【管理職の方に読んでほしいラインケア】うつになるのは「こころが弱い」から?

こころの病は、気力の問題? 気持ちのもちよう? 根性がないから? 今でもそのように思っていませんか?
これは間違いです。
「そんなこと言っても、骨折とかと違って、どこがどう具合が悪いのか、目には見えない!」と言う方がきっといると思いますが、うつは見えます。
うつは、脳の病気です。
脳が機能低下している状態です。
今回は、そんな「うつは見えない」と思っている方々にうつの最新原因説をお話したいと思います。

古くからある、セロトニン原因説

うつの原因としてしばしば耳にするのは「セロトニン」が不足することでうつになるという説です。
「セロトニン」は神経伝達物質の一つで、「ハッピーホルモン」などと呼ばれることもありますね。
過剰なストレスや過労などが引き金となって、セロトニンの量が減少したり、働きが悪くなってくると、うつの症状が現れます。
実はこれは一番古い学説。
セロトニンの量を薬で調節しても良くならないうつが発症し、そこで次に出てきたのは「神経がすり減る」ということわざを具現化するような説でした。

神経可塑性説

神経可逆性説とは、神経が仕事のストレスなどで痛んですり減りうつになるという説です。
皆さん、学生の頃、漢字を間違って覚えたことはありませんか?
一度間違って覚えてしまっても、正しい漢字に覚え直すことができたはずです。
これを可塑性といいます。
「この漢字はこう書く!」と脳にインプットされると、「こうやって手を動かして字を書く」と記憶し、神経がつながります。
しかし、それが間違いだとわかると、別の書き方を再度覚え直します。
つまり、一度作られた神経回路でも、それが間違っている認識したら再度繋げなおすことができるということです。
仕事でのストレスや、アルコールなどの神経毒性物質は、神経細胞をすり減らしますが、すり減った神経細胞は、充分な睡眠と充分な栄養があれば再生します
どんなに大きなストレスがあるときでも、しっかり睡眠をとり、しっかり食べることができていれば、うつにはなりにくいといえるのです。

最新の学説 脳の中の、炎症説

うつの原因は「炎症による脳の機能変化」、これが最新の情報です。
度重なるストレスや緊張状態が慢性的に続くと、脳の細胞が活性化し炎症、その炎症から出てくる物質が、脳の神経の応答性を弱くするというものです。
「応答性が弱くなる」を症状で言い換えると、次が当てはまります。
活気の低下
元気がない様子
いつもならできることができない、もしくは、いつもより時間がかかる
楽しんでいたことが楽しくない
これらの反応、疲れているときのご自身や、周囲にいる残業続きの方で見かけませんか?
この炎症が起こると同時に、先ほど神経可塑性説にて説明した、神経の萎縮・すり減りも引き起こすことがわかっています。
私たちの脳神経細胞は、度重なるストレスや緊張状態が慢性的に続くと、萎縮と炎症のダブルで辛い目に合っていたということですね。
セルフマネジメントとしての睡眠や食事がしっかりできていれば、炎症を広げず、回復に向かいますが、セルフマネジメントがない状態だと、当たり前ですが回復に向かうことができません。
うつの予防では、大きな長引くストレスの回避も大切ですが、社会生活を営んでいる以上なかなかすべてのストレスを回避できるものではありません。
これまでにご説明したうつの原因と症状、その回復方法などを知っていただくことで、根性論ではなく、客観的に予防にアプローチができます。
一人ひとり、ストレスを感じる度合いや、何をストレスと感じるかは違っていますし、ストレス状態から回復するパワーも、それを支えるために必要なサポート量も違います。
これらを総合して、人を見る(安全配慮)その人の居る環境を見る(作業環境管理)、ということが、働く現場で必要とされています。
植物は、枝葉の部分が枯れたりくたびれた状態になったとき、すでに根っこの元気が失われています。
この根っこを元気に保つことが、予防です。

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