肝機能の数値が引っかかるのはお酒の飲みすぎ?~定期健診シーズンの気になる項目~

肝機能の数値が引っかかるのはお酒の飲みすぎ?~定期健診シーズンの気になる項目

新年度に入ってすぐに定期健康診断の方は多いのではないでしょうか。
健康診断では、身長や体重・腹囲をはじめ、血圧や血液検査など、さまざまな項目を測定します。
体重や血圧の変化は比較的わかりやすいものの、血液検査の結果はどの項目が何を示しているのか少し難解ですね。
結果をもらったら、みなさんはきちんとチェックしていますか?
封筒から出さず、そのまま放置……なんてことはありませんか。
血液検査の結果を見ると、結果だけでなく肝機能の障害、中性脂肪が多い……など、その項目がどんな意味を示すのか合わせて説明されていることが多いかと思います。
ただ、アルファベットがずらりと並ぶので、基準値を超えている項目があっても、「結局これが引っかかったから、体の中ではどんなことが起こっているの?」と感じられることもあるかもしれません。
今回は、血液検査の結果の中でも肝臓の機能を示す数値について解説します。
肝機能検査の数値が基準値を超えているとき、主に考えられる原因は何でしょうか?
多くの方が思いつくのが「お酒の飲みすぎ」でしょう。
もちろん正解ですが、実はそれだけではありません。
実際にお酒はほとんど飲まないのに、肝機能異常が示される人はたくさんいます。
肝機能が正常に働いているかを示す検査項目はたくさんあるなかで、健康診断で必ず測定されるのは、ALT(GPT)、AST(GOT)、γ‐GTPの3つです。
どうして3つも測定する必要があるのでしょうか?
これらが示す結果は、それぞれ異なるのです。

検査項目の意味を知ろう

① ALT、AST:基準値…30U/L以下

ALT、ASTとは、細胞内で作られる代謝に関わる酵素のこと。
私たちの身体にはなくてはならないものですが、肝細胞が破壊されると、血液中に漏れ出します。
つまり、これらが高い人は肝臓の細胞が壊れてしまっている疑いがあるのです。
では、ALTとASTの違いはなんでしょうか。実はALTは、肝臓の細胞だけで作られる酵素。
ALTが高値を示す場合、肝機能障害が強く疑われます。
一方ASTは、肝臓のほか、心臓や腎臓にも多く存在する酵素です。
ALTはそれほど高くないのに、ASTだけが極端に高い場合は、肝臓以外の病気の可能性もあるということです。
ALTとASTはセットで見る必要がある項目ということになります。

② γ‐GTP:基準値…50U/L以下

γ‐GTPは肝臓や腎臓で作られるたんぱく質分解酵素。
脂質の分解を助けてくれる胆汁や、その通り道である胆管にも多く存在しています。
胆管に胆石が詰まったり(胆石症)、胆汁の流れが悪くなる(胆汁うっ滞)と血液中に漏れ出し、数値が上昇します。
お酒の飲みすぎはもちろんですが、特定の薬の影響を受けて上昇することもあります。

それぞれが高いと、どんな病気が疑われる?

お酒の飲みすぎでALT、AST、γ‐GTPはいずれも上昇します。
しかし、肝臓が影響を受けるのは、アルコールだけではありません。
原因のひとつとして考えられるのは肥満。
お酒の影響ではなく、肥満や生活習慣が原因となった脂肪肝は「非アルコール性脂肪肝」と呼ばれます。
肝細胞には中性脂肪をため込み、血液中に必要な分だけ放出する働きがありますが、中性脂肪が多すぎると、肝細胞に脂肪がどんどんたまっていくことになります。
この状態が進むと、「脂肪肝」と呼ばれる状態になります。
脂肪肝は、症状が進むと脂肪性肝炎、肝硬変、肝細胞がんと進行してしまう可能性があります。
ALT、ASTが高い場合は、脂肪肝がさらに進んで、すでに肝炎が起こっていることも疑われます。
また、γ‐GTPは脂肪肝でも上昇しますが、γ‐GTPは胆管にも多く存在するため、数値が高い場合は肝機能異常以外にも胆道閉塞や胆石症の疑いもあります。

改善するためには?

ALT、ASTが31~49U/Lまたはγ‐GTP50~99 U/Lの場合は、生活習慣の改善・肥満の場合は減量をしましょう。
合言葉は、「なんでも適量」。
まずは飲酒量を適度にすること。
また、脂肪肝の原因となる脂質の多い食品を控えることも大切です。
中華料理や揚げ物、ラーメン、ファーストフードの頻度を減らすことを心掛けてください。
また、肥満傾向と診断されている場合は摂取カロリーを減らしましょう。
ASTやALTのどちらか片方でも50U/L以上、γ‐GTPが100U/L以上の場合や健診結果で要精密検査と診断された場合は、肝障害がかなり進行している状態であると考えられます。
節酒ではなく、ただちに禁酒が必要な状態です。
また、肝炎には脂肪性肝炎のほかにもウイルス性肝炎があるため、生活習慣だけが必ずしも原因とは言い切れません。
検査数値が高い場合は、すぐに精密検査を受けましょう。
恐ろしいのは、肝機能に異常があっても本人には自覚症状がほとんどないこと。
気づかないうちに症状がどんどん進行し、何らかの不調がみられて受診をしたときにはすでに重症化して肝硬変や肝細胞がんになってしまっていることもあります。
肝臓は、私たちの身体の代謝や有害物質の解毒など、多くの生理代謝に関わっています。
以下のサイトに肝臓のはたらきや関連疾患などがまとめられていますので、ひとつでも基準値を超えているものがあった方は、ぜひ参考にされてみてはいかがでしょうか。

<おすすめサイト>
田辺三菱製薬株式会社「よくわかる!肝機能ナビ」

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