10月10日は転倒予防の日!~職場での転倒災害が増えています~

10月10日は何の日でしょうか?
目の日(目の愛護デー)、体育の日(2000年まで)などいろいろ思い浮かびますね。
「産業保健新聞」に関わるところでは、「世界メンタルヘルスデー」もあります。

実際、10月10日は1年のうちで1番「○○の日」と制定されている数が多いそうです。
今回は、数多ある「10月10日は○○の日」のなかから、「転倒予防の日」について解説します。

「転倒予防の日」とは

転倒予防の日は、日本転倒予防学会(旧・転倒予防医学研究会)が制定したもので、特に高齢者の寝たきりや要介護の原因になりやすいとされる転倒事故の予防を呼びかける日です。
自宅などで発生する転倒事故、職場で発生する転倒災害、どちらも近年増加傾向にあり、2021年は消費者庁と厚生労働省が日本転倒予防学会と協力して呼びかけを行うとしています。

転倒災害の現状

厚生労働省公開「『労働者死傷病報告』による死傷災害発生状況(令和2年確定値)」によると、令和2年に発生した職場における労働災害の件数は125,115件(新型コロナウイルス感染症の罹患による労働災害を除く)でした。
このうち、転倒による労災は30,959件で全体の25%を占めます。


また、転倒災害の状況は以下の通りです。

・ 1ヶ月以上休業した人は約6割
・ 女性が約6割
・ 50代以上が約7割

高齢女性の被害が多いとわかります。
加えて、高齢が故の身体機能の低下もあり、骨折などの大けがにつながりやすく、復帰までに時間を要するケースも少なくないようです。
ちなみに速報値ではありますが、2021年は前年同期比で約2割増加しています。
人材の長期離脱は企業にとってマイナスにしかなりませんので、転倒予防の対策は急務といえるでしょう。

特に商業(小売業)で転倒災害が多い

転倒災害は製造業に多いイメージがあります。
それも決して間違いではないのですが、令和2年の結果で1番転倒災害が多かったのは「商業」でした。
商業にもいろいろありますが、厚生労働省からは「小売業」向けの資料が公開されているので、ぜひ参考にしてください。

★厚生労働省「小売業の労働災害発生状況」

上記資料によれば、特に食品スーパーでの転倒災害が多いようです。
たしかに、顧客としてスーパーに行くとき、野菜のくずや鮮魚コーナーの床の濡れなどで滑りそうになったことがあります。
働いている従業員の皆さんは、このような状況になる確率が顧客より多いことは容易に想像できますね……。

転倒災害を予防するには

「転倒予防の対策は急務」とお伝えしましたが、どのような対策をすることができるでしょうか。
厚生労働省の資料では以下の6つを紹介しています。

① 作業場所の整理整頓
② 作業場所の清掃
③ 毎日の運動
④ 危険個所の見える化
⑤ 手すりの設置
⑥ 滑りにくい靴の着用

①と②はすぐに行うことができ、かつ予防対策として効果的です。
職場がオフィスである企業でもPCなどのコードであったり、書類が落ちていたりしていませんか?
気持ちよく仕事をするためにもなりますので、定期的に整理整頓、清掃をしましょう。

また、「③毎日の運動」は、筋力の低下を予防し、丈夫な身体づくりをすることで、もし転倒してしまっても大けがにつながりにくくなります。
肩こりや腰痛にも効果がありますので、リフレッシュも兼ねて業務時間内に体操をするのはどうでしょうか?
厚生労働省からは「転倒・腰痛予防体操」が紹介されていますので、ぜひお試しください!

★転倒・腰痛予防!「いきいき健康体操」★

まずは転倒リスクをチェック!

厚生労働省は、転倒の危険をチェックできる以下のリスト付きリーフレット「事業主の皆様へ 安全・安心な職場づくりに取り組みましょう」を公開しています。

□ 通路、階段、出口に物を放置していませんか
□ 床の水たまりや氷、油、粉類などは放置せず、その都度取り除いていますか
□ 通路や階段を安全に移動できるように十分な明るさ(照度)が確保されていますか
□ 靴は、すべりにくくちょうど良いサイズのものを選んでいますか
□ 転倒しやすい場所の危険マップを作成し、周知していますか
□ 段差のある箇所や滑りやすい場所などに、注意を促す標識をつけていますか
□ ポケットに手を入れたまま歩くことを禁止していますか
□ ストレッチや転倒予防のための運動を取り入れていますか
□ 転倒を予防するための教育を行っていますか

チェックリストを用いて、産業医の職場巡視の際に一緒に確認、不足していた部分は安全衛生委員会で話しあうというのが、改善の近道かもしれません!
少しのことで転倒災害は防げます!
この機会に今一度、どの業種の企業でも、転倒リスクがないか確認してみましょう。

<参考>
・ 厚生労働省「10月10日は『転倒予防の日』、職場での転倒予防に取り組みましょう!」
・ 厚生労働省職場の安全サイト「労働災害統計」

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投稿者プロフィール

幸福度や労働生産性が高いと評される北欧(ノルウェー)へ留学した際、仕事に対する日本と北欧の良いところ悪いところをひしひしと感じてきました。この良いところをお伝えすべく、北欧の労働環境などに関しての情報はもちろん、身近な話題や疑問を分かりやすくお仕えできるよう日々勉強中です!
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