冬に向けて準備を~最新!オフィスでできる新型コロナ対策~

今も世界中で広がりを見せる新型コロナウイルス感染症。
GoToトラベルやGoToイートなど、日本国内ではさまざまなキャンペーンが始まり、通勤時の列車の混雑具合も以前の状況に戻りつつあるように感じます。
「感染したらどうしよう」と不安を抱えていても、少しずつ、自分事から他人事になっている方もいるのではないでしょうか。
2020年10月15日、東京都内の新型コロナウイルスに関する「モニタリング会議」では、警戒レベルは維持したものの「新たな感染の確認などが高い水準のまま増加しているため、再拡大に警戒が必要であると思われる」と評価し、対策をしなければ感染者が増加すると指摘しています。
今回は、新型コロナウイルスに関して新たに明らかになった情報をもとに、オフィスでできる新型コロナウイルス感染症対策についてわかりやすく説明します。

新型コロナウイルスが冬に流行すると懸念されている理由

夏が終わり、気温が低くくなり、冬の足音が聞こえてきました。
以前より、新型コロナウイルスは冬に増加するのではないかと懸念されていました。
呼吸器系のウイルス感染症は、乾燥した空気がウイルスの安定性や伝播力を高め、加えて上気道が乾燥したり免疫系が弱ったりするため、冬に増加する傾向にあります。
世界中でさまざま行われてきた「気温・湿度と新型コロナウイルス」にまつわる研究でも、温度・湿度が低い地域のほうが、高い地域よりも新型コロナは伝播しやすい*1とわかってきました。
現状でも不明点が多く、一概に「冬=必ず新型コロナウイルスが流行する」と断言はできないものの、「夏とくらべ流行しやすい環境になる」は言えそうです。

新たにわかった感染経路や感染のリスク

また、新型コロナウイルスに関して、以下のように新たな事実が判明し始めています。

空気感染と湿度

10月5日、米国疾病対策センター(CDC)が、「空気感染」を新型コロナウイルス感染症の感染経路の一つとして認めました。*2
空気感染とは、ウイルスそのものが空気中を数分から数時間にわたり浮遊し、ときには2m以上遠くに飛び、そのウイルスを体内に取り込んでしまうことで感染が成立するといったものです。
空気感染は「換気が悪い空間や運動などの呼吸数が増える場合」など、特定の条件下で起きるとしています。
また、10月13日に理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」で新型コロナウイルス対策の評価をするチームが、「オフィス内を想定し1.8メートル先に座る向かいの人にかかる飛沫の数を予測した結果、湿度が90%の場合にくらべ、湿度が30%まで乾燥すると飛まつが霧状に広がりやすくなり、かかる飛沫が3倍に上る」と発表しました。
つまり、新型コロナウイルスは空気感染も一つの感染経路であり、ウイルスの飛沫は乾燥した空間では広がりやすく、人にかかる飛沫量も増えるということです。

正面のよりも左右の席が感染のリスクが高い

皆さんはオフィスで、正面の人、横隣りの人、どちらの方と会話をするときに気を付けていますか?
10月13日、理化学研究所は「4人掛けテーブルで最も飛沫をかぶるリスクが高いのは、感染者の正面ではなく横に座る人」と発表しました。
正面よりも横隣のほうが距離が近いためと考えられています。

マスクの着用は意味ある

今では外出のエチケットやマナーにもなりつつあり、つけていない人を見かけることのほうが少ない「マスク」。
果たして意味があるのか、と疑問に思っている方もいるでしょう。
米国の首相が公の場ではマスクをつけていなかったことが新型コロナウイルスに罹患に関係しているのではないかと、少し話題にもなりましたね。
現在では、ユニバーサルマスクという考えが浸透しつつありますが、実際に「マスク着用は意味がある」と言えるエビデンスが揃いつつあります。
具体的には、ハムスターに新型コロナウイルスを感染させ、マスクの着用の有無から、感染予防の効果や重症化阻止効果について示した実験結果が発表されています。*3

オフィスでできるコロナ対策

これら事実から、あらためてオフィスでできる新型コロナウイルス対策についてお伝えいたします。

湿度管理

改めて皆さんのデスクの周り、オフィス内を見渡してみてください。
「温度・湿度計」はありますか?
もしある場合は、今の湿度を確認してみてください。
加湿器などを活用して、「湿度60%程度」を保つようにしてください。
また、オフィス内の定期的な換気も引き続きしましょう。
もし湿度計が設置されていない場合は、「感染症対策」の観点からもぜひ導入してください。

隣り合う席にも配慮を

オフィスにパーテーションを設置したり、ソーシャルディスタンスを保てるような距離を保つように工夫されている企業もあるでしょう。
今一度、隣り合う席の間に仕切りが設けられているか、距離は保てているかを確認しましょう。
また、横隣りの人と話すときに、マスクを外していませんか?
会話時には特に、飛沫が飛散するためマスク着用を徹底しましょう。

改めて基本的な感染対策の徹底を

前述のとおり、CDCは「空気感染」を新型コロナウイルス感染症の感染経路の一つとして認めました。
しかし新たな感染対策の発表はなされておらず、今まで同様の基本的な感染予防対策が欠かせません。
3密空間を避け、マスクの着用や手洗い・手指消毒を徹底すること、これら行動を続けていきましょう。

<参考>
*1 「Effects of temperature and humidity on the spread of COVID-19: A systematic review」
*2 「COVID-19 can sometimes be spread by airborne transmission」
*3 「Surgical Mask Partition Reduces the Risk of Noncontact Transmission in a Golden Syrian Hamster Model for Coronavirus Disease 2019 (COVID-19)」

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原田 佑紀子株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

大学病院やクリニックで看護師として、さまざまな疾患をもつ働き盛りの年代の患者様を間近で看護させていただくなかで、からだとこころは密接に関係している、と強く実感しました。
「病気」に目を向けるだけではなく、病気になることで揺れ動くこころや生活を支え、健康に働くことをサポートする役割になりたいという思いから、産業保健師として活動しています。皆さんの「知りたい」最新の産業保健の情報を伝えられたらと思います!
【保有資格】看護師、保健師、人間ドック健診情報管理指導士、睡眠健康指導士上級
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