笑う門には福来る?~ポジティブ感情による「ストレスの打ち消し効果」~ 

笑う門には福来る?~ポジティブ感情による「ストレスの打ち消し効果」~

皆さん年末年始はどのようにお過ごしになりましたでしょうか。
この時期に多く放送されるバラエティ番組をご覧になった方もたくさんいらっしゃったかと思います。
私は普段はあまり見ないのですが、年末年始は休み中ということもありついつい見てしまい、大笑いしていることも多いです。
そして、笑った後はなんとなく気持ちが軽くなります。
今回は、このような「おかしい」「楽しい」などのポジティブな感情がストレスを打ち消す効果がある、というお話をします。

ポジティブ感情によるストレスの「打ち消し効果」

心理学者のフレドリクソンは、次の実験を行いました。
まず、実験の参加者は「これから1分間あげるので、スピーチの準備をしてほしい。このスピーチはビデオで撮影され、他の参加者に評価される」との説明を受けます。
この結果、参加者の不安が高まり、心拍数が増え、血管収縮や血圧上昇が起こりました。
ただし、実際にはスピーチを行うことはありませんでした。
次に、参加者はランダムに次の4種類の映像のうちの1つを見ました。

(1)楽しい映像
(2)満ち足りた気分になる映像
(3)何の感情も起きない映像
(4)悲しい映像

すなわち、(1)と(2)がポジティブな感情を引き起こす映像、(4)は悲しい感情を引き起こす映像、(3)はそのどちらでもない映像です。
そして、参加者がスピーチを行うことを告げられて上昇した心拍数が、上記の映像を見始めてから元の心拍数に戻るまでの時間を計測しました。
その結果、(1)楽しい映像、または(2)満ち足りた気分になる映像を見た参加者は、(3)何の感情も起きない映像より早く元に戻りました。
また、(4)悲しい映像を見た参加者は最も回復が遅い結果となりました。

心拍数がもとに戻るまでの時間

(フレドリクソン,2003をもとに作成)

つまり、ポジティブな感情は不安などのストレスを打ち消す効果があることがこの実験で示されたのです。

思考や行動にも好影響

さらに、フレドリクソンは、ポジティブな感情はストレスの軽減だけではなく、私たちの認知や行動にもよい影響を与えると指摘しています。
楽しみや興味、充足感や自尊心、愛などのポジティブな感情は、私たちがその場その場で判断したり行動したりすることのレパートリーを広げ、かつ、身体的、知的、社会的、心理的といった能力を永続的に伸ばすのに役立っているということです。

自己効力感UPへ

このように、私たち自身が能力の伸びを実感すると、それを誇れるようになります。
そして、さまざまな場面での成功体験につながりやすくなります。
このことは、自己効力感が増すことを意味します。
自己効力感とは、ある行動をうまく行うことができる自信のことです。
この自己効力感こそが、ポジティブな気持ちでいるためにはとても大切なのです。
また、自己効力感は昨今話題となっている「ワーク・エンゲイジメント」とも深いつながりがあります。
最後に、皆さんはお忙しい毎日を過ごしていらっしゃることと思います。
その中で楽しい、おかしい、ゆったり満ち足りた気持ちなど、ポジティブな気持ちになる機会をこまめに作って気分転換をすることが、思いの外私たちの健康には重要なようです。
【産業保健新聞に掲載された「ワーク・エンゲイジメント」の記事】

【引用・参考資料】
Fredrickson, B.L「The role of positive emotions in positive psychology: The broaden-and-build theory of positive emotions」(American Psychologist, 2001, 56, 218-226)
Fredrickson, B.L「The value of positive emotions: The emerging science of positive psychology is coming to understand why it’s good to feel good」(American Scientist, 2003, 91, 330-335)
島津明人『ワーク・エンゲイジメント ポジティブ・メンタルヘルスで活力ある毎日を』(労働調査会、2014年)

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