結局、体に良いの悪いの? コーヒーと私たちの適切な付き合い方

1日に何杯コーヒーを飲みますか?

1日に○杯コーヒーを飲むと病気のリスクが下がる。
やっぱりコーヒーは体に良くない。

これまでコーヒーと健康の関係について、さまざまな情報が飛び交ってきました。
コーヒー好きの筆者にとっては、体に悪いものでないことを願うばかりですが、実際のコーヒーの健康への影響はどうなのでしょうか。
世界の一人あたりのコーヒー消費量を見てみると、1位ルクセンブルク、2位フィンランド、3位ノルウェーです。(一般社団法人全日本コーヒー協会より)
ルクセンブルクはコーヒーにかかる税金が安く、隣接する国からコーヒーを購入しにくる人がいるため、国民の純粋な消費量は統計よりも少なくなりますが、それでも上位になることは間違いないでしょう。
4位以降もスイス、スウェーデン、オーストラリアなど欧州地域の消費量がとても多くなっています。
一方、WHOが発表している世界の平均寿命の統計(2018年発表)を見てみると、1位日本、2位スイス、3位スペインで、先ほどのコーヒー消費量上位に入る欧州諸国も概ねトップ10〜20に位置しています。
少なくとも、コーヒー消費量が平均寿命を下げてはいないようです。

カフェインとの付き合い方

コーヒーに含まれる物質として一番気になるのは「カフェイン」ではないでしょうか。
カフェインは適量であれば集中力を高めたり、眠気を覚ましたりとメリットがありますが、多量に摂取するとカフェイン中毒を始めとする健康被害を及ぼすことがあります。
コーヒー100ml中の含有量は約60mgで、紅茶の約2倍、玉露の約半分です。
成人1日あたりの安全に摂取できる量は200〜300mgなので、コーヒー以外からカフェインを摂取する可能性も考慮して、1日2〜3杯程度であれば問題なく摂取できると考えていいでしょう。
ただし、カフェインに対する反応は体質や体格、年齢によっても変わってきます。
特に、体調の良くないときにはコーヒーだけでなく緑茶、紅茶なども含めカフェイン全般を控えるようにしましょう。

健康増進効果が期待されるクロロゲン酸

カフェインとくらべて知名度が低いですが、コーヒーに含まれる物質に「クロロゲン酸」があります。
クロロゲン酸はポリフェノールの一種で、赤ワインに含まれるポリフェノールの量に匹敵します。
このクロロゲン酸に健康増進効果があるのではないかとさまざまな研究が行われています。
国立がん研究センターではコーヒー摂取と死因や死亡に関してのコホート研究が行われており、コーヒーをよく飲む場合に肝臓がんの発生率が低下するという結果が報告されています。
なぜ発生率が低下するかということに関しては、クロロゲンによる抗酸化作用や抗炎症作用が関係しているのではないかといわれていますが、まだはっきりと解明されていません。

コーヒーで胃が荒れる?

コーヒーを飲むと胃が荒れるという話をよく耳にします。
実は、コーヒー自体に胃の粘膜を荒らすような作用があるわけではありません。
しかし、前述したカフェインやクロロゲン酸に胃酸分泌を促進する働きがあります。
適量であれば消化を助ける方向に働きますが、胃酸分泌が多くなりすぎると胃もたれを起こしたり、胃の粘膜が刺激され、結果的に胃が荒れることになります。胃酸分泌に対する反応は○杯までなら大丈夫というよりも、個々の体質によるものが大きいので、自分にとっての適量を見つけましょう。
また、牛乳で割って飲むことで胃酸が中和されるので、胃が弱いと感じる方はカフェオレにして飲むのもいいでしょう。
まだ研究途中のことも多いコーヒーですが、生活の中に上手くコーヒーを取り入れて、メリットを享受していきたいですね。

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田中 祥子株式会社ドクタートラスト 産業保健部 保健師

投稿者プロフィール

企業の健康管理室で働いていた経験をさまざまなかたちで皆さまにお届けします。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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