労災認定新基準 長時間労働に関して
- 2013/4/5
- 労働環境

業務による心理的負担を原因とする精神障害の発生は年々増加しており、
それに伴う労災請求件数も増加の一路を辿っています。
労災請求件数に関しては、平成10年度に42件だったものが、
平成22年には1,181件に達し、尚今後の増加も見込まれています。
増加する労災請求に対して、その審査の迅速化や効率化を図るために
厚生労働省は心理的負担による精神障害の労災認定基準を新たに定め、
平成23年12月26日付けで通知を行いました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001z3zj.html
新基準のポイント
① 分かりやすい心理的負荷評価表(ストレスの強度の評価表)を定めた
② いじめやセクシュアルハラスメントのように出来事が繰り返されるものについては、
その開始時からのすべての行為を対象として心理的負荷を評価することにした
③ これまで全ての事案について必要としていた精神科医の合議による判定を、
判断が難しい事案のみに限定した
上記があげられていますが、
長時間労働に関しても触れられています。
その中で、これまでも「特別な出来事」とされてきた「極度の長時間労働」に関して、
具体的に「月160時間以上の時間外労働」と明記されました。
また、通知内の「第5 精神障害の悪化の業務起因性」において
「ただし、別表1の「特別な出来事」に該当する出来事があり、
その後おおむね6か月以内に対象疾病が自然経過を超えて
著しく悪化したと医学的に認められる場合については、
その「特別な出来事」による心理的負荷が悪化の原因であると推認し、
悪化した部分について、労働基準法施行規則別表第1の2第9号に該当する
業務上の疾病として取り扱う。」
とも明記されました。
これについて、先日お話させていただいた産業医の先生が参加された労災に関する勉強会では、
たとえ精神障害を発生させた原因が業務外のもの(私的な問題)であったとしても、
発病直前1ヶ月に月160時間以上の時間外労働を行わせていた場合は、労災として認定される。
との解釈が説明されたそうです!
長時間労働に関しては、メンタルだけでなく脳梗塞や心疾患を引き起こす要因として
データ統計も出されており、それに対する企業の対応も年々強く求められています。
貴社での労働時間の管理に関しても、今一度再確認を行ってみてはいかがでしょうか。