職場を変える?自分を変える? ~ジョブ・クラフティング理論~

1位:労働時間・休日・休暇の条件が良くなかった
2位:人間関係が良くなかった
2位:仕事が自分に合わない

唐突にランキングから始めてしまいました。
これは厚生労働省が2014年に発表した、若年層(15-34歳)の雇用実態を調査した結果による転職理由の内容です。(平成25年若年者雇用実態調査結果の概況)
若年層の労働者のうち約半数の人が転職を経験する時代となった今、転職に対するネガティブなイメージももはやないといっても過言ではありません。
ただそれだけに、なかには転職先への明確なビジョンもないまま、今の職場への漠然とした不満が理由で転職する人もいます。
世界的に見れば上位にくる「キャリアアップ」という理由は、日本では低く、職場に焦点をあてた理由が日本では多いことが、先の厚労省の統計を見ても明らかです。
耐え難い労働環境というわけではなく、「漠然」としたものを抱えて悩んでいる場合は、ジョブ・クラフティングという概念が、現状を打破する一つの方法になるかもしれません。

今の仕事を捉え直す

ジョブ・クラフティングとは、自らの仕事に対する意識や捉え方、行動を主体的に修正することで、”やらされ感”のある仕事を、”やりがい”のある仕事に変容させること。
アメリカで組織行動論を研究する、エイミー・レズネスキー氏と、ジェーン・E・ダットン氏により提唱されたもので、自らの仕事を自らが見直し、再定義することで、モチベーションとパフォーマンスの向上に繋がるとされています。
ジョブ・クラフティングでは3つの見直しを行います。

1)社会的交流の質や量を見直す

人間は人と関わりながら生きていく生き物です。
それは本能的なもので、人との関わりが増えるほど、また深くなるほど、仕事のやりがいを強く感じることができ、かつ業務もスムーズに進行できます。
効率化により分業化された中でも、積極的に人と関わりながら仕事ができるようにすることが大切です。

2)仕事の意義を広げる

自分の今やっている業務の目的や、社会・他人に対する貢献度を俯瞰的な視点で捉え直し、自らで再構築すること。
人は何かに影響を残すことができる、できたと感じられるとやりがいや幸福につながることがさまざまな研究でわかっています。

3)仕事のやり方や範囲を見直す

職場の前例にとらわれず、自らの業務範囲を限定してまうことなく、主体的かつ柔軟に自分の工夫やアイディアを実践することで、より意欲的に仕事に取り組めるようになります。

有名な実例でいうと、東京ディズニーリゾートのカストーディアルキャスト。
カストーディアルキャストは園内外の清掃をする従業員のことですが、業務内容は清掃にとどまりません。
清掃をしつつ、積極的にゲストの案内や写真撮影を行い、ほうきでミッキーマウスの絵を書いたり……。
「清掃員」ではなく、「ゲストに対してハピネスを提供している人」として認識されています。
自分達の仕事を清掃に限定せず、ゲストが気持ちよく楽しめるようにするための業務と捉え直した結果ですね。

また近年は当たり前になった、書店で見かける手書きのPOP。
POP自体は昔からある手法のようですが、今のような、売上を左右する重要な位置づけになったのはここ10年程のようです。
従来の価格に訴える内容のPOPや、パソコンで作られたPOPにとらわれることなく、自分の仕事の範囲ややり方を捉え直した実例です。

どちらも、会社側が、その職種に課せた業務のやり方ではもともとありません。
自主的にある一人の人がしたことが始まりなのです。

このジョブ・クラフティング法は、個人レベルでの取り組みだけではなく、組織としての取り組みとしても効果的です。
たとえば、「誰かの役に立っている」と思えるように、従業員がエンドユーザーに会える機会を積極的に作ることもいいでしょう。
また、役職名やチーム名を変えるのも、仕事の意義を各個人が再構築するのには一定の効果をもたらすでしょう。

あなたにとっての仕事って?

人と仕事の関係性は3つに分けられます。

ジョブ

・ 報酬のために働く
・ いわゆる「労働」という位置づけ
・ 休憩時間、退社時間が待ち遠しい
・ 働く基準が報酬

キャリア

経歴や向上のため、それらを実感できることが働く基準

コーリング

・ 天職
・ 社会における意義を感じて働く

これら3つは、職種が何かは問題ではないとされています。
コーリング(天職)は、選ばれた人達だけではなく、自分の捉え方・行動次第で「ジョブ」「キャリア」から移行できるのです。
ジョブ・クラフティングによる成功体験ができれば、また次のジョブ・クラフティング行動へと導かれ、「勝ち癖」がつくようになります。
まずは、ジョブ・クラフティング理論に基づき、今の自分の仕事を振り返り、与えられた仕事をやるだけの仕事から再構築を図ることで、環境は変わらなくても生き生きと働けるようになるかもしれませんね。

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精神保健福祉士 須田株式会社ドクタートラスト 精神保健福祉士

投稿者プロフィール

メンタルクリニックでのカウンセリング従事の後、「働く人」を理解すべく一般企業にて勤務。その後ドクタートラストに入社。
自然成長は望めない時代だからこそ、「個」と「組織」の両面に、健康という手段をもってアプローチすること大切だと思っています。知識ではなく、明日から職場で使える「スキル」を発信し、働くことが楽しいと思える社会の構築を各現場から作っていけたらと思います。
【保有資格】精神保健福祉、産業カウンセラー、第二種衛生管理者、健康経営アドバイザー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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