来年度の健康診断に向けて衛生委員会で検討しよう!

健康診断結果に対する対策については、衛生委員会での協議事項として労働安全衛生規則第22条で規定されていますよね。

(衛生委員会の付議事項)
第22条 法第18条第1項第4号の労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項には、次の事項が含まれるものとする。
1 衛生に関する規程の作成に関すること。
2 法第28条の2第1項又は第57条の3第1項及び第2項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るものに関すること。
3 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
4 衛生教育の実施計画の作成に関すること。
5 法第57条の4第1項及び第57条の5第1項の規定により行われる有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
6 法第65条第1項又は第5項の規定により行われる作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること。
7 定期に行われる健康診断、法第66条第4項の規定による指示を受けて行われる臨時の健康診断、法第6条の2の自ら受けた健康診断及び法に基づく他の省令の規定に基づいて行われる医師の診断、診察又は処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
8 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。
9 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
10 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。
11 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること。

今回は、そんな健康診断に関して、衛生委員会で検討するとよい事項についてわかりやすくご紹介します。

来年度の計画を検討する前に…今年度の受診率や有所見率を共有

みなさん今年度の健康診断の受診率や有所見率について、衛生委員会で共有はできているでしょうか。
来年度の計画を立てる前に、まずは今年度の結果について、受診率や各検査項目の有所見率を整理し分析しましょう。
昨年と比較して改善したか? 全国平均よりも良いか? どの項目が悪いか? などを整理し、課題を共有してください。
衛生委員会は、産業医、会社側、従業員側の3者から、多角的な視点で意見が出る貴重な場ですので、有所見率が高い項目の要因(残業が多いなど)や改善策について、新たな発見があるかもしれません。

受診率や有所見率をもとに衛生委員会としても目標や計画を立てよう

受診率の向上のために

受診率を上げるために、さまざまな工夫をしている会社もあります。
たとえば、受診率100%の部署を表彰したたり、受診率や有所見率が優秀な部署や個人にインセンティブを出したりする会社もあります。
また、日程か近づいてきたら衛生委員会メンバーから受診の呼びかけに力を入れている会社もあります。
あなたの会社で、または衛生委員会としてどのような工夫ができるか考え出し合うことが効果的です。

健康教育の検討

あなたの会社の有所見率はどの項目が最も高かったでしょうか?
その項目について、健康教育(社内研修)を行うことも有所見率の改善の方法のひとつです。
また、健診が始まる前に、健診内容(どんな項目があるのか、オプション検査の内容)、健診後の精密検査や特定保健指導について説明する研修を行っても良いかもしれません。

効果的な健診の予約方法、医療機関、検査項目の見直しを考えよう

健診時期

今年度は新型コロナウイルスの影響で健診時期が大幅にずれ込んだ会社も多くあるかと思います。
例年とくらべて受診率はどうであったか、繁忙期をずらして受診しやすい時期に実施できているかなどを、見直しましょう。

健診の予約方法

健診の予約方法はいかがでしょうか?
個人で健診の予約をとっている会社もあれば、会社(衛生管理者や人事担当者)で健診日時を決めている企業もあるかと思います。
どちらが社員にとって効果的か、業務内容や勤務体制、社内の風土等から検討しましょう。

医療機関

医療機関はどうでしょうか?
在宅勤務者にとっては、複数の医療機関の中から受診先を選択できるほうが、より自宅から受診しやすく受診率が高くなるかもしれません。
しかし、会社にとっては、医療機関が分散することで料金が割高になり、さらに、データの管理が難しくなることもあるでしょう。
また、医療機関によって健診結果の様式が異なるため、産業医などのスタッフが確認したりする際に、チェックに時間がかかるデメリットもあります。
メリットデメリットを比較し、検討しましょう。

検査項目

検査項目については、法定項目のほか、オプションでがん検診(乳がんや子宮がん前立腺がん、ピロリ菌検査など)、SAS(睡眠時無呼吸症候群)の検査を会社で費用負担しているところも多くあるのではないでしょうか。
年齢層や業種などその会社の特色によってオプションの種類についても検討すると良いですね。
費用の面や会社の方針とのすり合わせも必要ですが、産業医やメンバーの意見を出し合って検討していきましょう。

健診結果について、「産業保健新聞」を運営するドクタートラストでは、健康管理システムのWellgoを活用し健診結果の管理をしています。
Wellgoを使用すれば、部署ごとの受診率や傾向も集計できますし、健診事後措置の面談記録や健康相談記録も一括して管理できます。
人事や衛生管理者などの担当者の負担がなるべく減るように、データ管理の方法もこの機会に考えてみてはいかがでしょうか?

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根本裕美子株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

行政保健師として特定保健指導、介護予防事業などを実施するなかで、働きざかりの方の健康づくりが重要であることを実感し、現在、産業保健師として働いています。
これまでの経験を活かし、わかりやすい、役立つ情報を提供します。
【保有資格】看護師、保健師
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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