エイジフレンドリーガイドラインが公表されました

エイジフレンドリーガイドラインが公表されました

現在、少子高齢化という社会問題を背景に、「高年齢者雇用安定法」の改正法案が国会で検討されています。
改正法案は2021年4月から適用される見通しで、高齢の労働者が希望すれば70歳まで働き続けられるようにすることが企業の努力義務となります。
高年齢の労働者の就労が一層進むと予想されることを受け、2020年3月16日、厚生労働省が「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」を公表しました。
今回は、エイジフレンドリーガイドラインをわかりやすく紹介します。

エイジフレンドリーガイドラインの趣旨

高年齢の労働者の就労が増えることで、労働災害により休業4日以上となる死傷者のうち、60歳以上が占める割合が増加すると見込まれています。
エイジフレンドリーガイドラインは、こうした見込みが立っている中で、高年齢労働者が安心安全に働けるよう職番環境を整えることを目的に、事業者や労働者に取組が求められる事項を取りまとめています。
厚生労働省はエイジフレンドリーガイドライン普及のため、中小企業に対する個別コンサルティングや、補助事業(エイジフレンドリー補助金)の各種支援を行うとしています。

エイジフレンドリーガイドラインの内容

では、エイジフレンドリーガイドラインの内容はどのようなものなのか、そのポイントを見ていきましょう。

1. 事業者に求められる取り組み

(1)安全衛生管理体制の確立等
経営トップ自らが安全衛生方針を表明し、担当する組織や担当者を指定するとともに、高年齢労働者の身体機能の低下等による労働災害についてリスクアセスメントを実施

経営者自らが高年齢労働者の労働災害について、安全衛生の方針を表明することとしています。
まずは会社としての宣言が大切ということですね。

(2)職場環境の改善
照度の確保、段差の解消、補助機器の導入等、身体機能の低下を補う設備・装置の導入などのハード面の対策とともに、勤務形態等の工夫、ゆとりのある作業スピード等、高年齢労働者の特性を考慮した作業管理などのソフト面の対策も実施

視力低下に合わせて適切な照明の明るさを調整することや、身体機能低下に合わせ作業場の段差の解消をすることなどの物理的な職場環境の工夫が必要とされてます。
また、高年齢労働者に合わせた作業スピードや勤務形態の工夫など仕事の取り組み方にも工夫が求められます。
これらは本人の体力や健康状態によって相談をして決めていくほうが良いでしょう。

(3)高年齢労働者の健康や体力の状況の把握
健康診断や体力チェックにより、事業者、高年齢労働者双方が当該高年齢労働者の健康や体力の状況を客観的に把握

健康診断等により高年齢者の健康状況や体力を適切に把握することが必要とされています。

(4)高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応
健康診断や体力チェックにより把握した個々の高年齢労働者の健康や体力の状況に応じて、安全と健康の点で適合する業務をマッチングするとともに、集団及び個々の高年齢労働者を対象に身体機能の維持向上に取り組む

高年齢労働者の体力や健康状態に応じて適切な内容の業務を割り当てる必要があります。
健康状態にまったくそぐわない体力を使う仕事ふってしまっては、リスクは高まります。
また、高年齢労働者を対象に身体機能の維持向上を取り組んでもらえるよう事業者側での工夫と配慮が必要です。

(5)安全衛生教育
十分な時間をかけ、写真や図、映像等文字以外の情報も活用した教育を実施するとともに、再雇用や再就職等で経験のない業種や業務に従事する高年齢労働者には、特に丁寧な教育訓練を実施

高年齢労働者へは、業務を教えるための教育について工夫が必要とされています。
十分に時間をかけ、例えば写真や図、映像など文字以外の情報を存分に交えわかりやすい教育制度をつくりましょう。
また、経験のない業種や業務に就く場合には、特に丁寧に教育をすることが大切です。

2. 労働者に求められる取り組み

労働者側には以下の取り組みが求められます。

・ 健康診断等による健康や体力の状況の客観的な把握と維持管理
・ 日常的な運動、食習慣の改善等による体力の維持と生活習慣の改善

事業者側と労働者側双方に対し取り組みが求められています。
事業者側では身体機能の低下に対してのケアや作業管理、また健康状態の把握についてなどさまざまな取り組みが必要です。
また、労働者側では自身の生活習慣や健康管理についてが取り組み内容として挙げられています。

終わりに

定年延長や高齢労働者の雇用は、見方によってメリットとデメリットどちらの側面も感じることがあると思います。
しかしながらエイジフレンドリーガイドラインを用いて職場環境を整え、高年齢労働者のその豊富な経験値を社員の育成などうまく企業の中で活かせるように工夫することが、人生100年時代の現代には必要かもしれません。

<参考>
厚生労働省「「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)を公表します」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

外山 佳季株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

大学では日本文学を専攻。教師の道を志すが、就活中に出会ったドクタートラストの健康経営に対するあり方に興味を持ち入社。今ではストレスチェックの事務に従事しており、累計5万人以上のストレスチェック実施事務を経験。実施事務で得た知識を踏まえて皆様に役立つ情報を提供します。
【保有資格】健康経営アドバイザー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

この著者の最新の記事

関連記事

解説動画つき記事

  1. 【動画あり】コロナでどう変わった?24万人のストレスチェック結果を1年前と比較してみたら意外な結果が…!

一目置かれる健康知識

ページ上部へ戻る