
だんだんと夏が近づいて来て、これから汗ばむくらい暑い日も多くなるでしょう。
この季節になると体を動かしたくなる方も多いのではないでしょうか。
今回は体を動かす、少し変わったリラクセーション法をご紹介します。
……とその前に、まずは体を使ったリラクセーションがこころに与える影響についてお話します。
リラクセーションの目的
わたしたちは、緊張したりストレスを感じたりすると、知らない間に体も緊張したりこわばったりしてしまいます。
そして、緊張したり不安やストレスを感じたりすると「筋肉を緊張させ、筋肉の緊張がさらなる不安感を生み、またその不安感が筋肉を緊張させる」という悪循環になってしまう傾向があります。
したがって、リラクセーションを行い、筋肉の緊張を和らげることによって、この悪循環を断ち、不安や緊張からの解放感を得るのが、体を使ったリラクセーションの目的なのです。
リラクセーションの方法
体を使ったリラクセーション方法は様々あります。
ヨガを行ったり、深呼吸をしたり……。
また、鍼やマッサージをしてもらったりすることでもリラクセーションの効果が得られますね。
上記のように、すでに私たちは日常生活の中にたくさん取り入れているのですが、今回、ご紹介するリラクセーション法は、先ほどお話した筋肉の緊張を和らげることを通じた方法のひとつです。
それは、臨床動作法です。
臨床動作法とは
臨床動作法とは、九州大学名誉教授の成瀬悟策先生が考案した心理療法であり、リラクセーション法です。
この臨床動作法は、脳性まひの方々に催眠法を使用してからだの動かしにくさを改善する研究から生まれたものです(脳性まひの方々は体が硬直していることが多いんです)。
では、臨床動作法のリラクセーションを1つご紹介します。
【肩挙げ】
背もたれから背中を離して椅子に座った状態で行います。
①ゆっくりと両肩を上げる
②さらに両肩を精一杯上げる
③数秒から数十秒間止めたままにする
④肩の力を抜きながらゆっくりと下ろす
⑤もう一度肩と腕の力をすっかり抜いて、ゆったりする
⑥肩や腕の感じに注意を向ける
⑦上記①~⑥を繰り返す
(鶴,2007)
少しわかりづらいかも知れませんね。
興味のある方は臨床動作法の研修会などに参加することをお勧めします。
この臨床動作法のポイントは、自分の意思で自分の体の緊張を和らげる(からだをゆるめる)ことにあるといわれています。
したがって、毎日繰り返して行い、習慣にするのがよいと思います。
なお、この臨床動作法と似たリラクセーション法に筋弛緩法(筋肉弛緩法、漸進弛緩法ともいいます)があります。
こちらは、すでに産業保健新聞でも取り上げています。
最後に、筆者もこの臨床動作法を何度も試していますが、効果を実感しています!
ぜひ一度試してみてください!
<引用・参考資料>
・ 中野 敬子(2005) 『ストレス・マネジメント入門 自己診断と対処法を学ぶ』 P97 金剛出版
・ 成瀬 悟策(2001) 『リラクセーション 緊張を自分で弛める法(ブルーバックス)』 講談社
・ 鶴 光代(2007) 『臨床動作法への招待』 金剛出版