ストレスチェック受検率を向上させる、3つのヒント

各社の実施状況は?

3年度目を迎えたストレスチェック制度、各社の実施状況気になりませんか?

2017年7月に厚生労働省が公表した「ストレスチェックの実施状況」によると、以下のとおりです。

  •  ストレスチェック制度の実施義務対象事業場のうち、82.9%の事業場がストレスチェック制度を実施
  •  ストレスチェック実施事業場の労働者のうち、ストレスチェックを受けた労働者の割合は78.0%

事業場の規模別に実施状況の割合を見ていくと、従業員が1,000名以上いる事業場では、99.5%なのに対し、50~99名の事業場では78.9%とやや開きがあるように感じます。
しかしながら、ストレスチェックを実施した企業のなかで、受検をした労働者の割合は、その規模でも77~79%となっており、労働者一人ひとりの受検に対する意識にあまり差はないように見受けられます。

受検率を上げるには

企業には「安全配慮義務」があり、ストレスチェックの実施も従業員50名以上の事業場では義務づけられています。
また近年では「過労死の問題」や、「働き方改革」など働く人たちの健康を意識したり、やメンタルヘルス不調を未然に防ぐことの必要性が高まっているように思います。
ストレスチェックは毎年、人事や総務の部門で対応されている企業が多く見受けられますが、せっかく実施をするのであれば、受検率も高くしていきたいですよね。
今回は、私が実施事務従事者をお引き受けしている企業様の例をいくつか挙げたいと思います。

<受検率の高い会社の例>

  •  ストレスチェック制度に関する知識の共有や、職場での活用方法についての説明をきちんとしている
  •  事前の周知や、受検期間中の勧奨のお知らせをしっかりとしている

まだまだ一般的には浸透していないストレスチェック制度の知識をきちんと付けさせることにより、従業員に「受検をしてみようかな」という思いにさせることができるのではないでしょうか?
また、忙しいなかで受検をされる従業員のためにも「うっかり忘れてしまった!」という方を減らすためにも受検期間中のマメな通知をしている企業さまは受検率が比較的高い印象にあります。

  •  思い切って受検の方法を変えてみる

こちらは、初年度アプリケーションでの受検(社内でしか受けることができない)をしていた企業さまが、今年度web受検に切り替えたことにより受検率が上がった例があります。
Web受検はPC以外にスマホなどでの受検も可能であるため、外での仕事が多い企業様や勤務時間がバラバラで全員が集まる機会の少ない企業さまにも向いているかと思います。

  •  受検期間を見直してみる

受検期間がだらだらと長いよりは、コンパクトな方が比較的受検率が高い傾向にあります。
「いつ受けてもいいや」という印象が強いと、後回しになってしまいますよね。
そのため受検期間を5~7営業日とコンパクトにするのも受検率を上げる方法のひとつです!
ただし、従業員数や受検期間によって期間を調整していくことも重要です。
受検期間を従来より短くした場合には事前周知をきちんとするなど、ポイントを押さえた運用がおすすめです。

今後の課題は?

「高ストレス者の割合が高かったけど、実際の面談希望者がかなり少なかった……」というお話を企業の人事担当者様から受けることがあります。
今後の課題は、「高ストレス」と判定が出た方へのアプローチではないかと思います。
受検が終わった後、どのようなアプローチをしていくかを産業医の先生と相談したり、保健師などの産業保健スタッフを活用していくことにより、さらなるパワーアップが期待できるのではないでしょうか。

<参考>
・ 「ストレスチェック制度の実施状況を施行後はじめて公表します」(厚生労働省)

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稲井 沙也加株式会社ドクタートラスト 産業保健部

投稿者プロフィール

美術系の専門学校を卒業後、「企業ではたらく人の健康管理」を専門にしているドクタートラストに興味を持ち入社しました。さまざまな部署での経験を活かし、産業保健分野に関することや労働安全衛生法についてわかりやすく解説してきます!
【保有資格】健康経営アドバイザー

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