もしかして男性更年期障害?治療が必要?チェック表で確認!

もしかして男性更年期障害?治療が必要?チェック表で確認!

男性の皆さん、「最近疲れやすい」「よく眠れない」「物覚えが悪くなった」「仕事に身が入らない」といった症状に悩んでいませんか?
もしかしたらその症状は「男性の更年期障害」かもしれません。
更年期障害と聞くと女性のイメージが強いかもしれませんが、実は男性にも更年期障害はあります。
今回は男性の更年期障害をわかりやすく解説します。

男性の更年期障害とは

ホルモン分泌量の低下が原因

更年期障害とは、加齢などにより男性ホルモンの分泌量が低下したことが原因で、さまざまな体調不良や情緒不安定など、自律神経失調症に似た症状がでることをいいます。
男性には女性のように閉経がなく、男性ホルモンが緩やかに減少するため、更年期障害がいつ始まっていつ終わったのかわかりにくいです。
また、男性ホルモンが30代で急激に減る人もいれば、80代でも一定の分泌量を維持している人もいます。
つまり、30代から亡くなるまで、どの年代でも更年期障害を発症する可能性があるというのが男性の特徴です。

ホルモン分泌量の変化

男性ホルモン(テストステロン)の役割

男性ホルモンの代表格であるテストステロン、主に筋力や認知能力に関与しており、具体的には下記のような働きがあります。

・ 筋肉量や骨量の増加
・ 記憶力、認知力、判断力、行動力の向上
・ 体脂肪率の低下
・ 動脈硬化、心臓血管障害、脳梗塞の予防

また、テストステロンは「社会性ホルモン」とも言われています。
加齢だけではなく、退職などで社会活動から離れたり、仕事がうまくいかない、自分の居場所がないと感じるなどの社会的なストレスや生活環境の変化により分泌が低下することも特徴です。

男性の更年期症状とは

ほとんどの更年期症状は女性の更年期症状と共通していますが、男性特有の更年期症状もあります。
また、更年期症状は日常的な疲れと間違えやすい症状も多数あるため、見逃さないように気をつけましょう。

<男性の更年期症状>
① 身体に現れる症状:めまい、頭痛、疲労感、不眠、動悸、のぼせ(ホットフラッシュ)、筋力の低下、記憶力や集中力の低下、ひげの伸びが遅い
② 精神に現れる症状:イライラ、憂うつ感、不安感、気分の落ち込み、無気力
③ 男性機能に現れる症状:ED(勃起不全)朝立ちの減少、性欲減退、頻尿

男性更年期を乗り切る暮らし方、それでも緩和されないときは?

男性更年期を乗り切るうえでは、「生活習慣の改善」を意識しましょう。

男性更年期を乗り切る暮らし方

① 運動

運動により筋肉に刺激が与えられると、テストステロンが分泌されます。
1日10分の筋トレや階段の上り下りなど、身体を動かす機会を作ってください。
また、キャッチボールや卓球など仲間と楽しめるスポーツをするとより効果的です。
運動が苦手な方は、将棋や麻雀、ゴルフなどの競い合うゲームなどでも構いません。
競い合うことでもテストステロンは分泌を高めることが期待されます。

② 食事

栄養バランスの取れた食事は基本ですが、特に男性ホルモンを強化するたんぱく質や分泌を促す亜鉛が不足しないように注意してください。

たんぱく質を含む食べ物:肉類(牛肉・豚肉・鶏肉)、魚、卵、大豆、牛乳 など
亜鉛を含む食べ物:わかめ、大豆、レバー、牛赤身肉、牡蠣、たまご など

また、食事は内容だけでなく、「誰と食べるか」も重要です。
孤食を避け、できるだけ家族と一緒に食べるようにしてみてください。
1人で食べることが多い人は行きつけの定食屋を見つけたり、オンラインで友達と会話をしながら食べるのもいいですね。

③ 睡眠

テストステロンは睡眠中に多く作られています。
特に夜中の1~3時頃が重要な時間帯なので、この時間帯には就寝していることがオススメです。
十分な睡眠時間を取るだけでなく、質の良い睡眠をとるためにもストレッチや音楽など自分なりのリラックス方法を持つことも大切です。

④ その他

テストステロンは職場や家庭、地域社会などで認められ、頼りにされると上昇しやすいです。
人と積極的に付き合い、自分の居場所をつくりましょう。
ボランティア活動なんかもオススメです。
また、テストステロンは異性と接すると上昇しやすくなります。
パートナーがいる方はぜひ一緒に散歩をするなど関わりを増やしてみてはいかがでしょうか。
また、身近に女性がいらっしゃらない場合は、行きつけの定食屋のおかみさんとお話したり、ゴルフ場でキャディさんとお話するだけでも効果的です。

生活習慣の改善で緩和されないときは?医療機関はどこにかかる?

男性の更年期障害を発症しても、約7割の方は前述のような生活習慣の改善で緩和されます。
生活改善を行っても症状が緩和されない場合、病院受診を検討してください。
男性更年期障害の治療は泌尿器科やメンズヘルス外来、男性更年期外来にて行っています。
また、治療法には漢方療法やホルモン補充療法等があり、症状の内容や程度により選択されます。

さいごに~セルフチェック表で確認~

男性の更年期障害は女性とは異なり、なかなか見つけにくいのが特徴です。
今回記事を読んで症状に当てはまるなと感じた方、生活改善をしても良くならない場合は、一度受診を検討してみてはいかがでしょうか。
また、下記に男性更年期障害のセルフチェック表を提示するので、ぜひ目安にしてください。

<男性更年期障害セルフチェック表>
「①と⑦にあてはまる」または「3つ以上あてはまる」場合は、男性更年期障害の疑いがあります。
① 性欲が低下した
② 元気がなくなってきたように感じる
③ 体力もしくは持続力が低下した
④ 身長が低くなった
⑤ 毎日の楽しみが減ったように感じる
⑥ 物悲しい気分になる。または怒りっぽくなった
⑦ 勃起力が弱くなった。朝立ちの回数が減った
⑧ 運動能力が低下したように感じる
⑨ 夕食後、うたた寝をすることがある
⑩ 最近、仕事がうまくいかない。仕事の能力が低下したように感じる
参照:Morley JE, Metabolism 49: 1239-1242.2000ほか

<参考>
・ 堀江重郎「男性の更年期障害」(「へるすあっぷ21」2020年2月号51~53頁)
・ 堀江重郎「その『うつ』は男性更年期かもしれません」(「すこやか健保」2019年2月号)

 

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藤居まお株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

大学病院の消化器外科病棟に看護師として勤務後、不妊治療専門クリニックで体外受精などの生殖補助医療に携わる。看護師としてのキャリアを重ねていくなかで「もっと早く自分の身体、健康に意識してくれていれば」の想いが強まったことから、ドクタートラストに入職。産業保健師としてセミナーや保健指導、産業医導入企業へのフォロー介入など、多方面で活動中。得意分野は「女性の健康」「生活習慣病」「がん(特に消化器系)」など。
【保有資格】保健師、看護師、第一種衛生管理者、人間ドック健診情報管理指導士
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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