求人票でのNG表記、ご存知ですか??

3月に情報解禁から2か月、就活生は本格的に就職活動を行っている真っ只中、企業の採用担当の方々も面接などに追われる日々かと思います。
採用活動を行うなかで必ず目にするのが求人票です。
どんな業務を行うのか、給与や就業時間、福利厚生など、企業についてのさまざまな情報が書かれています。

人事・採用担当の方々も、よい人材を集めるべく、記載内容に工夫を凝らしているのではないでしょうか。
本日は、そんな求人票の表記のルールについて「NG表記」の観点からお話いたします。

NGその1:性別を限定した求人

男女雇用機会均等法第5条では事業主が労働者の募集および採用について、性別により取り扱いに差別を設けることを禁止としています。

(男女雇用機会均等法)

第五条 事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。

これには芸術や芸能等の分野で表現上や宗教上の理由により男女のいずれかが必要になる場合や、守衛・整備といった防犯上の要請から男性に従事させる必要があるといった場合の例外はありますが、一般的には事業主が「男性」「女性」を限定した旨を求人票に記載して、募集や採用を行うことはできません。

〈具体的なNGワード〉

・ 男性もしくは女性について「歓迎」や「優先」と明記すること
・ 「営業マン」や「セールスレディ」のように一方の性別のみを表す言葉で表記すること
※ ただしカメラマンなどの普通名称となっている職種は可
・ 男女ともに採用を予定していても「男性3名、女性10名」のように性別ごとに人数を定めていること

<参考>
「雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために」(厚生労働省)

 NGその2:年齢を限定した求人

雇用対策法から事業主は労働者の募集及び採用について年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないとされ、年齢制限の禁止が義務化されています。
これは個人の能力や適性を判断して募集・採用をすることで、一人ひとりにより均等に働く機会が与えられるようにすることを目的としています。
形式的に求人票を「年齢不問」とすればよいということではなく、年齢を理由に応募を断ったり書類選考等で、年齢を理由に採否を決定することも違反となります。
また、こちらにも一部例外があり、雇用対策基本法施行規則第1条の3第1項で定められています。

(雇用対策法施行規則)

第一条の三 法第十条の厚生労働省令で定めるときは、次の各号に掲げるとき以外のときとする。
 一 事業主が、その雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という。)の定めをしている場合において当該定年の年齢を下回ることを条件として労働者の募集及び採用を行うとき(期間の定めのない労働契約を締結することを目的とする場合に限る。)。
 二 事業主が、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)その他の法令の規定により特定の年齢の範囲に属する労働者の就業等が禁止又は制限されている業務について当該年齢の範囲に属する労働者以外の労働者の募集及び採用を行うとき。
 三 事業主の募集及び採用における年齢による制限を必要最小限のものとする観点から見て合理的な制限である場合として次のいずれかに該当するとき。
  イ 長期間の継続勤務による職務に必要な能力の開発及び向上を図ることを目的として、青少年その他特定の年齢を下回る労働者の募集及び採用を行うとき(期間の定めのない労働契約を締結することを目的とする場合に限り、かつ、当該労働者が職業に従事した経験があることを求人の条件としない場合であつて学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(幼稚園(特別支援学校の幼稚部を含む。)及び小学校(義務教育学校の前期課程及び特別支援学校の小学部を含む。)を除く。第二条第二項第四号の二において同じ。)、同法第百二十四条に規定する専修学校、職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第十五条の七第一項各号に掲げる施設又は同法第二十七条第一項に規定する職業能力開発総合大学校を新たに卒業しようとする者として又は当該者と同等の処遇で募集及び採用を行うときに限る。)。
  ロ 当該事業主が雇用する特定の年齢の範囲に属する特定の職種の労働者(以下この項において「特定労働者」という。)の数が相当程度少ないものとして厚生労働大臣が定める条件に適合する場合において、当該職種の業務の遂行に必要な技能及びこれに関する知識の継承を図ることを目的として、特定労働者の募集及び採用を行うとき(期間の定めのない労働契約を締結することを目的とする場合に限る。)。
  ハ 芸術又は芸能の分野における表現の真実性等を確保するために特定の年齢の範囲に属する労働者の募集及び採用を行うとき。
  ニ 高年齢者の雇用の促進を目的として、特定の年齢以上の高年齢者(六十歳以上の者に限る。)である労働者の募集及び採用を行うとき、又は特定の年齢の範囲に属する労働者の雇用を促進するため、当該特定の年齢の範囲に属する労働者の募集及び採用を行うとき(当該特定の年齢の範囲に属する労働者の雇用の促進に係る国の施策を活用しようとする場合に限る。)。

上記定めをわかりやすく示すと、以下のものが「例外」に該当します。

・ 定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
・ 労働基準法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている場合
・ 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
・ 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、 期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
・ 芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合
・ 60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合

<参考>
・ 「募集・採用における年齢制限禁止について」(厚生労働省)
・ 「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?(PDF)」(厚生労働省・都道府県労働局ハローワーク)

 NGその3:最低賃金以下の給与の記載

現在の日本では最低賃金法に基づき、国が賃金の最低額を定めています。
そのため使用者はその最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。
したがって最低賃金以下の給与を求人票に記載することは禁止されています。

〈支払われる賃金が最低賃金額以上であるか調べる方法〉

(1) 時間給制の場合
時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)

(2) 日給制の場合
日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)

(3) 月給制の場合
月給 ÷ 1箇月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)

(4) 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。

(5) 上記(1)~(4)の組み合わせの場合
たとえば、基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制などの場合は、それぞれ上記(2)(3)の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)を比較します。

企業のご担当者様も就職活動中の方も、今一度求人票をしっかり見直してみましょう!

<参考>
・ 「地域別最低賃金の全国一覧」(厚生労働省)
・ 「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」(厚生労働省)

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