9月は「職場の健康診断実施強化月間」~よくある質問に答えます!~

みなさん、今年度の健康診断はお済みでしょうか?
新型コロナウイルスの影響等で医療機関の予約が取れない、人が多い場所に行きたくないので受けていないという方もいるのではないでしょうか。
厚生労働省では、毎年9月を「職場の健康診断実施強化月間」として、集中的・重点的な啓発を行っています。
この機会に、人事や衛生管理者など健康診断の担当者の方は、事業場での実施状況を確認しましょう。
今回は、健康診断に関してよくある質問と、2021年度の厚生労働省の重点周知事項である「医療保険者との連携」と「新型コロナウイルス対策」の2点について、Q&A形式でわかりやすく説明します。

健康診断の受診

Q. 会社の健康診断を受診しない社員がいます。どのように対応すればよいでしょうか?

従業員ご自身で受診した人間ドックや健康診断の結果があれば提出してもらいましょう。
また、従業員に任せるだけでなく、会社担当者が健康診断の予約を行ったり、就業時間内に受診できるような配慮を行い、健康診断を受診させてもよいでしょう。
それでも受診しない場合は、就業規則の内容にもよりますが、業務命令違反として処分を検討する、あるいは労働基準監督署に相談するといった対応が考えられます。
受診を促す際は書面での通知もあわせて行い、受診しない(できない)理由を記載しておくなど、会社として対応していることを証明できるようにしておくと、安全配慮義務違反に問われるリスクを減らすことができます。

図:健康診断の実施義務・受診義務

Q. 健康診断報告書の提出期限はありますか?

健診実施時期も企業ごとに異なるため、法律上具体的な提出期限は定められていません。
「年度末で区切り、翌年度初月に提出」という取り扱いをしている企業も多くありますが、健康診断が終了しとりまとめができたら速やかに提出するとよいでしょう。

新型コロナウイルス感染症の影響

Q. 新型コロナウイス感染症の影響で、健康診断実施機関等の予約が取れない場合どうすればよいでしょうか?

やむを得ず法定の期日までに健康診断を実施することが困難な場合もありますよね。
そのような場合には健康診断実施機関と協議の上、できるだけ早期に健康診断を実施できるよう実施計画を立てて実施してください。
昨年度以降の健康診断実施状況を確認し、確実に実施できる計画を立てるようにしましょう。

Q. 健康診断実施機関を選ぶ上での留意点はあるのでしょうか?

健康診断の実施にあたっては 、三つの密を避け、十分な感染防止対策を講じた健康診断実施機関において実施しましょう。
従業員が新型コロナウイルス感染症を気にして受診を控えようとしている場合は、健康診断の会場では換気や消毒を行うなど感染防止対策に努めていることを説明するとともに受診を促すことが大切です。
また、健康診断を受けないことで、生活習慣病などの悪化のリスクや、疾病の早期発見ができないリスクがあることも十分説明しましょう。

医療保険者(協会けんぽや健保組合、国保組合、共済組合等)との連携

Q. 会社で健康診断を受けていれば、市町村から特定健康診査のお知らせが来ても受けなくていいのでしょうか?

高齢者の医療の確保に関する法律に基づき医療保険者が行うこととされている特定健康診査については、労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断(会社等での健康診断)をすでに実施した方については、全部または一部免除することとなっています 。
なお、医療保険者から従業員の健康診断の結果を求められる場合もあります。

Q. 40歳未満の従業員でも医療保険者から健康診断結果を求められることはありますか?

特定健康診査の実施対象ではない40歳未満の方についても、医療保険者が事業者から健康診断の結果を入手し、保健事業に活用することを可能とする改正健康保険法等が令和4年(2022年)1月に施行されます 。
このため、40 歳未満の従業員についても、施行後に医療保険者から求められた場合は、健康診断の結果を提供しましょう。

あわせて、下記の記事もチェックしてくださいね。

健康診断は労働安全衛生法で義務づけられており、この義務に違反すると50万円以下の罰金が科せられます。
正社員はもちろんのこと、パートタイマー等の該当する社員が受診をしているか、適宜状況を確認し、健康診断受診率100%を目指しましょう。

<参考>
厚生労働省「『職場の健康診断実施強化月間』について」

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根本裕美子株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

行政保健師として特定保健指導、介護予防事業などを実施するなかで、働きざかりの方の健康づくりが重要であることを実感し、現在、産業保健師として働いています。
これまでの経験を活かし、わかりやすい、役立つ情報を提供します。
【保有資格】看護師、保健師
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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