長時間・過重労働に関する相談が最多~厚労省「過重労働解消相談ダイヤル」相談結果を公表~

過重労働について、2019年9月に長崎地方裁判所から異例の判決が出たことをご存じでしょうか。
長崎県の食品加工会社が、2年余にわたり労働者に過重労働を続けさせた行為が会社の安全配慮義務違反にあたるとして、損害賠償の支払いを命じられたものです。
本裁判において「異例」なのは、当該労働者が具体的疾病を発症していない点にあります。
過重労働による脳・心臓疾患の発症がなくても、過重労働そのものが「心身の不調を来す危険のある長時間労働に従事させた」として「人格的利益の侵害」と判断され、「慰謝料請求」が認められる可能性が強まっているのは明らかです。
このような裁判例が増加していくことが予想される中、厚生労働省は2019年10月27日(日)に「過重労働解消相談ダイヤル」を実施しました。
これは11月の「過重労働解消キャンペーン」の一環として、行われた無料電話相談です。
今回は、12月23日に公表された相談結果を紹介します。

相談内容の内訳~長時間労働・過重労働が最多~

過重労働解消相談ダイヤルには合計で269件の相談が寄せらました。
相談内容の内訳は以下の通りです(1件の相談に対して複数の相談内容が含まれることもあります)。

①「長時間労働・過重労働」90件(33.4%)
②「賃金不払残業」69件(25.6%)
③「休日・休暇」31件(11.5%)
④「パワーハラスメント」29件(10.7%)

このように「長時間労働・過重労働」が最多となっています。
また、相談者の属性は以下の通りで、労働者が最多でした(括弧内は相談件数269件に対する割合)

労働者     180件(66.9%)
労働者の家族  53件(19.7%)
その他     20件(7.4%)

主な事業場の業種は、以下の通りです (括弧内は相談件数269件に対する割合)。

商業     32件(11.8%)
保健衛生業  32件(11.8%)
製造業    28件(10.4%)

受けた相談の中で、法律上問題があると認められる事案については、相談者の希望を確認した上で労働基準監督署に情報提供を行い、監督指導を実施するなど必要な対応をとる見通しです。

相談内容~長時間労働による問題が浮き彫りに~

以下では、具体的な相談内容を見ていきます。

長時間労働・過重労働に関する相談

○ 一般貨物自動車運送業のドライバー(運輸交通業、60代、労働者)
朝6時頃から深夜11時頃まで勤務しており、1日17時間以上働いている。
タイムカードなどの出退勤記録がない。
休みは毎週日曜日しかなく、疲れが溜まって身体が重い。
休憩中も再配達の電話が入るため、休憩も取れない。

○ 飲食店の店長(接客娯楽業、30代、労働者の家族)
休日がほとんどなく、朝4時頃に自宅を出て翌日の午前2時頃帰宅する生活である。
月に1回から2回程度は休日であるが、自宅でずっと寝ており、疲れ切っている。

パワーハラスメントに関する相談

○ 金属製品製造業の作業員(製造業 年齢不明、労働者)
社長から日々叱責を受けている。
機械を使用して作業をしているが、失敗すると社員全員の前で社長から叱責を受ける。

4つのケアで急いで対策を!

このような問題が生じているとき、まず何よりもすべきは「労働時間の適切な管理」です。
さらにその上で、以下「4つのケア」を行っていきましょう。

① セルフケア(自分で不調に気付き、自発的にケアする)
② ラインケア(周囲の不調に気付き、ケアを促していく)
③ 産業医や保健師によるケア(産業医面談やカウンセリングなど)
④ 人事労務部門や職場の管理・監督者との連携(対策やマニュアルの整備)

①②についてはセミナーなどを行い、過重労働や業務による健康被害を未然に防いでいく意識・環境作りを学ぶ機会を提供しましょう。
業務を起因として健康障害や過労死が発生すると訴訟に発展し、会社は多額の損害賠償を支払うことになります。
トラブルや繁忙期で著しく勤務時間が増える際には、特に注意して健康状態のチェックを行っていただくのをおすすめします。

悩まずに誰かに相談をしましょう

誰かに話を聞いてもらうこと = 自らSOSを出すことは、健やかに働いていく上ではとても重要な行為です。
「過重労働解消相談ダイヤル」の実施は終了していますが、常時相談や情報提供を受け付けている機関がありますのでご紹介します。

<労働条件に関する電話、メールの相談窓口>

① 最寄りの都道府県労働局または労働基準監督署(開庁時間 平日8:30~17:15)
② 労働条件相談ほっとライン【委託事業】
0120-811-610(フリーダイヤルはい!労働)
(相談受付時間:月~金17:00~22:00、土日・祝日9:00~21:00)
③ 労働基準関係情報メール窓口
労働基準法等の問題がある事業場に関する情報をメールで受け付けています。

また、ドクタートラストでも電話相談窓口サービスや職場環境改善のセミナーを実施しています。
ぜひお気軽にご相談ください。
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冨田さゆり

冨田さゆり株式会社ドクタートラスト 産業カウンセラー

投稿者プロフィール

ドクタートラストに入社して6年目、多くの民間企業・官公庁の健康管理に関わってきました。産業カウンセラーの資格を取得し、専門知識を深める日々です。対企業、対従業員、健康に働くためのアプローチは多種多様。各々の特性に合わせたアドバイスを心掛けています!
【保有資格】産業カウンセラー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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