不安のメカニズムを知って、コロナ時代を乗り越えよう

不安に満たされやすい現代

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の勢いが止まりませんね。
昨年からの未曽有の流行で、不安を抱えていらっしゃいませんか?
「産業保健新聞」を運営するドクタートラストの外部相談窓口には、次のようなコロナウイルスに関する相談を絶えずいただいています。

・ いつか自分も感染症に罹ってしまうのではないだろうか
・ 体調不良が治ったけど、また具合が悪くなってしまうのではないだろうか
・ テレワークをしていることで人と会えず、気持ちが塞いでしまう

不安は恐いものですよね。
自信もなくなってしまいますし、この先どうすればいいかわからなくなると思います。
しかし、不安はからくりを知ることで小さくできることをご存じですか?

脳みそは不安が大好物

「不安」は、脳の大好物です。
大好きで大好きで仕方ありません。
そのため、“脳の持ち主のキモチ”とは裏腹に、脳は不安を抱え込もうとしてしまいます。
「気にしないようにしたくても不安が頭から離れない」
「不安で不安で何も考えられなくなってしまう」
このような心境は、“脳の持ち主のキモチ”を別にして脳が率先して活動していることの表れでしょう。
放っておくと脳は不安を食べ続けるため、どんどんそれを大きくしてしまいます。
底なしの食欲です。
また、脳の持ち主が不安を見つめてしまうと、脳は喜んでそれにかじりついて放しません。
周りに不安を抱えてどうしようもない方がいらっしゃれば、このような脳の独走も影響しているかもしれませんね。

「不安」の“マブダチ”は「焦り」

「不安」には大親友がいます。
それは、「焦り」です。
ひとたび不安が頭の中を占有すると、不安は仲良しの「焦り」を連れてきます。
この2人は非常に相性が良く、なかなか離れようとしないので厄介なものです。
「早く元の自分に戻らなきゃ」
「もう、どうすれば良いのかわからない!」
このような心境は、不安が連れてきた焦りのなせる業かもしれません。

メカニズムを知って、コントロールしてみよう

「不安」や、それに伴う「焦り」は、自分の気持ちのあずかり知らぬところで機能することがわかりましたね。
そこまで気づけたならば、あとは簡単!
「不安」と「焦り」を「理性」でコントロールしてみましょう。
そのコントロールの方法は、次の言葉をお守りに持つことです。

自分の心が弱いわけではない。
自分の気持ちをコントロールできないのではない。
ただ、脳みその好物が不安であるだけ。

不安や焦りを強めた際は、このお守りを思い出してみましょう。
不安を感じているのは脳であって、自分ではないという意識ですね。
その意識が持てると、不安を抱えている自分を少し俯瞰して見ることができ、余裕が持てるようになると思います。
脳も好物を取られまいと必死ですから効果はすぐには現れないかもしれませんが、繰り返し思い出すことで不安や焦りは小さくなっていくのではないでしょうか。
とはいえ、言葉だけでは心もとないかもしれません。
そのようなときは、自分の行動を変えてみると効果的です。

行動の例

・ 深呼吸をする:鼻から息を大きく吸って、口から時間をかけて吐き出します。深呼吸はただ吸って吐く行為ではなく、お腹を膨らませて空気を吸い込み、吐くことにより集中するものです。自室でも、道端でも、どこでもできる手軽さがあると思います。
・ 居場所を変える:脳みそは意外と単純です。目に見える光景が変わると、思いのほか、簡単に忘れてくれることもあります。トイレへ行く、手を洗うなど、自分の居場所を変えてみるのも良い作戦でしょう。これも手軽にできますね。

これからの季節は、就職、部署異動、年度変わりなど、イベントも増え、落ち着かないときを過ごすことも多いかもしれません。
新型コロナウイルスと上手に付き合いながら、心の健康を維持していきましょう。

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八島菜緒株式会社ドクタートラスト 精神保健福祉士

投稿者プロフィール

精神保健福祉士として精神科医療や障害者福祉に携わり、たくさんの医師や看護師、諸先輩方から臨床を教わってきました。
「産業保健新聞」では、読みやすさとわかりやすさと大切にしたいと思っています。
【保有資格】精神保健福祉士
【詳しいプロフィールを見る】
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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