日本人の死因第4位!肺炎の怖さと今気をつけたいこと

日本人の死因第4位!肺炎の怖さと今気をつけたいこと

新型コロナウイルスによる感染症および肺炎の被害が日に日に広がり、「肺炎ってそんなに大変なの?」「肺炎は普通の風邪と違うの?」など改めて肺炎の怖さについて考えた方も多いのではないでしょうか。
意外に感じる方もいるかもしれませんが、厚生労働省が発表した最新の日本人の死因順位では、悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患に次ぐ4位が肺炎となっており、割合としては10%弱です。
3位の脳血管疾患の割合とほぼ変わらないので、年度によって3位〜4位というところです。
現代では、肺炎の診断技術の向上、抗生物質、ワクチンの普及などにより肺炎の治癒率は劇的に向上していますが、少し前まではどの世代の人にとってもすぐに命に直結する病気でした。

肺炎も種類はさまざま

風邪が上気道、いわゆる「のど」に炎症を起こすのに対して、肺炎はのどよりもずっと奥の肺に炎症が起きた状態です。
一言で「肺炎」といっても種類があり、大きく分けて「感染性肺炎」と「非感染性肺炎」があります。
一般的に見聞きする「肺炎」は「感染性肺炎」のことが多く、風邪をこじらせて肺炎になる場合や、今回の新型コロナウイルスによる肺炎も感染性肺炎に含まれます。
さらにこの中でも種類があり、簡単に分類すると細菌によるものとウイルスによるものに分けられます。

・細菌性肺炎…日常生活の中でかかる肺炎の中で最も多い。原因の約50%が肺炎球菌。そのほかにもインフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは別)、クラミジア、マイコプラズマなども原因菌となる。
・ウイルス性肺炎…インフルエンザウイルス、コロナウイルス、乳幼児に多いRSウイルスなどが原因となる。

抗生物質が効かないウイルス性肺炎の怖さ

風邪から肺炎になる場合、風邪の原因はウイルスであっても続発的に細菌感染を起こして肺炎になることが多いので、抗生物質での治療が行われます。
また、テレビCMでも呼びかけられている「肺炎球菌」や、ここ数年で赤ちゃんの定期予防接種に組み込まれた「 Hib(インフルエンザ菌b型)」は細菌なので、これらが原因で肺炎を起こした場合も抗生物質を用いた治療が行われます。
ところが、ウイルス性の肺炎の場合はウイルスそのものが肺炎を引き起こします。
RSウイルスやインフルエンザウイルス、コロナウイルスなどウイルスが直接肺で悪さをするということです。
抗生物質はウイルスには効かないので、基本的には症状を緩和する治療を行いながら回復を助けます。
薬で直接ウイルスを殺すことができないため、最終的には本人の免疫力で治すことになります。
このため、持病がある方、高齢の方、小さな子供などは特に重症化しやすく注意が必要なのです。
発熱が何日も続く、咳がひどくなっていく、息苦しい、体の異常なだるさが続く、痰の色が汚い(黄色、緑色)といった症状がある時は肺炎の可能性があります。
無理をせず早めに医療機関を受診するようにしましょう。

感染対策の基本は手洗い

インフルエンザやRSウイルスに感染した人が全員肺炎になるわけではないように、今回の新型コロナウイルスも感染者全員が必ず肺炎になるわけではありません。
感染はしているけれど症状のない人、風邪症状程度の人、肺炎になり呼吸器管理が必要な重症の人と報道されているだけでもさまざまです。
新興感染症のためわからないことが多く、確立した治療もないためとても不安ですが、個人ができることは「感染の予防」と「体力・免疫力の向上」です。
人ごみを避ける、こまめな手洗いうがい、水分補給、屋内であれば部屋の加湿、換気を行うとともに、適切な睡眠と食事をとることで免疫力が低下しないように心がけましょう。
また、日本人は勤勉といわれますが、やはり体調が悪い時には休める環境にしていくのも企業として大切なことです。
無理して仕事に行くことで本人が辛い思いをするだけでなく、周囲に広めてしまうデメリットについてもしっかり考えなくてはいけないと思います。
医療技術が向上し時代が移り変わっても、やはり人間にとって「肺炎」は侮ってはいけないことを忘れてはいけませんね。

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田中 祥子株式会社ドクタートラスト 産業保健部 保健師

投稿者プロフィール

企業の健康管理室で働いていた経験をさまざまなかたちで皆さまにお届けします。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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