「生きづらさ」とは?職場における多様性理解

「マイノリティ」と「生きづらさ」

合理的配慮や多様性理解など、昨今は企業に求められる倫理が複雑化していますね。
合理的配慮については数回お話しましたので、今回は「生きづらさ」というキーワードから多様性理解を考えてみたいと思います。
さて、早速ですが「生きづらさ」とはどのようなことだと思いますか?
人間は社会性を持つ動物と言われます。
2020年は、新型コロナウイルスの流行で生活スタイルが変化し、テレワークや都市封鎖などで人と触れあう機会が激減したため「ストレス」を抱えたり「コロナうつ」を感じたりした人が急増したようです。
人は人と関わることが大切だということを感じます。
しかし、世の中には「マイノリティ」の個性を持つことで人との関わりに困難を感じやすい方がたくさん暮らしています。
例えば、LGBTも一例だと思います。
体の性、心の性などが偶然一致した人が大勢多数ですが、不一致を感じる人も少数ですが存在します。
前者は「相手は変わり者だ」と敬遠しがちになり、後者は「相手に分かってもらえない」と憤ることが多く、双方の意識にはすれ違いが起きやすいものです。

マイノリティは大勢の人と価値観を共有できないことで「生きづらさ」を感じやすい傾向にあることが分かります。

職場における「生きづらさ」①:発達障害

発達障害は、得意・不得意という表現ではおさまらないような突出した個性を持ちます。
このような例があります。

[ 目からの情報はよく取り入れるが、耳からの情報は理解が難しい ]

職場においては、口頭でアッサリと指示が降りることは珍しくありませんよね。
多くの人は、目からの情報も耳からの情報もある程度の理解ができるものですが、このような個性を持つと耳からの情報が処理できず混乱してしまいます。
これはほんの一例ですが、実際の医療現場でも「職場でうまく理解できない」とうつ症状を訴えた方が発達障害であることは多いものです。

職場における「生きづらさ」②:パーソナリティ障害

パーソナリティ障害はそれほど珍しい障害ではなく、身近にいらっしゃるかもしれません。
大雑把に表すと、「三つ子の魂が非常に独特な形で固まった大人」でしょうか。
「パーソナリティ」とは、性格の骨組みのようなものです。
幼少期から時間をかけて形成されるもので、周囲の大人たちの「しつけ」や「社会通念」などで整えられます。
この障害を持つ方は、自分を受け入れてもらいたいがあまり排他的になったり、自身の信条を信じて疑わないために人を操作したり答えを強要したりします。
つまり、気持ちの譲り合いが苦手であるため、社会人になった後も友人作りに悩んだり、勤め先などのコミュニティで揉め事を起こしたりしてしまうのです。
マイノリティは悪いことではありませんが、あまりにも問題を抱えてしまうのであれば他者とのバランスを整えた方が、お互い過ごしやすいですよね。
その必要性を本人が感じ、意欲があれば、認知療法などで生きやすさを探っていくことができます。

職場における「生きづらさ」③:IQの問題

IQは「良い」「悪い」のものさしだと思っていませんか?
メディアの誘導もありますが、低ければ悪い、高ければ天才といった偏見が根強いように感じます。
IQとは「知的能力を示す指数」のことです。
足が速い遅い、身長が高い低いということと同様に、人の個性を示す指標の一つにすぎません。
IQは100が平均です。
多くの方がこのあたりにあるため、考え方や思考力は他者と十分に共有できます。
しかし一方で、低すぎたり高すぎたりするとその限りではなくなり、途端に課題が増え「生きづらさ」を感じやすい状況になります。
例えば、IQが低めだと会話が十分に理解できなかったり、咄嗟の判断に困ったりします。
これは、考えるための力が不足していることに起因します。
私が実際に出会ったことのあるAさんは、「上司に注意されてばかりで辛い」と言う訴えで精神科を受診しました。
指示内容を十分に理解できないAさんは日常的に叱責され「なぜ自分はできないんだろう」と、戸惑いを強めたようです。
検査の末、IQが平均より低いことがわかったのですが、自分の個性を自分でよく理解している方で「考えることは苦手でも体を動かす業務は得意。仕事は好き」と、おっしゃっていました。
周囲の理解があれば働き続けることができた例だったのではないでしょうか。
加えると、IQが高くてもつまずくことはあります。
前者とは反対に考える力が溢れていることから、多くの人が及ばない思考に至ったり、先を読み過ぎて人に理解されなかったりする傾向があります。
現代は、多様性の時代と言われます。
さまざまな個性を受け入れるためには、想像力が欠かせません。
大勢多数がマイノリティの「生きづらさ」を想像し、多様性を尊重できるようになると、労働力の安定にも繋がるのではないでしょうか。
想像力で視野を広げ、いろいろな人を大切にできる職場風土を作っていきたいですね。

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八島菜緒株式会社ドクタートラスト 精神保健福祉士

投稿者プロフィール

精神保健福祉士として精神科医療や障害者福祉に携わり、たくさんの医師や看護師、諸先輩方から臨床を教わってきました。
「産業保健新聞」では、読みやすさとわかりやすさと大切にしたいと思っています。
【保有資格】精神保健福祉士
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