衛生委員会、毎回産業医の参加が必要ですか?

先日、「産業保健新聞」を運営するドクタートラストの取引企業さまから、下記のようなご質問をいただきました。

「衛生委員会に関してですが、やはり毎回産業医の先生にも参加していただかなくてはならないのでしょうか?」

詳しくお話をうかがったところ、産業医に別途にお願いしたい業務があり、当月のみ、衛生委員会に出席するための時間をそちらに充ててもらいたいとのことで、「議事内容については衛生管理者が後から産業医に報告する」というスタイルにしたいとのことでした。

メンバー要件、審議事項をみると産業医の参加は必須

衛生委員会については、毎月1回開催することが義務付けられているほか、議事録を3年間保存することなどが求められています。
労働基準監督署が衛生管理状況を審査するに際しては、「衛生委員会が毎月きちんと実施されているかどうか」の証拠として、議事録チェックが行われているようです。
また、衛生委員会の構成メンバーは下記の通り定められています。

A.総括安全衛生管理者またはそれ以外の者で、当該事業場において事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者 1名(議長)
B.衛生管理者 1名以上
C.産業医 1名以上
D.当該事業場の労働者で衛生に関し経験を有する者 1名以上

産業医がしっかりと記載されていますね。
さらに、衛生委員会の審議事項とされている項目をみると「専門家である産業医の意見」がどれも必要であることが確認できます。

労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項(リンク先:厚生労働省)

やはり産業医抜きでの衛生委員会の開催は難しいという結論となりそうです。

現実的に産業医の時間が足りない、どうすればいいの?

メンタルヘルス対策など、衛生委員会以外の業務で産業医が多忙という状況は、多くの企業さまから聞くところです。
実際に「面談者が多く、月1回2時間の先生の訪問時間はすべて面談で終わる」という企業さまもありました。
とはいえ、時間が足りないからといって面談者への対応をおざなりにすることもできません。
どのように対応をとればいいのでしょうか。
上記のような理由で、どうしても衛生委員会への産業医の参加時間がとれないという場合には、その対応に関して産業医に直接相談するというのがベストの対応であると考えます。
産業医と相談したうえで、面談を優先し、衛生委員会の審議は議事録をもって事後確認をする方法を選択された実例もあります。
事業場の衛生管理を監督指導する立場である産業医が、その事業場の状況に沿った運用を提案し企業がそれを実行していくことは、なによりも優先されるべきものです。
ただし、前述のとおり衛生委員会への産業医の参加は原則必須となります。
衛生委員会に産業医が参加しない状況が続けば、労働基準監督署からの指摘される可能性も高まってしまうでしょう。

衛生管理体制そのものの見直しも検討

慢性的に産業医の時間が足りないということであれば、業務の整理、見直しが必要なサインかもしれません。
産業医の訪問頻度を増やす対策もありますが、当社では保健師の導入をご提案することも多いです。
事業場の衛生管理における業務を、医師が行わなければいけない業務と、そうでない業務に整理し保健師を活用することで、より効率的な衛生管理の運用を実現することができます。
(加えて事業場の衛生管理ご担当者の負担を軽減する効果もありますよ!)
ご興味があればぜひドクタートラストまでお気軽にお問い合わせください。

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