管理栄養士推奨!コレステロール値が高い人は食事の「飽和脂肪酸」に注目

管理栄養士推奨!コレステロール値が高い人は食事の「飽和脂肪酸」に注目

ドクタートラストの管理栄養士、宮野です。
いろいろな企業の方に保健指導を行っているのですが、そのなかで高コレステロールの方に「自分の食事はコレステロールを上げる食品ばっかり摂っていた」と気づいてもらう機会がよくあります。
そこで今回は、コレステロール値を食事で改善するためのポイントをお伝えします!

血中コレステロール値を下げるにはコレステロール制限?まずは、飽和脂肪酸制限!

「血中コレステロール値が高かった=コレステロールを多く含む食品を控える」も間違いではありませんが、コレステロールを多く含む食品よりも飽和脂肪酸を多く含む食品のほうが血液中のコレステロールとの関係が強いとされます。
ですので、まずは「飽和脂肪酸」を多く含む食品の摂取量や頻度が多くないかを振り返ってみてください。

実際、コレステロール値が高い方に「こういった食品はよく食べますか?」と聞くと「たしかに食べていることが多い」とみなさん口をそろえて言います。
また、飽和脂肪酸を多く含む食品を摂る頻度が増えた理由を尋ねてみると「仕事が忙しく、手軽な菓子パンや調理パンを食べがち」とか、「育ち盛りお子さんがいるために、ガッツリした肉料理が多くなってしまう」など、各々さまざま背景があるとわかりました。
加えて、食の欧米化や外食の普及など、社会的要因として飽和脂肪酸を摂る頻度が日本人は増えていると考えられます。
ほかにも、パーム油も飽和脂肪酸を多く含みますが、揚げ油や菓子類などでの使用量が増えることも影響しているでしょう。
こうした原因などから高コレステロールが高い人は増加してます。
厚生労働省が制定する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」でも、生活習慣病の予防の観点から、1日あたりの飽和脂肪酸摂取量は総エネルギー摂取量の7%と上限を定めています。

<飽和脂肪酸7%はどのくらい?>
例)1日に必要なカロリー量が2,200kcalの男性の場合
2,200kcal×7%=154kcal
脂質1gはおよそ9kcalなので、154÷9=17g
1日に必要なカロリー量が2,200kcalの男性の場合、飽和脂肪酸摂取量の上限は1日あたり「17g」です。

飽和脂肪酸ってどのくらい食品に含まれるの?

では、実際に私たちが食べている食品、特に「飽和脂肪酸量が多い」とされている食品にはどのくらいの飽和脂肪酸が含まれるのかを確認してみましょう。

食品例飽和脂肪酸量(g)※100gあたり
バラ肉(豚肉)14.6g
バター50.45g
クリーム27.62g
チョコレート19.88g
アイスクリーム(ラクトアイス)9.11g
カップラーメン(即席中華麺)7.31g

せめて、ここだけ意識を!飽和脂肪酸の摂取量を増やさない食べ方

では、飽和脂肪酸の摂取量を増やさないように気を付けるにはどうしたらよいでしょうか?
保健指導でヒアリングすると、コレステロール値が高い方、すなわち飽和脂肪酸の摂取量が多い方の食事スタイルには、以下の特徴がみられる傾向にあります。

・ 和食よりも洋食の頻度が高い
・ 主食は肉料理を選びがち

なぜこの2つの食事のスタイルは飽和脂肪酸を増やしやすいのか、解説してきます。

和食よりも洋食の頻度が高い

肉やクリームを使った料理が多いため、洋食は、脂質が多くなりがちです。
ですので、コレステロール値が高い人は、食事を選択する際「和風」を意識すると飽和脂肪酸の量を自然と減らすことにつながります。

<飽和脂肪酸摂取量を減らすための食事例>
・ 「和風スパゲッティ」と「カルボナーラ」なら:和風スパゲッティ
・ 「シーザーサラダ」と「海藻サラダ」なら:海藻サラダ
・ とんかつ定食とアジフライ定食なら:アジフライ定食

主食は肉料理を選びがち

コレステロール値が高い方の食事スタイルとして、以下のようなものをお見かけします。

朝:ベーコンやハム、たまご、食パン、サラダ
昼:牛丼、味噌汁
夜:生姜焼き、ご飯、サラダ、味噌汁

一見すると、主食、主菜、副菜とバランスの良い食事に見えるのですが、肉料理が続いているために「飽和脂肪酸」の摂取量が多く、コレステロール値を上げやすい食事といえます。

改善する方法として、以下を参考にしてみてください。

肉料理は1日2回までにする

たとえば、朝食ではベーコンやハムを納豆に、食パンをご飯にするなど、「和食化」がおすすめです。
納豆をはじめとする大豆食品はコレステロール値を下げるはたらきもあります。
また、焼き魚や刺身など魚もコレステロール値を下げるはたらきがありますので、主菜では魚料理を選択しましょう。
魚料理に手間を感じる方は、鯖缶やシーチキンなどの缶詰めやコンビニで販売しているサラダフィッシュを活用するのでも構いません。

 飽和脂肪酸量の少ない肉料理に変更する

たとえば、夜の生姜焼きをチキンソテーなど鶏肉に変更すると、飽和脂肪酸の摂取量を約10g減らせます。
<飽和脂肪酸量(100グラムあたり)>
バラ肉(豚):14.6g
鶏もも肉(皮つき)4.6g

コレステロール値が高い方は、本記事を参考に、ご自身の食事を一度振り返ってみてください!
<参考>
・ 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・ 香川明夫『七訂食品成分表2019』(女子栄養大学出版部、2019年2月)

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宮野 友里加株式会社ドクタートラスト 管理栄養士

投稿者プロフィール

年間100人以上の特定保健指導、ダイエットサポートを食事面、運動面から行う管理栄養士。
食事に関するアドバイスはもちろん、自分自身がデスクワークを始めてから悩まされている「肩こり・腰痛」「目の疲れ」の予防、改善方法についてもセミナーや執筆活動を通して積極的に情報提供している。
目標は「働く世代の方々にとってが管理栄養士が身近な存在になること」
【保有資格】管理栄養士
【ドクタートラストの特定保健指導サービス詳細はこちら】
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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