「コロナ疲れ」はどこからやってくる? 外出しなくても元気な人の過ごし方

皆さんこんにちは、精神保健福祉士の笹井です。
先般、日本政府からも緊急事態宣言が出て、予断を許さない状況になっており、陽気の良い日が続いても、外に出られない状況が続いています。
先日は著名なコメディアンの志村けんさんが新型コロナウィルス感染症による肺炎のためお亡くなりになり、大きく報道され日本中に衝撃が走りました。
いつ自分が感染するかもわからない恐怖に、耐え忍ばなければならない日々、働くみなさんはいかがお過ごしでしょうか?
テレワークやイベントの取りやめ、皆さんそろそろ、いわゆる「コロナ疲れ」が出てきたのではないでしょうか?
今回はこの「コロナ疲れ」への対処方法についてわかりやすく解説します。

現在は災害時です。私たちは被災者なのです

明らかに目に見える台風や地震のような天変地異とは違い、社会が使用できるハード自体はダメージを受けていません。
体も元気であるし、周囲の人も活動を行うので、ついつい平常時のように思えてしまいますが、現在は非常時です。
経済の落ち込みや自粛範囲の広さからいうと、東日本大震災の時より災害の程度は大きいと思われます。
それは、日本全土で自粛の行動がとられるため、日本全体・世界全体で経済の低迷が起きているからです。
テレワークや休業などで、個人の身体的活動が阻害されるので、食生活の変更を余儀なくされたり、日々の運動量が不足したりして、健康に不調をきたしやすくなっています。
全国民が自宅に避難している状況となんら変わらないのです。

コロナ禍は心の疲れが発生しやすい、うつ病になりやすい要因がいくつもそろっている

コロナ禍はうつ病になりやすい要因をいくつも持っています。

学習性無力感を生じやすい

長期にわたり、我々は大きなストレスの回避困難な状況にあると、無力さを感じるようになり、うつ病に類似した症状を呈するようになります。
これを「学習性無力感」といいます。
新型コロナウイルスに対する有効かもしれない薬剤は確認されているものの、画期的な治療薬やワクチンは発見されていないため「自分が感染するかもしれない恐怖感」。
また、所属する企業や経済の先行きが見えないことによる「自らの経済的な不安」。
自分だけでは、どうにも変えることができない現状があると、「自分が有効である有能である」とする自己肯定感が低くなり、どうしても無力さを感じてしまいます。

支援者に共感性疲労を生じやすい

共感性疲労とは、被災者のトラウマや負の体験を、支援者が知らず知らずのうちに追体験してしまい、疲労を感じてしまうことを言います。
医師や看護師や介護職、保育士、公務員など、他者を支援する仕事、主に感情労働といわれる仕事についている人は共感性疲労を起こしやすいとされています。
毎日のニュースでは新型コロナウィルスが大きくとり上げられ、著名人など身近に感じる人が亡くなれば、大きく報道されています。
災害時はニュースやネットなどで、他者の負の部分に触れやすくなっており、支援者でなくても被災者に共感してしまうため、精神的に疲労しやすい状況にあります。
これを放置すると燃え尽き症候群となり、うつ病に似た症状が生じます。

他者の攻撃性について観察学習を生じやすい

自粛をしている中、ある人が外出をしていることについて、これでもかというくらいに攻撃をされている場面見をたことはないでしょうか。
また、有名歌手とのコラボ動画で、家で犬を撫でているだけなのに、これでもかというくらいに攻撃をされている場面見をたことはないでしょうか。
フラストレーションが溜まる現状において、怒りをぶつける場所は限られています。
現在は他者への攻撃を見て「自分もやっていいんだ・こんな時には怒っていいんだ」と観察学習しやすい環境にあります。
怒りやすさは、身近な周囲にも向けられるようになります。

新型コロナウイルス感染症の情報からいったん離れましょう

本来人間は、ケータイ電話やテレビ、インターネットなんかなくても生きていけるのです。
新型コロナウイルス感染症のニュースを見ないことは悪いことではありません。
自分が心なしか「疲れている」「気分が晴れない」と感じた時は、いったんメディアから離れてみましょう。
お酒を飲む、暴食する、遊びに出る、ショッピングをする、などは効果が期待できません。

・ ゆったりとした音楽をかけて、横になる
・ かわいいぬいぐるみを触る
・ 笑うことをする
・ ぐっすり眠る
・ ゆったりと風呂に入る

これらの行動をとってみましょう。
まだまだ、自粛が続く可能性があります。
心と体が元気でなければ、働ける時期になっても万全に働くことができません。
みなさんもご自愛くださいね。

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笹井裕介産業保健部 看護師・精神保健福祉士

投稿者プロフィール

大学卒業後、精神保健福祉士として、精神科クリニックで心理相談、生活相談を担当。その後、看護師資格を取得し病院勤務となる。呼吸器内科・腎代謝科で従事し、ターミナル(終末期)や慢性期の患者さんと関わる。病院勤務を通して、予防医学に興味を持ち、株式会社ドクタートラストに入職。
現在は、電話相談窓口でのハラスメント・メンタル・健康相談対応、企業の人事担当者への提案やコンサルティングを行っている。
【保有資格】看護師、精神保健福祉士、公認心理師
【ドクタートラストのサービスへのお問い合わせはこちら】
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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