働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動の先進的な取組事例の紹介①

小売業、社会福祉施設、飲食店で労災発生は増加傾向

読者のなかにも、小売業、社会福祉施設、飲食店でご勤務されている方、運営者の方がいらっしゃるかと思います。
近年、全国で地震や台風により、多くの店舗や施設での影響が多く、対策を検討・改善された事業場もあるのではないでしょうか?
そういった天災以外にも、身近なものでは転倒や従業員同士の衝突など、小売業、社会福祉施設、飲食店では労働災害の発生件数も増加傾向にあります。

中央労働災害防止協会から、2018年3月に、安全・安心確保のための取組んでいる企業とその事例が発表されています。
今回は、小売業の中から株式会社イズミ様の取り組みを紹介します。

小売業での取組

株式会社イズミ

中国・四国、九州地方を中心に約 100 店舗を設け、「ゆめタウン」などの大型ショッピングセンター、スーパー事業を展開。
作業効率の改善や生産性の向上を目指す「カイゼン活動」の一環として、「危険な作業は、非効率で無駄な作業である」との考え方のもと、本社主導で4S(整理、整頓、清掃、清潔)、安全・安心の確保のためのルールづくりなどの取り組みを行っています。

働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動の先進的な取組事例

4Sチェック

具体的には、「4Sチェック表」を作成しています。
そして、「具体的な確認項目」について、どのような場合に 「○」、どのような場合に「×」になるのかを写真を付して説明した「4S基準写真」 を全店舗に配布し、本社カイゼン推進部が、全店舗を回って状況をチェックしています。

例:消防・非常設備と避難経路にて
○:シャッターライン上に物の保管、一時置き
×:シャッターラインを避けて置く

安全・安心の確保のためのルールづくり

新たに設けたルールや既存ルールのうち、再徹底する必要があるものは、カイゼン推進部が作成する「カイゼンニュース」に盛り込んで、全店舗に配布、周知徹底しています。

・転倒防止
…バックヤードの床通路は、「油こぼれ」や「水漏れ」により転倒災害が最も多く発生していたので惣菜部門の油こぼれ防止、油汚れ拡散防止ルールを設定
例:油量、材料の投入量・位置の変更、揚げ終わった商品はザルでなくパッドに入れ移動

・高所での商品保管の禁止
…陳列棚の最上段に棚を設置し商品の一時保管を禁止、バックヤードにおける商品や備品の保管可能な高さを床面から2mまでに制限し、赤リボンで表示

・両手腰高作業の推進
…商品棚へ飲料を補充時、「片手しゃがみ姿勢」よりも、腰への負担が小さく、補充スピードも上がる「両手腰高姿勢」の習慣化を指示

・カゴ車の運搬ルール
…カゴ車をまとめて運搬中にバランスを崩した転倒事故を踏まえ、男性は3台まで、女性は2台までとルールを設定

労災発生の共有

全店舗における毎月の労働災害の発生状況について、全社の発生件数の推移、各部門の労働災害発生件数、主要な労働災害の事例などを「労災ニュース」として取りまとめて、全店舗に配布しています。
そして各店舗では、安全衛生委員会で対策の協議・検討を行うとともに、掲示板に掲示して注意喚起を行い、従業員の危険感受性を高めています。

各事業場にあった取り組み・改善を

筆者もさまざまな事業場に訪問させていただくなかで、小売業や店舗に関わらずオフィス系の事業場でも、高所にキャビネットや棚の高所に物を置いていたり、床の配線やへこみで転倒しやすくなっていたりするケースを目にします。
身近に潜む労災の要因のため、取り入れられる事例があれば活用ください。

<参考>
・ 厚生労働省「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動の先進的な取組事例集」
・ 中央労働災害防止協会「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動」

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