外国人留学生の就職率アップのヒントを探そう!

外国人留学生の就職率アップのヒントを探そう!

学生時代に留学や海外生活を経験した方も多いのではないでしょうか。
生活は楽しくても、その環境で働くとなるとまた捉え方は変わってきます。
日常会話以上のレベルの言語力が求められ、独自の習慣などにも慣れなくてはなりません。
それは日本へ学びに来ている外国人留学生も同じです。
今回は、外国人留学生を受け入れる側としての注意点をわかりやすく説明します。

日本で働く外国人は増えている

厚生労働省が2020年1月に公表した「外国人雇用についての届出状況」によると、2019年10月末時点での外国人労働者数は1,658,804人。
前年同期比で198,341人(13.6%)増加し、過去最高を更新しました。
また、外資系企業や通訳など業種に限らず、飲食店やテーマパークなどでも働く外国人を見かけることが多いように感じます。
日本が魅力的な国として捉えられ、世界に「おもてなし」の気持ちが受け入れられていると思うと嬉しいですね。

3省が主体で策定したハンドブックがある

2018年8月に、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の3省共同事務局は、大学、産業界、支援事業者等と連携し、「外国人留学生の就職や採用後の活躍に向けたプロジェクトチーム」を立ち上げています。
この度、プロジェクトチームでの検討を踏まえ、「外国人留学生の採用や入社後の活躍に向けたハンドブック」が策定されました。
内容は以下3項目で構成されています。

・ 外国人留学生の採用・活躍に向けたチェックリスト:外国人留学生等の多様性に応じた採用選考や採用後の柔軟な人材育成や処遇等を実践する際に押さえておくべき12項目を整理
・ 外国人留学生の採用・活躍に向けたチェックリスト活用ガイド:チェックリストの各項目について、必要性や具体的な取組内容、期待される効果等を解説
・ 外国人留学生の採用・活躍に向けたベストプラクティス集:チェックリストの項目に応対する取組を実践する企業事例を紹介

「外国人留学生の採用や入社後の活躍に向けたハンドブック」を利用すると、外国人留学生等を採用する際に気を付けるポイントがチェックでき、さらに他企業の具体的な取り組みを知ることができます。
自社だけで考えられる取り組みには限界がありますので、ぜひ他企業を参考にして進めていきましょう。

事例を紹介!

それでは、ベストプラクティス集のなかからいくつか事例をみてみましょう。

ラマダンのフレックス勤務制度(リングロー株式会社)

イスラム教の断食月(ラマダン)に合わせてフレックス勤務制度を設計・整備。
太陽が出ているうちは飲食ができないため昼休憩が不要になるなど、その期間の行動に合わせて勤務時間を設定することができるようにしました。

お互いの国や文化を知るための勉強会を開催(株式会社東京エンヂニアリング)

外国人社員の母国の文化を知ること、また日本の文化を知ってもらうために勉強会を開催しています。
お互いの国を知るために役立っているようです。

母国の家族の安心感を意識(株式会社ナベヤ)

外国人社員の両親が来日した際には、社長が食事会を設定。総務部長は、すべての外国人社員の親に一度は会うように努めています。

宗教はデリケートな話題ですが避けては通れません。
それぞれの文化なども同じです。
隠すのではなく、知識をつけることで偏見をなくす姿勢が共通しているように感じます。
また、外国人社員の両親に会うという取り組みには驚きました。
社内での取り組みにとどまらず、社外でしかも社員の両親に会うということを思いつかなかったからです。
親からすれば、外国で働く子供が心配でしょうから、会社の人から普段働く様子を聞くことができる機会があると、とても安心すると思います。

「外国人留学生の採用や入社後の活躍に向けたハンドブック」に記載されている企業の多くは「入社時の日本語能力は重要視しない。コミュニケーション能力重視」「日本語習得のための費用は会社負担」という点で共通していました。
また、受け入れる日本人社員に負担がかかりすぎないよう取り組んでいる企業も多かったです。
外国人社員、日本人社員どちらかに気を使いすぎるのではなく、両方のフォローを行うことは大変ですが、将来を見据えるととても大切なことです。
来年度以降の採用活動のヒントにしてみてはいかがでしょうか。

<参考>
・ 厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」
・ 経済産業省、文部科学省、厚生労働省「外国人留学生の採用や入社後の活躍に向けたハンドブック」

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坂田 ひとみ株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

大学では臨床心理学を専攻し、メンタル不調に陥る前にできることはないのか疑問に感じました。働く世代のメンタルに興味をもつ中で「産業保健」という分野のドクタートラストを知り入社。医療職でなくとも働く世代を支えることができる仕事にやりがいを感じ、日々業務に励んでいます。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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