、行政の施策を1番に思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
公共のサポートももちろん大切ですが、今回は身近なサポーターとなる「ゲートキーパー」について説明します。
ゲートキーパーとは、悩んでいる人に気付き、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ見守る人のことを指します。

【ゲートキーパーの役割】
ゲートキーパーの役割は主に4つです。
① 気づき:家族や仲間の変化に気付いて、声をかける
② 傾聴:本人の気持ちを尊重し、耳を傾ける
③ つなぎ:早めに専門家に相談するよう促す
④ 見守り:温かく寄り添いながら、じっくりと見守る

このような人が周りにいてくれるととても安心感がありますね。
また、企業においても、積極的にゲートキーパーを推奨することにより、従業員の意識向上や企業としての自殺対策につながっていきます。
医療職や担当者がサポーターになるのはもちろんですが、従業員自身もサポーターになることで、より攻めの対策が取れるようになるのではないでしょうか。

ゲートキーパーになるためには

では、ゲートキーパーになるためにはどうしたら良いのでしょうか?
実は、ゲートキーパーには資格は必要ありません。
必要なのは、悩みを抱える人を適切に支援するための知識と人を思う気持ちです。

ゲートキーパーの研修

厚生労働省の特設ページ「まもろうよこころ」に、ゲートキーパー養成研修用テキストが掲載されています。
基本的な知識はもちろん、ロールプレイの方法なども掲載されています。
また、動画でも簡単に学べるようになっています。
今回はゲートキーパーとしての心得を簡単にご紹介します。

※詳しくはゲートキーパー養成研修テキストをご参照ください
厚生労働省「 ゲートキーパー養成研修用テキスト(第3版)」

ゲートキーパーとしての心得

① 相手とかかわるための心の準備
今から話を聴くという心の準備を自らしておくことがとても重要です。
心の準備ができていないと、動揺したり拒絶したりと不適切な対応になってしまうことも少なくありません。「この時間は相手のために設けている時間だ」と一言自分に伝えてあげてください。
② 温かみのある対応を心掛ける
③ 真剣に聴いているという姿勢を相手に伝える
④ 相手の話を聴く
相手の話を聴くときは、相槌を打つなど真剣に聴いているという姿勢が相手に伝わることが大切です。また、沈黙となっても、それは相手が考えている時間かもしれません。焦らずゆっくりと話を聴くことがポイントです。
⑤ ねぎらう
⑥ 心配していることを伝える
話をしてくれて事、打ち明けてくれたことをねぎらってください。
また、たとえ本人の失敗から至った困難でもこれまでの苦労してきたことをねぎらうことが大切です。
⑦ わかりやすく、かつゆっくりと話をする
⑧ 一緒に考えることが支援
悩んでいる人は情報整理が難しい状況にあります。
そのため、わかりやすくゆっくりと寄り添いながら話をしましょう。
⑨ 準備やスキルアップも大切
⑩ 自分が相談にのって困ったときのつなぎ先を知っておく
すべてを解決できる人はいません。
また、ゲートキーパー1人で抱え込むとゲートキーパー自身がメンタルヘルス不調に陥ってしまいます。どこに相談したらよいか、地域の相談窓口などを事前にチェックしておくことが大切です。
⑪ ゲートキーパー自身の健康管理、悩み相談も大切
話を聴くことは思ったよりもエネルギーを使います。自分自身も健康であることがゲートキーパーとしてとても大切ですね。

ぜひこの機会に自殺対策、ゲートキーパーについて考えてみてください。

<参考>
・ 厚生労働省「自殺予防週間」
・ 厚生労働省「まもろうよこころ」

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砂川菜美株式会社ドクタートラスト 産業保健師

投稿者プロフィール

行政保健師として、乳児から高齢者まで幅広い世代の方々の健康に携わる中で、働く世代の健康増進の難しさと重要性を感じ、現在は産業保健師として活動しています。
健診事後措置や面談などの基本業務はもちろん、健康管理体制構築サポートや健康セミナーなど多方面で活動中。これまでの経験を活かし、それぞれのライフスタイルに寄り添った情報提供を行ってまいります。
【保有資格】看護師、保健師、第一種衛生管理者、健康運動指導士、人間ドック健診情報管理指導士、NARD JAPAN認定アロマアドバイザー
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
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