産業医にしてもらう業務がない?

ある日、企業から相談が

先日、匿名企業より以下の問合せがありました。

当社は、社員数60人くらいの製造業です。
社員は皆元気で、健康そのもの。
残業時間もほとんどない状態です。
こんな状態で毎月産業医に訪問してもらってもしてもらう業務がないいので、選任だけさせてもらえないですか?

要は、「産業医の名義貸し」をさせてほしいとのお問合せでした。
もちろん、名義貸しについてはお断りをさせていただき、法令に則った形で産業医の毎月訪問についての提案をさせていただきました。
上記のような労働環境・社員の健康状態に問題がない企業ほど、実際の産業医の訪問は不要と考えがちです。
では、問題が発生していなければ、本当に産業医が行う業務がないのかを考えてみたいと思います。

問題が起こってからでは遅い!普段から産業医との話し合いを

(安全衛生委員会)

産業医にしてもらう業務がないという考えに至るということは、おそらく安全衛生委員会を開催していない、もしくは機能していないと考えられます。
安全衛生委員会をしっかりと運営していると、いくらでも産業医の意見を聞きたいことが出てくるはずです。
問題が発生してからでは後手に回ってしまうため、平常時に産業医を交えて話し合いいただくことを提案いたします。

<例>

■休職・復職の規定に問題はないか?
■感染症(インフルエンザ、ノロウイルス等)の対策、罹患した時の対応
■熱中症対策・花粉症対策などの勉強会
■メンタルヘルスの勉強会(セルフケア・ラインケア等)
■労働災害の報告(ヒヤリハットの報告)、再発防止の対策法、他社の事例について

(面接指導)

いくら健康な社員ばかりといえども、いつ体調を崩してしまうかはわかりません。
健康な状態を産業医が把握しておくということも、とても大事なことです。
また、全社員と順番に面接してもらうようにするのが有効であるといえます。
そうすることにより、産業医のその会社全体への理解が深まりますし、産業医の存在が社内に浸透し、体調が悪くなった際には、社員個人が産業医へ相談をしやすい環境にもつながります。

産業医は会社の敵ではありません!

名義貸しを希望する企業の特徴として、次のようなお考えの企業が多いのではないでしょうか?

  •  産業医に来てもらうと、あれこれ指摘され、対応できないことまで言われてしまう。
  •  社員の味方をされて、経営者の敵だ。
  •  少しでも経費を削減したい。

健康経営という言葉をご存知でしょうか?
「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる」との基盤に立って、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することを意味しています。
「健康経営」についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。

ぜひ、経営者の方々には、産業医を迎え入れ、健康経営を目指すようにしていただきたいと思います。

時には産業医からいろいろと指摘されることもあるかと思います。
しかしそれは企業の安全配慮義務のためにする指摘です。それを無視していると、いつかは取り返しのつかないことになってしまいます。

健康な社員が増えると、社員のパフォーマンスが向上し、結果として会社の利益につながります。
目先の経費削減に走ってしまうと、結果として会社が衰退してしまうことに繋がることに気づいていただきたいと切に願います。

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