テレワークでもハンコをもらいに出社~ペーパーレス化が普及しない理由~

緊急事態宣言により、ふだんであれば人混みの繁華街なども人気が少なくなりました。
テレワークやリモート会議を行っている方も多いのではないでしょうか。
一方で、テレワークにも関わらず書類の押印のため出社しなくてはならないと言う人がSNS上で相次ぎ、話題となりました。
アドビシステムズ株式会社が行ったアンケート調査によると、テレワーク勤務を経験した男女500名のうち、「紙書類の確認や捺印などでやむなく出社」と回答した人は64.2%に上りました。
テレワークに移行できる柔軟性がある企業でもペーパーレス化に移行できない理由は一体何なのでしょうか、わかりやすく解説します。

ペーパーレス化の現状

ペーパーレス化とは、紙で行われているデータの保管や共有を電子化することを言います。
企業が取り扱う文書に関しては、2016年からはすべての契約書や領収書は電子保存が可能になり、国としてもペーパーレスを推進しています。
ペーパーレスによるメリットは非常に大きく、コストの削減や、環境にやさしいこと、さらに郵送やシュレッダーによる廃棄などの雑務が不要になり、より需要なタスクに注力できるため、生産性の向上も期待でます。
企業にとっては嬉しい点が多いはずですが、日本のペーパーレスの普及率は高くありません。
ペーパーロジック株式会社が東京の経営者・役員111名を対象にしたアンケートによると、すべての書類を紙へ印字することなくPCから直接PDFを作成していると返答した企業はわずか9.9%でした。

ペーパーレスが進まない理由

では、ここまでメリットが多いにも関わらず、ペーパーレスの普及率は低いのでしょうか。
ペーパーレスが普及されない理由を3つ紹介します。

1. リテラシー問題

はじめに、ペーパーレス化に移行すると基本的なITスキルの知識が必要とされてきます。
導入時に必要なのはもちろんですが、いざ使用する際に共有や文字の挿入などの基本操作は全社員に必要とされてきます。
特に年配の方はPC操作が苦手という方もまだまだ多く、若手が少ない企業にとって導入が厳しいと感じる企業もあるのではないでしょうか。

2. 既存の紙データを移行できない

過去数十年分の紙の書類が辞書のような厚さになって、棚にしまってある企業は多いのではないでしょうか。
そのような企業にとっては、そのデータ全てをデジタル化するとなると大作業になります。
今までずっとこのやり方だったから、今変える必要はないんじゃないかという考えにもなりやすいですね。

3. 他社が紙の押印でないと認めてくれない

他社に送る請求書や契約書は紙に捺印をしたうえで、原本を郵送しないと認められない、という企業は多いのではないでしょうか。
すでに社内ではペーパーレス化をしている企業でも、クライアントに書類は紙でないと認められないと言われればノーとは言えません。
他者との調和を重んじる日本人の国民性は、災害時には絶賛されましたが、その国民性がこうした思わぬところでネックになっているのではないでしょうか。

ペーパーレスは働き方革命の大きな一歩につながる!

今回のコロナウィルスの影響によって、時差出勤やリモートワークなど自由な働き方がより一層浸透されました。
しかし、自由な働き方の弊害になるのが、会社でしか管理のできない紙やハンコです。
すでにペーパーレスを導入している企業では、今回のような騒動があった際にも柔軟に対応ができますが、データを紙で管理している企業にとっては、リモートワークに必要な設備を整える作業に加え、データのデジタル化作業も加わり、対応が難しくなります。
つまり、「他がやってやないから…」という理由でペーパーレス化を行わないと、すでにデジタル化を行っている企業より柔軟な働き方をするハードルが上がり、いざという時迅速な対応ができなくなるケースがあります。

日々、柔軟な働き方革命が行われている中で、最初の一歩としてペーパーレスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

<参考>
アドビシステムズ株式会社「テレワーク勤務のメリットや課題に関する調査結果」
ペーパーロジック株式会社「「ペーパーレスに伴う 2020 年度予算」に関するアンケート調査」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

信定祐希株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

大学卒業後、飲食業界に入社し、従業員満足度と顧客満足度のつながりが強さを実感してきました。お客さまを幸せにするためには、従業員自身の幸福度が高くないと実現ができません。しかしそれはどの業種においても言えることだと思っています。
ワークライフバランスを整え、活き活きとやりがいのある仕事ができる社会を目指して発信していきたいと思います。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

この著者の最新の記事

関連記事

解説動画つき記事

  1. 【動画あり】改正育児・介護休業法の概要と背景を専門家が解説!

一目置かれる健康知識

ページ上部へ戻る