在宅勤務中のコミュニケーションが成功する部署とギクシャクしてしまう部署の違いは?

新型コロナウイルス感染症拡大により、在宅勤務は今までにない速さで広がりました。
とはいえ、在宅勤務を可能にする「ツール」はなんとか手にしたけれども、在宅勤務運用の確立や実態把握はこれからという企業がほとんどではないでしょうか。
在宅勤務への移行は速やかにできたものの、心身への影響を組織として担保するにはあまりにも時間がなさすぎました。
今後新型コロナウイルスが収束したとしても、すべてが元に戻るのではなく、そこには「働く」スタイルや価値観の多様性が存在し、コミュニケーションひとつとってもさまざまな形が乱立することが容易に想像できます。

想像できない・予想できない、それがストレスとなる

在宅勤務になって、チャットなどによるテキストコミュニケーションの頻度が上がった人が多いと思います。
「チャットはプライベートでもよく使っているから」と侮るなかれ。
やはり仕事で使用するとなると、また違った負担がかかってくるものなのです。
そもそもチャットなどのテキストコミュニケーションは、対面でのコミュニケーションがもつ約90%の情報が欠如するといわれています。
いわゆる「メラビアンの法則」です。

①【言語情報】言葉7%
②【視覚情報】態度(見た目・表情)55%
③【聴覚情報】声(大きさ、質、話し方)38%

本来言葉(テキスト)だけの情報はたったの7%。
それ以外はいわゆる非言語情報で、それが7%の理解を助け、伝わりやすくしているのです。
それゆえに、7%のテキストだけで、相互理解をし議論を進めていこうとする仕事上でのテキストコミュニケーションは、疲労して当然なのです。
またテキストコミュニケーションは、無機質で冷たい印象を与えやすいものです。
簡潔性が暗に求められ、前置きや雑談なども圧倒的に少なくなる傾向にあります。
その分攻撃的と受け取られる傾向にあるのは頷けるところだと思います。

「これ何が言いたいんだろう?」
「え?どういう意図で言っている?」
「既読になるのに返事がないというのは何を意味しているの?」

仕事上のチャットなどのやりとりで心がざわついた経験は誰にでもあるかと思います。
また「意識の再構築」と言われるテキストコミュニケーションは、自身の考えをまとめて発信することがほとんどです。
熟考した内容であればあるほど相手に伝わっていると思いがちですが、もちろんそれは別の話。
送り手は「相手にどう伝わっているか」をリアルタイムで感じられないがゆえに、言葉が自身の手から離れても、その言葉にあれこれと思いを巡らすことになるしんどさもあります。
人は予想できないことに不安を覚えます。
テキストメッセージを送る側も送られる側も、対面であれば補える情報がないがゆえに「想像できない」「予想できない」という状態が付きまとい、コミュニケーション疲労に陥りやすいのです。

通常の「在宅勤務」とは違うことに気づくことから

そんなテキストコミュニケーションを今まで以上に頻繁に使用して仕事を進めるように要請されていますが、そもそも今の状態では、コロナ禍でのストレスというものがベースにあることを本人はじめ上司は理解していないといけません。

「大好きなイベントに行けるようになったら、やっていける気はするんですけどね」

これは先日ある企業で実施した面談で、対象者が最後に苦笑しながら仰った言葉です。
ストレス緩衝となっていたあれこれができなくなることによるセルフケア機能の低下に少なからずみんなが陥っています。
今まで流せていたことも流せない、そんな状況の上での在宅勤務、そしてテキストコミュニケーション。
通常での在宅勤務とは違い、そもそもストレス度合いのベースが一段階あがっているものだと思っておくことがまずは大切です。

今問われているのは、在宅勤務前のコミュニケーション

コミュニケーションだけではなく、今回のコロナショックによってさまざまな問題が職場で発生しています。
企業に起こるそれらは、「発生」よりも「表出」の方がしっくりくるように感じています。
今までセルフケアやラインケアが働いて、なんとなく見過ごせてきた問題が表面化したといったところでしょうか。
今問われているのは「コロナショック前のコミュニケーションの質の結果」なのかもしれません。
関係性が貯蓄されているチームは、今のように物理的距離ができていてもやはり強い。
たとえテキストコミュニケーションのみでも、今までの関係性の貯金から、テキストから「声」が聞こえてくる・どういう言い方をしているか想像できる・何を言わんとしているか想像できるものです。
想像できる・予想できる、それでけでもテキストコミュニケーションの疲労が軽減されるのです。
働き方が変われば、他者との繋がり方、また組織力のスキルも時代とともに変わっていきます。
数あるコミュニケーション手段のすべては相互補完性をもっており、どの場面でどの手段をとるかの選択自体も、今後はコミュニケーションスキルの一つともいえるかもしれません。
もちろんすべてはツールであって、使う側のコミュニケーションスキルを保証するものではありません。
テキストコミュニケーションの特徴を知り、たとえば「雑談」も意識的に投げかけていかないといけないかもしれない、自己開示も積極的にビジネス上でも行っていかないといけないかもしれない……便利なツールはあれども「楽な」手段というのはない、そう痛感するこの頃です。
物理的距離をとっても、心理的距離は近づけていくスキルをこの時期に獲得したいものですね。

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精神保健福祉士 須田

精神保健福祉士 須田株式会社ドクタートラスト 精神保健福祉士

投稿者プロフィール

メンタルクリニックでのカウンセリング従事の後、「働く人」を理解すべく一般企業にて勤務。その後ドクタートラストに入社。
自然成長は望めない時代だからこそ、「個」と「組織」の両面に、健康という手段をもってアプローチすること大切だと思っています。知識ではなく、明日から職場で使える「スキル」を発信し、働くことが楽しいと思える社会の構築を各現場から作っていけたらと思います。
【保有資格】精神保健福祉、産業カウンセラー、第二種衛生管理者、健康経営アドバイザー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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