先行き不透明な新型コロナウイルス、私たちが心掛けたい「こころのヒント」とは?

新緑がきれいな季節になりました。
しかし、今年は新型コロナウイルスの感染拡大で「それどころではない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

日本においても、政府が東京都など7都府県に緊急事態宣言を発令した4月7日以降も収まる気配がありません。
この新型コロナウイルスは、一体いつまで続くのでしょう。
筆者がこの記事を執筆した4月中旬時点での報道や識者の見解では、1年以上続くというのが多いようです〔例えば※1〕。

そうなると、私たちの生活への影響も長引きそうです。
このこと自体が苦痛ですが、この新型コロナウイルスによって、私たちの生活の先行きが不透明になることが、私たちを一層イライラや不安にさせてはいないでしょうか。
今回は、この先行きが不透明、言い換えれば、先行きが曖昧な状況に対して、私たちが心掛けたい「こころヒント」をお伝えします。

曖昧さへの態度

私たちは、就職や転職したときや異動で新しい部署に移ったときなど、新しい人たちに囲まれたときに不安に思ったり、あるいは、「新天地」での毎日にわくわくすることもあるかと思います。
このような、先行きが不透明な、言い換えれば、曖昧な状況に対して私たちが持つ考えや気持ちのことを「曖昧さへの態度」と言います。

そして、曖昧さへの態度は以下の5種類あると提起されています〔※2を一部改変〕

1.享受:曖昧さを魅力的なものと評価し、関与していくことに楽しみを見出す傾向や態度
2.不安:曖昧さに対する不安などの情緒的混乱とそれに伴う対処の難しさを感じる傾向や態度
3.受容:曖昧さをそのまま認めて受け入れられる、曖昧さへの親和性や寛容さを表す傾向や態度
4.統制:曖昧な状況を否定的に評価し、知的に把握・対処(統制)しようとする傾向や態度
5.排除:曖昧さを認めず、排除して白黒つけたい傾向や態度

このうち、「不安」の態度を持つ人は強迫傾向や抑うつ傾向との関連があることが明らかになっています。(※2)
では、私たちは、曖昧な状況に対してどのように対処したらよいのでしょうか。

「割り切る」ことの重要性

「割り切る」こと、言わば前向きに「諦める」ことが曖昧な状況に対して有効である、という研究があります。(※3)
この研究によると、曖昧さに対する耐性が高いほど、言い換えれば「曖昧さに耐えられるほどうまくわりきることができ(中略)、次の目標に移行しやすく(中略)、精神的に健康である」(※3)ことが明らかになりました。
これは、曖昧な状況に対して耐えることができたり、受け入れることができたり、または、楽しんだりすることができるほど、「考え込むよりもわりきって次に進もうと思う」などと考えるようになり、新たな目標を見つけることで、満足感や幸福感を得られやすくなる、というものです。
たとえば、今起こっている新型コロナウイルスによる外出制限が続いている状況に対して、「世の中はこんな状況だから仕方がない」と思い、「じゃあ、家にいる時間が増えたから普段はやらない料理でもしようか」と、ローストビーフを自作して、お酒を片手に家族団らんを楽しむ、などというのはこの好例でしょう。

まとめ

以上のことから、曖昧さに対しては、受け入れたり、楽しんだりすることが大切なのではないかと思います。
また、曖昧な状況を少しでも減らそうと知識を得ることも重要かと思います。
これは先ほど紹介した曖昧さへの態度のうち「統制」に通じるものです。
この知識を得る際には、正しい情報を得ることが肝心です。

たとえば、今の状況で言えば、ウソ情報に惑わされないことや、新型コロナウイルスに限らずウイルス全般の知識を得ようと読みやすそうな本を読んでみることなどが挙げられるでしょう。

一方、不安な時には目の前の今やるべきことに集中して行動することが大切かと思います。これは行動活性化という方法で、以前にこの産業保健新聞でも紹介しています。

いずれにしても、新型コロナウイルスを巡る状況はまだまだ続くと思いますので、まずは感染予防に努め、そして、気持ちに余裕を持って過ごしたいものですね。

<引用・参考資料>
※1
・山中 伸弥(2020). 数年の長期戦になるかも(ハーバード大学の予測) 山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信「感染様式や対策」
※2
・西村 佐彩子(2007).曖昧さへの態度の多次元構造の検討-曖昧性耐性との比較を通して-パーソナリティ研究,15(2),183-194.
※3
・友野 隆成(2018).曖昧さ耐性と精神的健康の関連について-わりきり志向および目標への関与の媒介効果についての検討-日本健康心理学会第31回大会発表論文集,121.
・米田 晃久(2012). Tolerance of Ambiguity概念の再考と曖昧な場面における行動との関連-異文化接触場面を中心として-神戸大学大学院(学位論文)

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中島 健太

中島 健太株式会社ドクタートラスト 公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラー

投稿者プロフィール

約20年間事務職に従事した後、ドクタートラストに入社。主に官公庁でのストレスチェックの受託業務を担当しています。
ストレスチェックは2015年12月に開始された新しい制度ですが、働く方のメンタルヘルスの改善に大いに役立つ可能性を秘めていると感じています。
「産業保健新聞」では、心理学分野から皆さまのメンタルヘルスに役立つ話題や、ストレスチェックに関連した話題を多く取り上げたいと思います。
【保有資格】公認心理師、臨床心理士、産業カウンセラー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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