働く女性を悩ませる「PMS」をどう防ぐ?

一生に400回の辛い時期……

女性は一生のうちで何回月経がくるか、考えたことはありますか?
個人差はありますが、女性は一般的に約400回前後の月経期間を経験することになります。
400回も辛い時期が訪れるのか……とがっかりしてしまう方もいるかもしれませんね。
月経期間中の痛みを始めとする症状のほか、月経前に体調不調をきたす「月経前症候群(PMS)」に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

働く女性とPMS

月経前症候群(以下、PMS)とは、月経前に起こる心や体の不調のことで、さまざまな症状をまとめてPMSと呼んでいます。
精神的な症状としてよくみられるのが、「イライラ、不安、集中力の欠如、気持ちが落ち着かない」などで、身体的な症状としては「肌荒れ、疲労感、だるさ、眠気、不眠、腹痛、腰痛」などが挙げられます。
これらは代表的な症状ですが、これ以外にも不快な症状を経験している女性は多いと思います。
月経中の症状であればまだ周囲の理解も得られやすいのですが、月経の前の不調となると、なかなか周囲には理解されにくいものだと思います。
月経が来る度に休んで家で寝ていられたらいいのですが、そういうわけにはいかず、現代の女性は仕事に家事に子育てに日々たくさんのタスクを抱えて生きています。
残念ながらPMSを根本的に直すことはできませんが、少しでも軽くなる工夫・少しでも過ごしやすくなる方法についてご紹介します。

食生活も影響する

① 基礎体温をつける

基礎体温は妊娠を希望する女性だけでなく、すべての女性にとって測る価値のあるものです。少し面倒ですが、朝起きた時に測る習慣をつけましょう。
自分が今、月経周期のどの時期にあるのか、知らずに過ごすのと知って過ごすのは大違いです。
「なんだか調子が悪いな、イライラするな」と感じながら月経を迎えるよりも、「今は月経前だから調子が悪いんだ」とわかったうえで月経を迎えるのでは、調子の悪さに対する気持ちも変わってきます。
自分の体を知るためにも基礎体温を測る習慣をつけてみましょう。

② 漢方治療

漢方治療では「気」「血」「水」のバランスを改善することで、体を正常な状態に近づけることを目標としています。
漢方って効くのかな? と半信半疑の方も多いかもしれませんが、きちんと状態に合った漢方を服用することで効果を得ることができます。
ある人にはすごくよく効くものが他の人には効かないことがあるもの漢方薬の特徴です。
PMSを含めた月経困難の場合には「加味逍遙散(かみしょうようさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」のような漢方薬がよく用いられ、血の巡りを正常にしたり、痛みを抑えるような成分が含まれています。
体質や症状によって必要な薬の種類が変わってきますので、ぜひ婦人科などで相談のうえ処方してもらってください。

③ ピルによる治療

ピルによって排卵を抑え、ホルモンの量を調整し、月経周期を整えることによってPMSの症状が軽くなることがあります。
体質によってはピルが飲めないこともあり、また通院の手間がかかってしまうということが、注意点として挙げられます。
しかし、月経自体が軽くなったり、月経時期をコントロールすることで予定を組みやすくなるというメリットもあります。

④ 嗜好品、食生活への注意

アルコールやカフェインの摂取はPMSの症状を悪化させます。また、血糖値の急激な乱高下も悪化させる要因のひとつとなります。
月経前の時期はアルコールやカフェインを控えめにする、糖質に偏った食事をしないというように食生活や嗜好品の摂取を見直してみましょう。
月経前は甘いものが食べたくなったり、過食傾向になる人もいますが、糖質の多い食事やおやつをなるべく控えるように気をつけてください。
空腹の時にはナッツなど栄養価が高く糖質の低いものがおすすめです。

自分の体を知ることが大切

いかがですか? PMS自体を劇的に改善・治療できるものはないのが残念ですが、「治す」というよりも「上手に付き合っていく」と考えていきましょう。
一生に訪れる400回を「ただただ辛い」と思って過ごすよりも、自分できちんと把握しながら付き合っていくのはとても大切なことです。
いつもこんなものだから……と諦めていた方も、ぜひ上記を参考にPMSと上手く付き合っていく方法を試してみてくださいね。

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田中 祥子株式会社ドクタートラスト 産業保健部 保健師

投稿者プロフィール

企業の健康管理室で働いていた経験をさまざまなかたちで皆さまにお届けします。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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