9月9日は救急の日~まずはAEDを探してみよう~

9月9日は救急の日。
そして、9月8日からから9月14日までの1週間は、救急医療週間です。
「救急の日」と「救急医療週間」は、救急業務および救急医療に対する国民の正しい理解と認識を深め、救急医療関係者の意識高揚を図ることを目的に、1982年に定められました。
救急医療週間中は、全国各地の消防庁や厚生労働省などが各種行事を開催します。

いつ起こるかわからないのが救急

日頃皆さんは「救急」について意識して仕事しているでしょうか。
職場で人が突然倒れたとき、どのように対応すべきかご存知ですか。
総務省消防庁「平成30年版救急救助の現況」によれば、一般市民が目撃した心肺機能停止の傷病者数のうち、心肺蘇生を実施しなかったのは43.4%と半数近くに上るそうです。
さらに、女性にAEDを使用することに抵抗感がある人も多く、女性には使用されにくいことが、明らかになっています。


心肺停止の場合、発生から有効な蘇生措置の開始が1分遅くなるほど、救命率が7~10%ずつ低下していきます。
急変した人を目撃したときに、できるだけ落ち着いて迅速に一次救命処置や応急手当を行うことは、一人でも多くの救える命を守るためにとても重要です。

AEDがどこにあるか知っていますか?

通勤途中や社内で、誰かが急変してその場に遭遇するとします。
「AEDを持ってきてください!」と要請されたとしたら、皆さんはすぐにAEDを持ってこられますか?
2020年の東京オリンピックに向けて、2019年5月「AEDの適正配置に関するガイドライン」(厚生労働省)が5年ぶりに更新されました。
更新では、具体的にAEDの設置を推奨される施設が増えています。
本ガイドラインによりますと、駅、空港、旅客機、市役所、会社等の施設にはAEDは設置を推奨されているほか、設置にあたり考慮すべきことも以下のように盛り込まれています。

・ わかりやすい場所(入り口付近、普段から目に入る場所、多くの人が通る場所)
・ 誰もがアクセスできる
・ AED配置場所の周知(施設案内図へのAED配置図の表示)

つまり、目立ちやすいところ、わかりやすいところにAEDは設置されているのです。
駅では、通常ホームや改札にAEDが設置されています。
また、会社では、エントランスや各階の目の付きやすい場所にあるでしょう。
せっかく救急の日です!
これを機にAEDの場所を通勤経路や会社で探してみましょう。

救急箱だって大事なアイテム

労働安全衛生規則633条、634条と事務所衛生基準規則23条により、職場での救急箱の設置は定められています。

<労働安全衛生規則>
(救急用具)
633条 事業者は、負傷者の手当に必要な救急用具及び材料を備え、その備付け場所及び使用方法を労働者に周知させなければならない。
2 事業者は、前項の救急用具及び材料を常時清潔に保たなければならない。
(救急用具の内容)
634条 事業者は、前条第一項の救急用具及び材料として、少なくとも、次の品目を備えなければならない。
1 ほう帯材料、ピンセツト及び消毒薬
2 高熱物体を取り扱う作業場その他火傷のおそれのある作業場については、火傷薬
3 重傷者を生ずるおそれのある作業場については、止血帯、副木、担架等

<事務所衛生基準規則>
23条 事業者は、負傷者の手当に必要な救急用具及び材料を備え、その備付け場所及び使用方法を労働者に周知させなければならない。
2 事業者は、前項の救急用具及び材料を常時清潔に保たなければならない。

労働安全衛生規則、事務所衛生基準規則からわかるように、救急箱の設置、および社内周知は事業者の義務です。
また、救急箱に常備しておく品目も最低限は定められているほか、設置したら終わりではなく、中身の定期点検が求められています。
社内で急なケガ人が発生するような出来事があっても落ち着いて対応できるよう、救急箱を整備しておく必要があります。

■ 救急箱に必ず設置するもの

・消毒薬、コットン・綿棒(消毒用)
・包帯、滅菌ガーゼ・ガーゼ用テープ、安全ピン
・ピンセット・はさみ

■ 救急箱にあると便利なもの

・絆創膏 ・体温計 ・血圧計
・ビニール手袋(止血時の感染防止)
・職場から近い病院のリスト(救急患者の受け入れが可能かどうかを調べておきましょう)

また、職場で突然具合が悪くなった人がいた時に、どこの病院へ行くのかすぐにわかるように、近隣の病院をリストアップしておくと、救急対応時に落ち着いて対応できるのでお勧めです。
なお、救急箱は月に1回など、定期的に中身の点検と有効期限の確認をしてください。
社内の救急箱とAEDの設置場所を把握・周知して、職場全体が日頃から救急対応を想定して備えておきましょう。

総務省消防庁「平成30年版救急救助の現状」
厚生労働省「自動体外式除細動器(AED)の適正配置に関するガイドライン」

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原田 佑紀子株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

大学病院やクリニックで看護師として、さまざまな疾患をもつ働き盛りの年代の患者様を間近で看護させていただくなかで、からだとこころは密接に関係している、と強く実感しました。
「病気」に目を向けるだけではなく、病気になることで揺れ動くこころや生活を支え、健康に働くことをサポートする役割になりたいという思いから、産業保健師として活動しています。皆さんの「知りたい」最新の産業保健の情報を伝えられたらと思います!
【保有資格】看護師、保健師、人間ドック健診情報管理指導士、睡眠健康指導士上級
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