1週間の間に熱中症で死亡した人数を知っていますか?

日本全国で猛暑日が続いています。
総務省消防庁が発表した、2018年7月16〜22日までの1週間で搬送された熱中症患者の救急搬送状況速報値は、全国で約2万2647人にのぼり、このうち65人が死亡したとされています。
今回は熱中症患者数の統計についてと、熱中症による労働災害の死亡事例を見ていきたいと思います。

総務省消防庁と厚生労働省の統計における違い

まず前述した総務省消防庁の速報値のペースで行くと1週間で約40人、8月・9月と猛暑日が続くと100名以上もの方が熱中症によって亡くなってしまうことが予想されます。
しかし、厚生労働省発表の人口動態統計によると今年のように猛暑であった2010年や2013年には年間約1,000名、昨年では約500名もの方が熱中症で亡くなっています。

総務省消防庁と厚生労働省による発表に大きな差が生じているのは何故でしょうか。
それは、前者が救急搬送時に熱中症と判断された人数であることに対し、後者は死亡が確定した段階で医師により死亡診断書の死因に熱中症と記載された人数であるため差が生じてしまうのです。
死亡診断書の作成には時間がかかり、厚生労働省より概算が発表されるのは冬頃になってしまうため、熱中症で亡くなった方の人数は私たちが思っているよりも遥かに多いことがわかります。

熱中症による労災事例

それでは以下より労災が認められた熱中症の事例を挙げていきます。

1. 被災者は、朝方より木造家屋建築工事現場で家屋の基礎の型枠材組み立て作業等に従事。
休憩は1時間に1回、昼休憩1時間とっていたが、夕方の休憩時、被災者がふらふらし始めたので、頭に水をかけて冷やした。
しかし、その後ろれつが回らなくなり、痙攣を起こしたので、救急車にて搬送された後「熱射病による多臓器不全」により死亡。

2. 被災者は午前8時から、草刈り機で除草作業に従事。
11時頃、被災者が体調不良を訴えたため、車の中で休憩を取らせた。
11時45分、被災者から「体調が回復しないため午後は休む」との申し出があり、車で帰宅。事業主が「体調は大丈夫か」と連絡をした際には「大丈夫」と返答した。
しかし、17時頃に帰宅した妻が心肺停止で横たわっている被災者を発見し、搬送された病院で死亡が確認された。

3. 被災者は交通警備員として、道路補修工事現場にて交通誘導業務に従事。
その際被災者は、警備員の制服を着用し、保護帽を被り、交通誘導中も適宜ペットボトルにより水分補給を行っていた。
午後に現場内の跨線橋の桁の日陰で休憩をとるように指示されたが、ほどなくして別社員が、仰向けになり、嘔吐し、鼻血を出し、意識不明の状態になっていた被災者を発見した。

例年通りの熱中症対策では足りません

上記の方々は、休憩や水分をまったく取っていなかったというわけではありませんが、管理者側が労働者の水分や塩分の摂取量を把握するなど徹底した管理ができていたわけでもありません。
会社に迷惑をかけたくないという遠慮から大事に至ってしまうケースも想定されるため、今年は特に体調面に関して相談しやすい空気を作ることが大切だと考えられます。

〈参考〉
総務省消防庁
熱中症による救急搬送人員数(7月16日〜7月22日速報値)

厚生労働省
人口動態統計月報(概数)(平成29年9月分)
労働災害事例

 

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