広がる男性の育児休暇取得義務化~ワーキングマザーの辛口視点~

先日、三菱UFJ銀行が2歳未満の子どもをもつ男性行員に約1ヵ月にわたる育児休暇の取得を義務づけたことが話題になりました。
これまでも短期(上限10日間)での取得は推奨していたそうですが、実際の平均取得日数がたったの2日ほどにつき、今回の流れとなったようです。
一般的に、男性が育休を取りたくても取らない理由としては「前例がない」「育休を申請できる雰囲気ではない」「自分が抜けると業務が回らない」が上位を占めています。
いわば組織的な問題ですね。
今回の件では、男性行員の育休取得率が上司の評価に関わってくるらしく、いかに部下に休暇をとらせるか、またその分の業務をいかに調整・分担させるか、管理職としての手腕が試されるところとなっています。
とにかく、メガバンクがこのような動きに出たことで、さらなる日本のイクメン人口の増加が期待できそうです。

本当に大変なのは妻が復職してから

このように男性も積極的に育休がとれる(取得させられる)風潮は、喜ばしいことだと思います。
ですが、1児のワーキングマザーとして、声を大にして言いたいことがあります。

それは「本当に大変なのは妻が復職してから」なのです。

一般的に育休を取ってる間(子どもが保育施設に入るまで)は、育児はもちろん大変ですが、自分も家にいるため、熱が出ようが、下痢しようが、誰に遠慮することもなく子どもの看護に専念できます。
正直、夫の助けがなくてもやっていけます。
掃除、料理、哺乳、オムツ替え、お風呂、すべてを妻に代わってこなせる夫ならまだしも、そんなスーパーイクメンは一握りなのではないでしょうか…。
逆に夫が家にいることで、家事が増えてしまうことも。(注1)
しかし、いったん復職してしまうと、子どもがお腹がいたいと言っても「(保育園に)行けば治る!」と言い聞かせ、半泣きの子をとにかく保育園に預けて自分は職場へダッシュ。
すると昼すぎには、嘔吐も始まったと園からのお迎え要請パターン。
ご迷惑をお掛けしてすみません!と周囲の同僚に頭を下げつつ退社。
仕事も子育ても中途半端な自分が情けなくて泣けてくる…。
こんな日々が、子どもが頑丈になってくれるまで数年続くのです。
一方、夫はというと、子どもの生まれる前と変わらないペースで仕事をしてるではありませんか。

夫よ、あなたにもあるのよ。看護休暇

ちなみに私の場合、子どもの看護のためのお休みは看護休暇を利用しています
看護休暇とは、小学校へ入学するまでの子を持つ労働者が、事業主に届けることで子どもの病気や負傷など看護のために1年間に5日を限度として休暇を取得できる制度のことです。(注2)
企業によっては、それ以上日数を設けているところもあります。
育児介護休業法により定められているもので、男女問わず、小学生未満の子どもを養育する人に与えられている休暇です。(注3)
しかし先述のように、わが家の夫は子どもが病気になっても仕事を休みませんでした(さすがに母子共にダウンしたときは有給をとってくれましたが…)。
夫はじめ、世の多くの父親が子どもの看病を母親に任せっきりにしてしまう理由として考えられるのは、以下があるのではないかと思っています。

① 会社で休みを取得しにくい(なんとなくそういう雰囲気)
② 仕事が忙しい
③ 子どもがママっ子だから
④ 看護休暇を知らない、取得する権利があることを知らない

まず、理由①についてですが、それは女性である妻も同じこと。
②も然り。
③については論外、「好かれる努力せえよ!」と一喝したくなります。
ただ、④の看護休暇を知らない、取得できる権利があることを知らないという点については、今後、当事者や企業の認知を広げることで、大きく変化を期待することができるのではないでしょうか?

もっと父親が当たり前に看護休暇をとれる社会に

子供が病気になったとき、夫と妻が交代で休みがとれたなら…。
――妻だけが職場で肩身の狭い思いをしなくて済むかもしれない。
――もっと仕事に集中して、活躍できるかもしれない。
――夫に愚痴を言わなくて済むかもしれない。
――子どもと父親がもっと絆で結ばれるかもしれない。

男性の育児休暇取得がここまで取り上げられているのは、本当に素晴らしいことです。
しかし、仕事と子育ての両立は、育児休暇の後もずっと続いていくもの。
男性の看護休暇取得についても、社会がもっと注目し、当たり前の世の中になっていけたら…。
新しい令和の時代、男女の間で育児と仕事のバランスが均等になる社会になってほしいものです。

<脚注>
1. 決してわが夫を批判しているわけではありません
2. 詳細は厚生労働省「子の看護休暇制度 (PDF)」をご参照ください
3. 勤続6ヵ月未満の労働者、週所定労働日数が2日以下の労働者など、労使協定で対象外の労働者は含まれません

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池田 三菜子株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

総務・経理を経て、現在は営業事務にて幅広く社員をサポート。20代は好き勝手生きてきましたが、一児の母となった今、時間の大切さを痛感中。
「効率化」「時短」「思いやり」を胸に、共感をいただけるお役立ち記事を発信していきたいと思っています。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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