産業医訪問、2か月に1回にできるのか?

本年6月の法改正で「産業医の職場巡視を2か月に1回とすることを可能とする」と盛りこまれたことを受け、産業医の訪問を隔月とした内容での契約が可能か、企業から問合せいただくことが増えています。

当社、株式会社ドクタートラストでは、原則「これまで通り、産業医訪問は毎月1回とする」との対応をとっています。
その理由は下記の通りです。

今回の法改正の目的は、より効果的に産業医を活用すること

今回の法改正で、職場巡視を2か月に1回の運用とすることを可能とすることが盛り込まれました。
しかし、まずは職場巡視の回数=産業医訪問の回数ではないことをご確認ください。

厚生労働省から示されている、報告書にも「近年は、事業場における労働者の健康確保対策として、過重労働による健康障害の防止、メンタルヘルス対策等 も重要となっており、また、嘱託産業医を中心により効率的かつ効果的な職務の実施が求められている中、これら の対策に関して必要な措置を講じるための情報収集の手段として、職場巡視とそれ以外の手段を組み合わせること も有効と考えられる」との記載があります。

その上で、「このため、事業者から産業医に対して、定期的(月1回以上)に以下の情報が提供される場合においては、産業医の職場巡視の頻度を、事業者の同意を条件として、「毎月1回以上」から「2月以内ごとに1回以上」へ変更を可能とすることが適当」としているのであって、産業医の訪問回数を減少させるためではなく、産業医の業務の効率化を目指しての改正であると読み解くことができます。

効率化を進めた上で対応していく産業医業務としては
1.衛生委員会への参加
2.過重労働者の面接指導
3.メンタルヘルス対策(面接対応含む)
といった、毎月訪問の必要がある(2については発生の都度)業務であることがご確認いただけると思います。

その他にも健康診断結果の事後措置や、ストレスチェック実施後の高ストレス者面談対応など産業医の担う業務は増えており、とても訪問回数を減らして対応しきれる状況ではないことが多いのではないでしょうか。

巡視回数を減らすための条件

なお、産業医の職場巡視の回数を減らすための条件および手順は下記の通りです。

① 産業医の意見に基づいて、衛生委員会での審議結果を踏まえて行うこと。
② 産業医へ、過重労働面談の基準に該当する労働者および時間数の報告を行うこと。
③ 産業医へ、衛生管理者による週1回の職場巡視の結果を報告すること。
(報告内容は、巡視した衛生管理者の氏名、日時、場所、有害事項への措置の内容、その他労働衛生対策の推進に参考となる情報が含まれること)
④ 産業医へ、上記の他、衛生委員会等の審議を経て事業者が産業医に報告することとしたものの報告を行うこと。

以上が設定されており、すべてをクリアする必要があること。
衛生管理者の週1回の巡視が行われていない場合などは、産業医の毎月の巡視が必要となります。

さらには、巡視頻度の変更に関しては衛生委員会での審議において一定期間を定めることとし、期間ごとに産業医の意見(継続か否か)を確認することが求められています。

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