集中力は切れてもいい? 効率的に働くサイクルを身に着けよう

人手が足りない、作業が多い、残業時間は増えるばかり……そんな風に嘆いてはいませんか?
ワークライフバランスが整った企業を目指し、「さぁ働き方改革だ」とさまざまな施策をどこの企業でも模索しているのではないかと思います。
もちろん実際に業務量が多すぎる企業もあるでしょう。
しかし、働き方を変えることで1人のパフォーマンスが、1.1倍になったらどうでしょう。もしかしたら状況は少し変わるかもしれませんね。
今回は、定時時間内にいかに集中して業務にあたるか、というお話です。

人間の脳から見る集中力

そもそも人間の脳は集中するようにはあまりできていないという話を聞いたことはありますか?
人間を1つの動物と考えると、さまざまな危険から身を守るため、意識は多種多様な現象をとらえるためにむしろ散漫である必要があります。
1つの物事のみに集中するというのは脳にそうした本来の働きと異なったことをさせる行為でもあるといえるのです。

そんな集中力の持続可能時間は最長でも90分といわれています。
持続時間に15分ごとに波があり、その波が3回訪れた後、徐々に集中力の強さは弱まってい来きます。
15分×3回、つまり45分程度で集中力は弱まっていくのです。
学生時代授業が45分~1時間半で区切られていませんでしたか?
それは人間の脳にあわせ、学習しやすいサイクルに合わせているためです。
つまり、効率を考えるのであれば、そうした15分ごとの集中力サイクルのなかで、軽い休憩をとり意識を別の方向に向けることで、集中力は復活し、より効率的に働くことができるようになります。

思考の断捨離&サンドイッチ原理で脳に負担なく働く

前述のとおり、脳はもともと長く集中をするようにはできていません。
さらに、自分は特に集中力が持続しないほうだという認識を持っている人もいるでしょう。
しかし、それを欠点だと思わず、さまざまなことに興味を持てる脳であると捉えることに、業務効率アップの秘訣が隠されています。
まず、なぜ自分の集中力が長く続かないのかを考えてみましょう。
周りから声をかけられることが多いから途切れてしまうという人や、同じことをやっていると飽きてしまうという人など、さまざまでしょう。
ここで2つの方法を提案いたします。

・ 思考の断捨離

もし自分を取り巻くノイズが雑念になり意識が散漫になってしまうという人は、自分の目の前のことだけに集中するためノイズを取り除くようにしましょう。
集中する時に何に集中すべきか、今何に気が散っているのかを付箋等で書き出し、自分の頭の中を明確にして順位をつけましょう。
そうすることで、無意識化の思考を「後で考えればいいタスク」として割り振り、目の前の物事に集中することができるようになります。

・ サンドイッチ原理

サンドイッチを思い浮かべてください。
パンの中にさまざまな具が並べられて入っています。
子供が嫌いな野菜もサンドイッチの中に隠してしまえば食べてしまうことができるように、さまざまな仕事を順番に挟み込むことで集中力を復活させる方法があります。
それはサンドイッチ原理です。

まず出社したら、自分の今日の業務のなかで最も手を伸ばしやすいものや、好きな仕事から始めましょう。
そして集中力が切れてきたら次の仕事、さらに集中力が切れてきたら一度伸びをしてから前の仕事に戻ったり別の仕事に取り掛かったり……。
このようにいろいろな仕事をくるくると回していくのがサンドイッチ原理です。
集中力は切れてしまっても構いません。
切れたら別のことをする、というサイクルを繰り返すことで気分が変わり、また脳が刺激を感じて集中することができます。
嫌いな仕事の後やその日の最後に自分の好きな仕事をすることで気分をリカバリーし、負担なく帰宅することができるでしょう。
もちろん、納期や業務の都合により、そう簡単にはいかないことが多いと思いますが、もし脳に負担がなく、さらに楽しく仕事ができればそれに越したことはないはずです。

「効率化」をとらえる職場環境に向けて

「産業保健新聞」でも何度か取り上げられている「タバコ休憩」などの仕事中の休憩。

賛否両論ある問題であることはわかりますが、ここに「休憩を労働時間と認める社風」を作ることをお勧めします。
もちろんタバコを吸う人に限らす、すべての人において、集中力を復活させるための休憩を認める社風にすることで結果的に集中力が上がるという提案をいたします。
以下は導入に伴う一案です。

① 特定の時間になると、社員全員でストレッチを行う
② 休憩マークを導入し、10分程度の休憩を一日2回ほど行うことができるようにする。
③ 集中マークを導入し、その時間は耳栓等をして仕事ができるようにする。

前提として、効率よく働こうと社員自体が考え、取り組もうとする姿勢が何よりも大切です。
そうした姿勢を整え、サポートするような職場環境を目指すことが大切なのではないでしょうか。

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大沼 泉株式会社ドクタートラスト ストレスチェック研究所

投稿者プロフィール

結婚・出産・育児といったライフイベントを乗り越えながら女性がいきいきと働くには、どんな職場環境が望ましいのか。ブラック企業から転職し、産休育休を経た経験をもとに、産業カウンセラー、そして働くママ社員の立場からさまざまな情報をお伝えしてまいります。
【保有資格】産業カウンセラー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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