令和2年版男女共同参画白書を読んでみよう

令和2年版男女共同参画白書を読んでみよう

2020年7月、2020年版の「男女共同参画白書」が内閣府より公表されました。
男女共同参画社会とは、男女共同参画社会基本法2条で以下のとおり定められています。

(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 男女共同参画社会の形成 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を形成することをいう。
男女共同参画社会基本法

そしてこの男女共同参画社会基本法12条に基づき作成している年次報告書が「男女共同参画白書」です。

(年次報告等)
第12条 政府は、毎年、国会に、男女共同参画社会の形成の状況及び政府が講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての報告を提出しなければならない。
2 政府は、毎年、前項の報告に係る男女共同参画社会の形成の状況を考慮して講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。男女共同参画社会基本法

今回は、男女参画社会基本法の概要と2020年版「男女共同参画白書」をみていきます。

5つの柱を掲げる男女共同参画社会基本法

男女共同参画社会基本法では、男女共同参画社会を実現するために下記の5本の柱を掲げています。

① 男女の人権の尊重
② 社内における制度または慣行についての配慮
③ 政策等の立案および決定への共同参画
④ 家庭生活における活動と他の活動の両立
⑤ 国際的協調

男性も女性も意欲に応じてあらゆる分野で活躍できる社会をイメージし、仕事、家庭、地域生活等、多様な活動を自らの希望に沿ったかたちで展開でき、男性も女性も夢や希望を実現しひとりひとり豊かな人生を送ることを目指しています。

2020年版「男女共同参画白書」特集の背景

前述のとおり、「男女共同参画白書」は男女共同参画社会基本法に基づき国会に提出しなければならない年次報告書であり、例年男女共同参画週間の6月23日~6月29日に合わせて閣議決定されています。
2020年版「男女共同参画白書」の特集は「『家事・育児・介護」と『仕事』のバランス~個人は、家庭は、社会はどう向き合っていくか~」。
これまでワーク・ライフ・バランスでは、個人の働きすぎ防止、仕事と生活の調和、仕事と家庭の両立に着目してきました。
一方で、女性が家事・育児・介護の多くを担っている現状の中では、仕事での働きすぎだけではなく、家事・育児・介護の働きすぎの影響も考えることが求められます。
また、共働きの増加など、家族のあり方が変化する中で、家事・育児・介護において男性が主体的な役割を果たしていくことがますます重要になっています。
2020年版「男女共同参画白書」では、家事・育児・介護に多くの時間を割いている人にとってのバランスをめぐる状況や、家庭内での家事・育児・介護の分担に焦点をあてて、男女にとってのバランスの推移や現状、課題を整理しています。

2020年版「男女共同参画白書」の特集

2020年版「男女共同参画白書」の特集「『家事・育児・介護」と『仕事』のバランス~個人は、家庭は、社会はどう向き合っていくか~」は次の3章から構成されています。

① 家事・育児・介護と仕事のバランスをめぐる推移
② 家族類型から見た家事・育児・介護と仕事の現状
③ より良いバランス・分担に向けて

今回は「③ より良いバランス・分担に向けて」を詳しく見ていきましょう。

1. バランスや分担をめぐる課題

2020年版「男女共同参画白書」では、育児時間や介護時間の長さが生活の質低下につながっていることもあると考察しています。
仕事をしている女性は育児時間が長くなるほど生活満足度が低下し、抑うつや不安が強くなる傾向があり、介護時間は男女とも長いほど生活満足度が下がり、抑うつや不安が強い傾向があります。
育児をしている場合の就業継続等の難しさについて、未就学児のいる女性は仕事等時間、育児・家事時間の合計が最長であることと関連しており、子どもの成長に応じて、必ずしも育児・家事負担は軽くならず、希望していたような働きができないということです。
また、第1子の妊娠・出産を機に仕事を辞めた理由は「子育てをしながら仕事を続けることは大変だったから」が最も高く過半数でした。
正社員でフルタイム勤務を希望する女性は、保育園・幼稚園段階でいったん上昇し、小学生段階で約1割に落ち込み、代わりに非正社員で時短勤務が増加しています。
介護離職の状況について、介護をしている人の離職割合は1~2割程度ですが、介護が必要な親の有無にかかわらず、男女とも7割以上の人が不安を感じています。

2. より良いバランス・分担に向けた視点

より良いバランスや分担を実現するには、2つの視点が必要です。
一つは、男性の家事・育児・介護の参画と個人や家庭の対応力の向上の視点です。
家事・育児・介護の負担が女性に片寄り、生活の質への影響、就業継続や仕事との両立の難しさにつながっている状況を改善するには、男性に期待されている仕事のあり方、男性の仕事への向き合い方の変革とあわせて、男性の家事・育児・介護への参画を進めていくことが求められます。
また、女性の仕事による稼得役割を確保し、男性が家族のケアを担えるようしておくことは、家庭単位でみた場合のリスクヘッジの側面もあります。
もう一つは、家事・育児・介護における働きすぎを防ぐ時間です。
小さな子どもがいる家庭や一人親家庭では、男女にかかわらず仕事、家事、育児の時間は長いことがわかってます。
さらに、介護時間の長さによる負担や仕事との両立困難もまた男女にかかわりません。
家事・育児・介護は家庭内で分担するだけではなく、担い手の多様化や外部のサービスの活用等も重要になってきます。

2020年版「男女共同参画白書」が生きていくうえで切り離せない仕事・家事・育児・介護について少しでも知っていただく、考えていただく機会になっていたら幸いです。

【参考】
内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 令和2年版」

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