派遣労働における安全配慮義務の所在

今回は派遣労働者と安全配慮義務の責任の所在についてお話したいと思います。

日本には2013年4~6月期平均でパートや派遣労働者などの非正規労働者が1,881万人もおり、統計を取り始めた2002年以降、過去最多を更新しています。
派遣労働者が増えていく中で、派遣労働者の労働災害件数も3年連続で増えており、特に製造業における災害が一番多く2012年では全体の60%超を占めています。

※2019年の大幅な減少は、派遣労働者数が前年度比で24.3%と大きく減少したからであり、特に景気低迷で企業業績の悪化があった製造業では前年度比54.5%減少していて、このことが死傷者数の減少につながっていると考えられます。

派遣労働者は派遣元と雇用契約を結びますが、実際に現場で働く際には派遣先の設備を使用することがほとんどです。
派遣労働者というのは雇用責任が分散しがちで権利保護が難しい一面がありますが、派遣法で派遣先の事案を行う者を、労働者を使用する事業主として安衛法○条を適用するという読み替え規定があります(45条)
つまり安全配慮義務は派遣元だけでなく、派遣先にも発生する可能性があるということです。

(労働安全衛生法の適用に関する特例等)
第四十語条 労働者がその事業における派遣就業のために派遣されている派遣先の事業に関しては、当該派遣先の事業を行う者もまた当該派遣中の労働者を使用する事業者(労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第二条第三号に規定する事業者をいう。以下この条において同じ。)と、当該派遣中の労働者を当該派遣先の事業を行う者にもまた使用される労働者とみなして、同法第三条第一項、第四条、第十条、第十二条から第十三条(第二項及び第三項を除く。)まで、第十三条の二、第十三条の三、第十八条、第十九条の二、第五十九条第二項、第六十条の二、第六十二条、第六十六条の五第一項、第六十九条及び第七十条の規定(これらの規定に係る罰則の規定を含む。)を適用する。この場合において、同法第十条第一項中「第二十五条の二第二項」とあるのは「第二十五条の二第二項(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)第四十五条第三項の規定により適用される場合を含む。)」と、「次の業務」とあるのは「次の業務(労働者派遣法第四十四条第一項に規定する派遣中の労働者(以下単に「派遣中の労働者」という。)に関しては、第二号の業務(第五十九条第三項に規定する安全又は衛生のための特別の教育に係るものを除く。)、第三号の業務(第六十六条第一項の規定による健康診断(同条第二項後段の規定による健康診断であつて厚生労働省令で定めるものを含む。)及び当該健康診断に係る同条第四項の規定による健康診断並びにこれらの健康診断に係る同条第五項ただし書の規定による健康診断に係るものに限る。)及び第五号の業務(厚生労働省令で定めるものに限る。)を除く。第十二条第一項及び第十二条の二において「派遣先安全衛生管理業務」という。)」と、同法第十二条第一項及び第十二条の二中「第十条第一項各号の業務」とあるのは「派遣先安全衛生管理業務」と、「第二十五条の二第二項」とあるのは「第二十五条の二第二項(労働者派遣法第四十五条第三項の規定により適用される場合を含む。)」と、「同条第一項各号」とあるのは「第二十五条の二第一項各号」と、同法第十三条第一項中「健康管理その他の厚生労働省令で定める事項(以下」とあるのは「健康管理その他の厚生労働省令で定める事項(派遣中の労働者に関しては、当該事項のうち厚生労働省令で定めるものを除く。第四項及び第五項、次条並びに第十三条の三において」と、同条第四項中「定めるもの」とあるのは「定めるもの(派遣中の労働者に関しては、当該情報のうち第一項の厚生労働省令で定めるものに関するものを除く。)」と、同法第十八条第一項中「次の事項」とあるのは「次の事項(派遣中の労働者に関しては、当該事項のうち厚生労働省令で定めるものを除く。)」とする。
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

業務請負では労働安全衛生法に基づく事業者責任は請負業者が負い、注文主には業務上一切責任がないとされていますが、実態が労働者派遣となる偽装請負の場合はこの限りではありません。
また裁判では契約形式ではなく実態に即して行われます。

このように、派遣労働者が派遣先事業場で労働災害を被ったことで、派遣元・派遣先双方に賠償請求が科された判決も存在します。
また厚生労働省によって指針や管理の特徴などが示されているので、そちらもご覧頂けると把握しやすいと思います。

派遣労働者の安全配慮義務に関しては、派遣先と派遣元どちらの企業にもその責任を負う可能性がありますので、双方が情報を共有し、ともに安全配慮について深く考えることが必要です。

最後に参考サイトと参考事例をご紹介させて頂きます。

厚生労働省 報道発表資料
平成24年業種別局別労働災害発生状況
テクノアシスト相模事件
アテスト事件

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