ストロング系アルコール飲料に注意!

一般的に日本で流通しているビール、発泡酒のアルコール度数は5%程度、缶チューハイでは4〜5%程度が主流となっています。
しかし、ここ数年人気が出て売り上げが伸びているのが、アルコール度数の高い「ストロング系アルコール飲料」です。
チューハイの味をベースとして、アルコール度数が9〜10%ほどのものが多く流通しています。
同じ量で早く酔えるということで、経済的な理由からも好まれているようです。

しかし、今こういったストロング系アルコール飲料による肝機能障害が増えていることをご存知ですか?

推奨されるアルコール量

厚生労働省が発表している「健康日本21」では、日本人にとって適度なアルコール量は「純アルコール量として20g」とされています。
純アルコール量というのは次の計算で求めることができます。

お酒の量(ml) × アルコール度数 / 100 × 0.8 = 純アルコール量 (g)

たとえばアルコール度数5%のビール500mlであれば、以下のようになります。

500(ml) × 5(%) / 100 × 0.8 = 20 (g)

ロング缶のビール1本が1日の適正飲酒量の目安になります。

もちろん性別や年齢、体質によってこの量は変わってきますが、日本人が健康に影響なく飲める酒量はこの量が目安となります。

飲みやすさが仇に

先述のアルコール量は、さまざまなところで言われていますので、「1日ビール500ml」と覚えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、近年のストロング系アルコール飲料の台頭によって、適正飲酒量を超えてしまうケースが増えているのです。
よく見かける9%の缶チューハイ500ml缶で計算してみると、以下のようになります。

500(ml) × 9(%) / 100 × 0.8 = 36 (g)

純アルコール量が基準よりも16gもオーバーしていることがわかります。
それでは、350ml缶ならいいのでしょうか?

350(ml) × 9(%) / 100 × 0.8 = 25.2 (g)

少ないほうの350ml缶を飲んだとしても、すでに適正量はオーバーしてしまうことがわかります。
週に2、3回程度なら、1週間の単位で見ればさほどの量にはなりませんが、ほぼ毎日習慣的に飲酒するようなケースでは注意が必要です。
これらのアルコールはチューハイと同じ味なので飲みやすく、また「強いお酒を飲んでいる」という感覚が薄れてしまいがちなため、自分で思っているよりもお酒を飲み過ぎているケースが多いのです。

健康で楽しくお酒を飲めるように

お酒は楽しく健康に害のない範囲で飲む分にはいいのですが、自分では気づかない間に日々「飲み過ぎ」の状態になってしまうと、心身両面に健康被害をもたらすことがあります。
特に女性やお酒を飲むと赤くなりやすい体質の方は、元々のアルコール分解能力が低いため、それほど多い量でなくても肝障害を起こすことがあります。
もともと肝臓癌はB型肝炎やC型肝炎ウイルスによるものが多かったのですが、新たに肝炎ウイルスにかかる人が少なくなったことや、肝炎治療薬の発展により、今後はウイルス由来の肝臓癌は減って行くと推測されています。
それに代わって増えているのがアルコール性肝障害や脂肪肝由来の肝臓癌です。
「酒は百薬の長」なのか「少量でも害」なのか、まだはっきりしない点も多く議論が分かれるところですが、「気づかないうちに飲み過ぎている」というのはとても危険なことです。ぜひ一度飲酒の週間を見直し、お酒と上手に付き合っていけるように心がけましょう。

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田中 祥子株式会社ドクタートラスト 産業保健部 保健師

投稿者プロフィール

企業の健康管理室で働いていた経験をさまざまなかたちで皆さまにお届けします。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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