【動画あり】2022年6月施行「改正公益通報者保護法」を専門家がわかりやすく解説!退職者や役員も保護対象になる⁉

2022年6月1日、改正公益通報者保護法が施行されました。
そこで公益通報者保護法の概要と改正内容をわかりやすく解説します。

そもそも公益通報者保護法とは?

公益通報者保護法とは、「公の利益を害する法令違反など、不正の通報(公益通報)を行った者を守るため」の法律で、「公益通報」は以下のように定められています。

<公益通報とは>
2022年5月31日まで(改正前):労働者が不正の目的でなく勤務先で発生している刑事罰の対象となる不正を通報すること
2022年6月1日以降(改正後):労働者、退職者、役員が不正の目的でなく勤務先における刑事罰、行政罰の対象となる不正を通報すること

改正公益通報者保護法のポイント

以下では、今回の改正公益通報者保護法のポイントを大きく4つの視点から見ていきます。

ポイント① 保護対象および通報対象事実の拡大

前出のとおり改正後の公益通報者保護法では労働者に加えて、退職者、役員も「保護」の対象となりました(公益通報者保護法2条)。
退職者からの通報が多いこと、役員は違法・不正行為をよく知るものであるというのがその理由です。

<公益通報者として保護される主体>
労働者:直接雇用する労働者(パート、アルバイトも含む)、直接的に指揮命令下にある派遣労働者、請負契約に基づいて当該企業で働いている事業従事者
退職者:上記「労働者」に掲げられる対象者のうち、「通報の日の前1年以内」に働いていた者(退職してから1年以内の者)
役員:調査や是正のための取り組みを行うことが前提

なお、「役員」は、基本的に事業主と一体であると考えられることから、保護される主体となるためには、原則として調査や是正の取り組みを行うことが前提です。
また、これまで保護される通報対象事実は「刑事罰(罰金刑、禁錮刑)」のみでしたが、改正公益通報者保護法では、「行政罰(過料、行政処分)」もその対象に加わりました(公益通報者保護法2条3項)。

<公益通報者保護法の対象となる法律(ごく一部)>
・ 労働基準法
・ 労災保険法(労働者災害補償保険法)
・ 労働安全衛生法
・ 労働施策総合推進法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)
・ 育児介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)
・ 男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)

上記からもわかるように、ハラスメント事案も「公益通報者保護法」の通報対象事実に含まれます。

ポイント② 保護内容の拡大

公益通報者保護法5条では、改正前より通報者に対して、公益通報をしたこと理由として「不利益な取扱いをしてはならない」と明記されていましたが、改正後は解雇、派遣労働契約の解除、降格・言及に加えて「退職金の不支給」の禁止も追加されました。
また、公益通報で損害を受けたことを理由として「通報者に損害賠償請求できない」旨が新たに盛り込まれました(公益通報者保護法7条)

(損害賠償の制限)
第7条 第2条第1項各号に定める事業者は、第3条各号及び前条各号に定める公益通報によって損害を受けたことを理由として、当該公益通報をした公益通報者に対して、賠償を請求することができない。公益通報者保護法

ポイント③通報対応体制の整備が義務化

今回の改正に先んじて、2021年8月には「公益通報者保護法に基づく指針」が定められ、「公益通報対応業務従事者」を定めることも含め、通報対応体制の整備が従業員数301名以上の企業に義務づけられました。
整備すべき事項としては、「研修」「通報窓口の設置」「不利益取扱い防止」「方針の周知」などが挙げられます。
なお、従業員数300名以下の企業については現段階では「努力義務」とされています。
ただし、整備内容自体は、2022年4月からすべての規模の企業に義務づけられたハラスメント防止に係る措置と非常に重複している項目が多いことから、努力義務に該当する企業であっても、通報対応体制は当然のように整備されているべきといえるでしょう。

ポイント④「公益通報対応業務従事者」を定める

前出のとおり、「公益通報者保護法に基づく指針」では担当者である「公益通報対応業務従事者」を定めるように求められています。
公益通報対応業務従事者の選任方法には、①個人、②就業規則などに部署などを指定して明示、③外部委託が考えられますが、どの場合であっても従事者の地位に就くことが本人にも明らかになるよう、書面などで指定をしなくてはなりません。
また、公益通報対応業務従事者(過去に従事した者も含む)には、通報者のプライバシー保護のため守秘義務が課せられ、正当な理由なく、通報者を特定させるような内容を漏らした場合は、最大30万円の罰金刑が科される可能性があります。

<情報共有が容認される場合>
・ 通報者本人の同意が得られている
・ 法令に基づく情報提供
・ 通報者を特定可能な情報共有を必要最小限にとどめる運用が徹底された部署内・部署間での共有

さいごに

今回は改正公益通報者保護法の概要をわかりやすく解説しました。
企業においてはリスクヘッジのために、就業規則や方針を明確に定め、それらを周知するとともに研修などで企業全体への意識づけを行うこと、対応フローや対応整備が求められます。
また、特に「公益通報対応業務従事者」の守秘義務違反は企業にとっても大きなリスクになりえます。
担当者を明確化に合わせて手厚い研修を行うことで、リスクマネジメントを徹底していきましょう。

具体的な体制整備方法はコチラの動画をご覧ください

<出演>
唐澤崇(株式会社ドクタートラスト シニアコンサルタント)

<参考>
・ 消費者庁「公益通報者保護法と制度の概要」

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産業保健新聞編集部株式会社ドクタートラスト

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