「集団分析」の実施率75.3%  ーストレスチェックの実情ー

群馬労働局が、ストレスチェックの実施状況に関する調査結果を発表しました。

群馬労働局の調査結果〜高い集団分析実施率〜

平成29年6月末時点で、ストレスチェック制度の実施が義務づけられた事業場のうち、所轄の労働基準監督署に実施報告書の提出があった事業場は78.4%でした。
これは全国平均82.9%と比較すると4.5ポイント下回っています。
しかし、事業場規模別の結果によると、300~999人規模の実施率は95.9%と、全国平均の93.0%を上回っていました。
また、ストレスチェックを実施した事業場のうち、集団分析を実施した事業場は75.3%と高水準であり、4社のうち3社は集団分析を実施しているのが実情です。
さらに、事業場規模が大きくなるほど集団分析の実施率は高まっており、事業場規模50~99人が73.5%であるのに対し、事業場規模1,000人以上では81.8%となっています。
これは、全国平均の結果も同様の結果です。
ちなみに、昨年大阪労働局が、平成28年7月末までにストレスチェックを実施し、実施報告書を所轄の労働基準監督署に提出した208事業場に対してアンケート調査を実施した際も、集団分析の実施率は75%と高水準でした。
つまり、集団分析は努力義務ではありますが、ストレスチェックを実施するからには、職場改善につなげたいと考える企業が多いと分析できます。

変わらず低い高ストレス者の産業医面談申し出率

集団分析の実施率が比較的高いのに対して、変わらず低いのが、高ストレス者が面接指導を申し出る割合です。
大阪労働局の報告では高ストレス者の2.3%、群馬労働局の調査では0.62%と、非常に低い数値となっています。

原因としては、過去に「高ストレス者の面接指導申出が少ないのはなぜか」でもご紹介させていただいている通り、会社に自身が高ストレス者だと知られてしまうことを嫌だと考える人が多いことが挙げられます。
たとえ不利益な取扱いを禁止されていると理解していても、何かしら影響があるのではないかと、人間の心理が働いてしまうでしょう。
また、相談しても何も変わらないと考えている人も、なかにはいるのではないでしょうか。
ただ、上記内容を解決するためには、会社に結果が開示されたとしても不利益に取り扱われないこと、会社としては働きやすい職場環境を作りたいことを従業員側に伝え続け、信頼関係を構築していくことが重要になります。

集団分析の結果を活かして職場改善

ストレスチェックの制度上、産業医面談の申し出がない限り、会社としては個人を特定することが出来ません。
しかし、産業医面談の申出者も少ないことから、まずは、集団分析の結果から、職場改善へ繋げることが現実的な方法と言えます。

ただ、職場改善と一言で言っても、各企業によって課題は様々ですので、産業医や産業保健師と相談しながら、進めていくことになるでしょう。
また、産業保健新聞を運営するドクタートラストでも、ストレスチェック実施後の対策に力を入れて取り組んで参りますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

 

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服部 恭子株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

漠然と世の働く人全体を支える仕事がしたいという思いで就職活動を進めるなかで、「健康で元気にはたらく人を増やす」という理念を掲げるドクタートラストに惹かれ、新卒で入社。約1年間営業として活動したあと、産休育休を経て、営業事務、ストレスチェック実施事務に従事する。
現在はチーフアナリストとして、ストレスチェックのデータ分析を行いながら、コンサルタントをサポートする。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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