【動画あり】「抗原」「抗体」ってなに? コロナ抗体検査は必要?

※解説動画は最下部にあります

COVID19の感染者数がまた増加に転じ、これからどうなるのだろうと不安な日々を過ごしている方が多いと思います。
3、4月の頃と違い、現在はPCR検査のほかに「抗原検査」や「抗体検査」という用語をよく耳にするようになりました。
PCR検査は特定の医療機関や保健所を通じて行うため実施のハードルが上がりますが、「抗体検査」は簡易検査キットも流通しており、自費診療のため取り扱いのある医療機関で受けたり、一部ネットでも入手でき、自宅でも検査ができるようになっています。
検査キットは5月頃に流通が始まり、検査が受けられるようになってすぐの頃は「受けてみたいかも!」と思いましたが、この抗体検査、果たして必要なものでしょうか?
今回は、抗原と抗体の違い、それに抗原検査と抗体検査についてわかりやすく説明します。

抗原と抗体=泥棒と警察?

そもそも抗原と抗体の違いをご存知ですか?
「抗原」とは、ウイルスや細菌のほかアレルギーを引き起こす花粉や卵などの、体に免疫反応を起こす物質そのものを指します。
一方「抗体」は免疫グロブリンというたんぱく質のことで、体に入ってきた異物(ウイルスや細菌、花粉など)にぴったりと適合して、その異物を排除するように働きかけるものです。
つまり、「抗原」は外部から体内に侵入してくるもの、「抗体」は異物が入ってきた時に体の中で作られる警察のようなものだと思ってください。
コロナウイルス感染症の場合を考えてみましょう。
「抗原検査」では咽頭ぬぐい液やだ液の中にCOVID19そのものがいるかどうかを調べています。
一方「抗体検査」では、抗体というたんぱく質ができているかどうかを調べています。

<抗原検査>
① 現在コロナウイルスに感染している → 抗原(+)
② 過去にコロナウイルスに感染していたが治癒した → 抗原(−)
③ 一度も感染したことがない → 抗原(−)

抗原検査では「過去に感染したかどうかはわからないけれど、現時点でコロナウイルスは体内にいない(感染していない)」という判断ができます。
一方、抗体検査では以下の通りです。

<抗体検査>
① 現在コロナウイルスに感染している→(+)(−)両方のパターンの可能性
② 過去にコロナウイルスに感染していた→(+)(−)両方のパターンの可能性
③ 一度も感染したことがない→(−)

抗体検査において①と②はどうして両方のパターンが出てしまうのでしょうか。
COVID19はまだ十分に全容が把握できていない感染症です。
そのため、感染してからどのくらいの時間で抗体ができるのか、また、感染して獲得した抗体が一体どのくらいの期間続くのかがわかっていません。
麻疹などのように一度子どもの時にかかってしまえばずっと免疫が続くものなのか、それとも感染して抗体を獲得しても数ヶ月〜数年で消失してしまうものなのかがわからないのです。
そのため①の場合、実は感染しているけれど、感染のごく初期でまだ抗体ができていない可能性も考えられますし、②の場合は過去に感染したことがあるけれどすでに抗体が消失している可能性があるため、+と−両方のパターンが考えられます。

抗体検査だけでは不十分

他の感染症の話ですが、たとえば「C型肝炎」は、現在とても良く効く薬ができたのでほとんどのケースで治るようになりました。
しかし、治って体の中にウイルスがいなくなったとしても抗体はなくならないので、血液検査で調べると抗原(−)、抗体(+)という結果になります。
これは、ウイルスそのものはいなくなっても、肝炎ウイルスに対する反応としてできた抗体は基本的になくならないからです。
そのため、肝炎の検査では抗体検査だけを行っても現在感染していないことの証明にはならないので、必ず抗原検査・抗体検査をセットで行なって、過去に感染していたのか、現在感染していないかということを調べます。

抗体検査は何のため?

では、コロナウイルスの抗体検査にまったく意味がないかというと、そういう訳ではありません。
日本では、東京都、大阪府、宮城県で計7,950人を対象に大規模な抗体検査を実施しました。
これは個人個人が「感染の可能性を知る目的」で行なったものではなく、無作為に対象者を抽出して検査を行うことで、市中感染の広がりや抗体保有率を調査する目的で行われたものです。
結果は、東京都0.1%、大阪府0.17%、宮城県0.03%でした。
症状のあるコロナウイルスが疑われる人に実施したPCR検査の数と陽性率を調査しても、実際に日本でどのくらいの人が感染している(もしくは感染していた)かが十分に把握できないからです。
このように、抗体検査は研究や調査のために用いたり、抗原検査とセットで補助的に実施することに意味があります。
安易に抗体検査だけを受けて陰性だったから大丈夫!と思うことが一番心配で、もしかしたら感染のごく初期かもしれないし明日感染するかもしれないということを十分に心に留めていただきたいなと思います。

動画でもっとわかりやすく! PCR検査、抗原検査、抗体検査の違いをわかりやすく解説しています

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田中 祥子

田中 祥子株式会社ドクタートラスト 産業保健部 保健師

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企業の健康管理室で働いていた経験をさまざまなかたちで皆さまにお届けします。
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